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創業時に使える資金調達方法を網羅的に解説(融資・出資・補助金・助成金)

創業時の資金調達は、一般の資金調達に比べて難しいとされています。なぜなら、創業期は信用が乏しく、業績と財務が脆弱であるためです。
それでも、創業資金の全てを自己資金で賄おうとすると、お金が貯まるまで起業できず、せっかくのビジネスチャンスを逃してしまいかねません。
そのため、創業資金の一部については、外部からの調達を検討することが重要です。

今回の記事では、創業時の資金調達として一般的に活用される「創業融資」「出資」「補助金」「助成金」の特徴と、その中でも特にお勧めの資金調達方法を解説します。

なお、創業・起業・会社設立支援については、以下のサイトをご参照ください。
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創業時に使える資金調達方法とは

創業時に使える主な資金調達方法は主に4つあり、それぞれに次のような特徴があります。

創業融資:金額が大きい、返済義務あり、スピーディー(1カ月以内可)
出資:金額が大きい、返済義務なし、3ヶ月以上かかる、経営に介入される可能性
補助金:金額は大きいものもある、審査が厳しい、半年以上かかる
助成金:正社員雇用が前提のものが多い、要件満たせば必ず受給、一年以上かかる

詳しい内容については、以下で説明します。

 

 

「創業融資」の特徴

創業融資の特徴は次の通りです。

・資金調達までの時間がスピーディー(1ヶ月~3ヶ月ほど)
・リスクが低い
・審査基準が明確なため、準備をしっかりすれば受けられる
金額が大きい
・他の金融機関からの信頼度がアップする
・返済義務がある
金利は1%~2%程度と低く、原則は無担保・無保証

具体的な融資制度については、「創業融資のお勧め資金調達方法」で説明させていただきます。

 

 

「出資」の特徴

出資の特徴は次の通りです。

・事業内容の魅力さが必要ではあるものの、誰でも挑戦できる
・資金の受け入れと引き換えに株を交付する(株主として第三者が参入してくる)
・調達した資金が資本金に組み込まれる

具体的な出資制度については、「出資のお勧め資金調達方法」で説明させていただきます。

 

 

「補助金」の特徴

補助金の特徴は次の通りです。

・審査があるため、通過率は低い(難易度が高い)
・原則後払いのため、着金まで時間がかかる(半年以上)
・返済義務はない
・内容や条件の変更が多く、毎回公募要領の読み込みが必要

具体的な補助金制度については、「補助金のお勧め資金調達方法」で説明させていただきます。

 

 

 

「助成金」の特徴

助成金の特徴は次の通りです。

・要件を満たせば、必ず支給
・原則後払いのため、着金まで時間がかかる(1年以上)
・返済義務はない
・年間を通じていつでも申請ができ、補助金ほど難易度は高くない
正社員での雇用が前提のものが多い

具体的な出資制度については、「助成金のお勧め資金調達方法」で説明させていただきます。

 

 

「創業融資」のお勧め資金調達方法

新創業融資制度

日本政策金融公庫の融資制度で、次の特徴があります。

・対象者:新規開業者や、起業後に2期を終えていない方
・限度額:3,000万円(うち運転資金1,500万円)
金利:約2%
・返済期間:設備資金は20年以内、運転資金は7年以内(据置期間2年以内の設定可)
・起業資金総額の10分の1以上の自己資金が必要(6年以上の業種経験で形式上は免除)
資本金の2~3倍が融資金額の目安で、平均300万円ほど

「新創業融資制度」についての詳細は、下記の記事をご参照ください。
創業時に使える新創業融資制度とは?

 

中小企業経営強化資金

日本政策金融公庫の融資制度で、次の特徴があります。

・対象者:創業または新規事業に挑戦する中小企業等で認定支援期間の支援を受ける方
・限度額:7,200万円(うち運転資金4,800万円)
・金利:特別利率Aの約2%(新創業融資制度より少し低い)
・返済期間:設備資金は20年以内、運転資金は7年以内(据置期間2年以内の設定可)
・自己資金が少なくても多くの融資を受けることができる可能性あり
・無担保・無保証枠は1,000万円

「中小企業経営強化資金度」についての詳細は、下記の記事をご参照ください。
中小企業経営力強化資金(2020年4月の制度変更後)とは?

