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令和4年度(2022年度)のものづくり補助金を分かりやすく解説

起業して間もない会社でも使いやすい補助金に「ものづくり補助金」があります。
この記事では、令和3年度(2021年度)補正予算で決定した令和4年度(2022年度)の「ものづくり補助金」の概要を分かりやすく解説します。

なお、補助金・助成金のコンサルティングについては、以下のサイトをご参照ください。
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ものづくり補助金補助金とは

「ものづくり補助金」の正式名称は「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」と言いいます。
令和4年度「ものづくり補助金」は、中小企業や小規模事業者がこれから直面する制度変更(働き方改革や被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイス導入等)に対応するため、革新的サービス開発生産プロセスの改善等を目的とした設備投資を行う場合に、その取り組み費用が補助される国の制度になります。

この「ものづくり補助金」は令和2年3月から今までで1次〜9次までが実施されており、過去の採択率は約50%程度、令和4年3月に発表された最新の採択率(9次、一般型)は約63%です。
創業間もない会社や個人事業主の方であっても申し込むことができ、令和4年度においては、事業再構築補助金が引き続き注目されておりますので、ねらい目の補助金と言えます。

ものづくり補助金の詳細は、以下のものづくり補助金事務局サポートセンターのWebサイトをご参照ください。
ものづくり補助金総合サイト

 

令和4年度「ものづくり補助金」で新たに設定された補助項目

令和4年度(2022年度)からは、これまでの特別枠(低感染リスク型ビジネス枠)が廃止され、新たに次の補助項目が設定されました。

回復型賃上・雇用拡大枠:業況が厳しい事業者の賃上げ・雇用拡大に取り組むための生産性向上
デジタル枠:DXに資する革新的な製品・サービスの開発やデジタル技術を活用した生産プロセス・サービス提供方法の改善
グリーン枠:温室効果ガスの排出削減に資する革新的な製品・サービスの開発や炭素生産性向上を伴う生産プロセス・サービス提供方法の改善

苦境に陥る事業者の救済と成長促進に向けた投資が令和4年度のものづくり補助金の特徴と言えます。

 

補助金額及び補助率

令和4年度「ものづくり補助金」の補上限額と補助率は、次の通りです。

申請類型 補助金上限額 補助率
通常枠 750万円・1,000万円

・1,250万円 ※

原則:2分の1
(小規模事業者・再生事業者は3分の2)
回復型賃上・雇用拡大枠 3分の2
デジタル枠
グリーン枠 1,000万円・1,500万円

・2,000万円 ※

 

 

対象者となる事業者とは

令和4年度「ものづくり補助金」の主な対象者、は次のいずれかの要件を満たす事業者になります。
なお、令和4年度から、中小企業者等の要件を満たさない会社又は個人であっても、下記②の要件を満たす特定事業者については、対象に追加されています。

①中小企業者

資本金又は従業員数(常勤)が下表の数字以下となる会社又は個人であること。

業種 資本金 常時使用する従業員数
製造業、建設業、運輸業、旅行業 3億円 300人
卸売業 1億円 100人
サービス業 ※1 5,000万円 100人
小売業 5,000万円 50人
ゴム製品製造業 ※2 3億円 900人
ソフトウェア業、情報処理サービス業 3億円 300人
旅館業 5,000万円 200人
その他の業種(上記以外) 3億円 300人

※1 ソフトウェア業、情報処理サービス業、旅館業を除く
※2 自動車又は航空機用タイヤ及びチューブ製造業並びに工業用ベルト製造業を除く

 

②資本金10億円未満の特定事業者

従業員数(常勤)が下表の数字以下となる、資本金の額又は出資の総額が10億円未満の会社又は個人であること。

業種 資本金 常時使用する従業員数
製造業、建設業、運輸業 10億円未満 500人
卸売業 10億円未満 400人
サービス業又は小売業 ※1 10億円未満 300人
その他の業種(上記以外) 10億円未満 500人

※1 ソフトウェア業、情報処理サービス業、旅館業を除く

 

③特定非営利活動法人

次の要件を満たす特定非営利活動法人であること。

・広く中小企業一般の振興・発展に直結し得る活動を行う特定非営利活動法人であること
・従業員数が300人以下であること
・法人税法上の収益事業を行う特定非営利活動法人であること
・認定特定非営利活動法人でないこと
・交付決定時までに補助金の事業に係る経営力向上計画の認定を受けていること

 