 

再チャレンジ支援融資

日本政策金融公庫の融資制度で、次の特徴があります。

・対象者:やむを得ない理由で廃業経験がある新規開業者または事業開始後おおむね7年以内の方
・限度額:7,200万円(うち運転資金4,800万円)
・金利:約2%(新創業融資制度より少し低い)
・返済期間:設備資金は20年以内、運転資金は7年以内(据置期間2年以内の設定可)
・廃業時の負債が新たな事業に影響を与えない程度に整理される見込みがあること

 

制度融資

各自治体や地元の商工会議所等による融資制度で、次の特徴があります。

・対象者:各自治体や制度による
・限度額:各自治体や制度による
金利:1~2%(新創業融資制度より少し低い)
・返済期間:各自治体や制度による
・「信用保証協会」の審査を受けた上で「地方銀行」などから有利な条件で融資を受けることになるが、「地方自治体」の斡旋が必要
利子補給や信用保証料の補助がある
審査基準が比較的低く、創業間もない会社でも融資を受けやすい
・申込から審査通貨までが、他の制度よりも時間がかかる(2ヶ月以上が一般的)

「制度融資」についての詳細は、下記の記事をご参照ください。
制度融資を分かりやすく解説(公庫融資との比較)

 

 

「出資」のお勧め資金調達方法

クラウドファンディング

ネット上でビジネスアイデアを公開して、不特定多数の人に資金提供を呼びかけ、共感者や賛同者から資金を調達する方法で、次の特徴があります。

・融資等のように対象者等の条件はない
・購入型:出資者へのリターンは商品やサービスなど、金銭以外で設定
・証券型(投資型):出資者へのリターンは金銭(分配金や株)で設定
・出資者1人からの出資は少額であっても、広範囲の多数から出資を募ることができる
・出資が目標額に達しない場合はプロジェクトが成立せず、多くの賛同を得られるかどうかはビジネスプラン次第
・主な募集サイトは購入型が「Ready for」「CAMPFIRE」「Makuake」、証券型が「FUNDINNO」など

 

エンジェル投資家

スタートアップ企業に出資をして企業が成長した後の株式譲渡や配当で利益を得るエンジェル投資家から資金を調達する方法で、次の特徴があります。

・対象者等の条件は個人投資家の方針による
・調達額はベンチャーキャピタルとクラウドファンディングの中間ぐらい
・投資家の知見を活かした経営アドバイス、人脈紹介、支援等が受けられる
・エンジェル投資家との出会い方は、ビジネス系のセミナーや交流会への参加、マッチングサイト活用が一般的

 

ベンチャーキャピタル(VC)

将来の高い成長が見込まれる未上場企業に対して、上場時などのキャピタルゲインを狙って出資を行うベンチャーキャピタルから資金を調達する方法で、次の特徴があります。

・対象者等の条件はVCの規定や方針による
・大きな調達額が見込めるが、株式上場を狙える有望な会社でないとハードルが高い
・VCの知見を活かした経営アドバイス、人脈紹介、支援等が受けられる
・VCとの出会い方は、HP等で投資実績を検索して直接連絡する方法が一般的

 

 

「補助金」のお勧め資金調達方法

小規模事業者持続化補助金

小規模事業者が商工会議所等の助言を受けて経営計画を作成し、その計画に沿って販路開拓や生産性向上に取り組む場合に、その費用が補助される国の制度で、次の特徴があります。

・対象者:商工会議所地区で事業を行う小規模事業者
・補助率:3分の2または4分の3
・補助上限額:通常枠50万円、成長・分配強化枠200万円、新陳代謝枠枠200万円、インボイス枠100万円
難易度は易しめで、計画書ページ数は少なめ

「小規模事業者持続化補助金」についての詳細は、下記の記事をご参照ください。
令和4年(2022年)の小規模事業者持続化補助金を分かりやすく解説

 

ものづくり補助金

中小企業や小規模事業者がこれから直面する制度変更(働き方改革や被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイス導入等)に対応するため、革新的サービス開発や生産プロセスの改善等を目的とした設備投資を行う場合に、その取り組み費用が補助される国の制度で、次の特徴があります。

・対象者:中小企業、資本金10億円未満の特定事業者、一定の非営利活動法人
・補助率:3分の2または2分の1
・補助上限額:申請類型や従業員規模(5人以下 → 6~20人 → 21人以上)に応じて、750万円から2,000万円
難易度は高めで、計画書ページ数は多め

「ものづくり補助金」についての詳細は、下記の記事をご参照ください。
令和4年度(2022年度)のものづくり補助金を分かりやすく解説

 

IT導入補助金

中小企業や小規模事業者等がITツールを活用した生産性向上に取り組む場合にその費用の一部が補助される国の制度で、次の特徴があります。

・対象者:中小企業、小規模事業者、一定の非営利活動法人
・補助率:4分の3、3分の2または2分の1
・補助上限額:ITツールは50万円から350万円、PC・タブレット10万円、レジ・券売機等20万円
難易度は易しめで、計画書ページ数はかなり少なめ

「IT導入補助金」についての詳細は、下記の記事をご参照ください。
令和4年度(2022年度)のIT導入補助金を分かりやすく解説

 

 

「助成金」のお勧め資金調達方法

キャリアアップ助成金(正社員化コース)

非正規雇用労働者の企業内でのキャリアアップを促進するために、正社員化や処遇改善などの取り組みを実施した事業主に対して助成金を支給する厚生労働省の制度で、次の特徴があります。

・対象者:有期社員または無期社員から正規社員に転換させた事業者
・助成額:有期社員から正規社員に転換した場合は57万円~72万円、無期社員から正規社員に転換した場合は28.5万円~36万円
・生産性要件を満たせば、助成額が増額
・ガイドラインに沿った「キャリアアップ計画書」の作成・提出が必要
・申請の難易度は高くないが、就業規則の変更やキャリアアップ計画書の作成など手間がかかる

「キャリアアップ助成金」についての詳細は、下記の記事をご参照ください。
令和4年度(2022年度)のキャリアアップ助成金を分かりやすく解説

 

人材開発支援助成金

企業で働く労働者の職業能力開発を促進することを目的とし、職業に関する専門的な知識や技術を習得するために計画的に行う職業訓練などの取り組みを実施した事業主に対して助成金を支給する厚生労働省の制度で、次の特徴があります。

・対象者:職業訓練などの取り組みを実施した事業者
・助成額:職業訓練などの経費に対する助成は1 人当たり最大で20万円、賃金に対する助成は最大で76万円(480円×1,600H)
・生産性要件を満たせば、助成額が増額
・ガイドラインに沿った「訓練計画書」の作成・提出が必要
・申請の難易度は高くないが、就業規則や雇用契約書等の整備が必要となる場合があるなど手間がかかる

「人材開発支援助成金」についての詳細は、下記の記事をご参照ください。
和4年度(2022年度)の人材開発支援助成金を分かりやすく解説

 

 

まとめ

以上、今回は創業時の資金調達として一般的に活用される「創業融資」「出資」「補助金」「助成金」のそれぞれの特徴と、その中でも特にお勧めする資金調達方法を解説させていただきました。

「創業融資」「補助金」「助成金」については、他の記事でさらに詳細な解説をしておりますので、そちらもご参照ください。
これらの制度について、ご自身で対応する場合には、労力や時間がかかった上に、「融資」「補助金」「助成金」を受けられる可能性が下がり、さらには受けられる金額が少なくなることも考えられます。
創業期の忙しい時期だからこそ、なるべく専門家の支援を受けることをお勧めします。

創業時や起業時の資金調達について、お悩みがございましたら、創業・起業に強い「江東区・中央区(日本橋)・千葉県(船橋)」を拠点とする保田会計グループにお気軽にご相談ください。

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