補助対象となる経費とは

①機械装置及びシステム構築費:機械装置や工具器具の購入・製作・リースに要する経費、ソフトウェアや情報システムの購入・構築・リースに要する経費
②技術導入費(補助対象経費総額の1/3まで):補助事業遂行のために必要な知的財産権等の導入に要する経費
③専門家経費(補助対象経費総額の1/2まで):学識経験者、兼業・副業、フリーランス等の専門家に依頼したコンサルティング業務や旅費等の経費
④運搬費:運搬料、宅配・郵送料等に要する経費
⑤クラウドサービス利用費:クラウドサービスやWEBプラットフォームの利用費
⑥原材料費:試作品の開発に必要な原材料及び副資材の購入に要する経費
⑦外注費:新製品・サービスの開発に必要な加工、設計、検査等の一部を外注(請負、委託等)する場合の経費
⑧知的財産権等関連経費:新製品・サービスの事業化に当たって必要となる特許権等の知的財産権等の取得に要する弁理士の手続代行費用など

 

審査項目とは

ものづくり補助金は、事業計画書に基づき「技術面」「事業化面」「政策面」の3つの観点で設定された以下の審査項目によって審査されます。

技術面:革新性、課題解決方法の明確さおよび優位性、技術的能力など
事業化面:実施体制、市場ニーズ、競合に対する優位性、収益性、費用対効果など
政策面:地域経済への貢献、ニッチ分野での差別化、ウィズコロナ・ポストコロナに向けた経済構造の転換など

 

加点項目

加点の程度は公表されていませんが、次の加点項目を満たすと加点を受けることができ、審査得点を高くすることができます。
わずかな加点措置であったとしても、それが採否を決定することは十分にありえますので、加点項目を把握して、受けられる加点は確実に狙っていくことが重要です。

政策加点:創業・第二創業後間もない事業者(5年以内)
賃上げ加点:補助事業終了後3~5年で給与支給総額を年平均1.5%以上増やすこと又は事業場内最低賃金を地域別最低賃金+30円増やすこと
成長性加点:経営革新計画の承認を取得した事業者
災害等加点:事業継続力強化計画の認定を取得した事業者

 

ものづくり補助金の申請から受給までの流れ

他の補助金と同様に、ものづくり補助金は申請して採択がされたからといってすぐに補助金が振り込まれるわけではありません。
そのため、申請してから補助金の交付を受けその後の報告まで、全体の流れを、以下において確認します。

①事業計画の作成・電子申請

ものづくり補助金を申請するため、まずは認定支援機関のサポートを受けて事業計画書を作成します。
事業計画書の記載内容が採択の可否に大きな影響を与えることから、事業計画書の記載にあたっては、公募要領をしっかりと読み込み、要求される審査項目を満たした上で、できるだけ加点項目も拾い上げるべく、わかりやすく記載を心掛けます。
次に電子申請システムのJグランツを使って、作成した事業計画書を添付などして、電子申請をします。
このJグランツを使うために、申請者自身がGビズIDプライムのアカウントを事前に取得しておく必要がありますので、注意が必要です。

 

②採択・不採択の決定

提出した事業計画書や申請書類について、ものづくり補助金事務局による審査が行われた後に、採択または不採択の通知がなされます。
申請が無事に採択されたからといって、すぐに補助金が振り込まれるわけではありません。
補助金を受給する道は長く、この段階ではまだまだ安心はできません。

 

③説明会への参加

採択後に2週間程度の日数をあけて、各都道府県で補助事業についての採択者向け説明会が開催されます。
具体的な手続方法などの事務的な説明から、補助事業実施中の注意点などの説明が行われます。

 

④交付申請

採択後に改めて交付申請を行うことで、正式に補助金を獲得するための審査が始まります。
ここでは、申請時に提出した事業計画書をブラッシュアップして、再び提出することになります。

 

⑤交付決定後に補助事業の実施

無事に交付が決定されたら、ようやく補助事業をスタートできます。
先に申請をした内容に沿って補助事業を実施する必要があります。
手持ちの資金が不足する場合には、金融機関から一時的な借り入れ(「つなぎ融資」といいます)も検討する必要もあります。借り入れを申し込む予定の金融機関に、あらかじめ打診しておくと安心です。
また、途中で計画変更を余儀なくされた場合は、計画変更申請が必要です。

先に、申請をした内容に沿って補助事業を実施する必要があります。
手持ちの資金が不足する場合には、金融機関から一時的な借り入れ(「つなぎ融資」といいます)も検討する必要があるでしょう。借り入れを申し込む予定の金融機関に、あらかじめ打診しておくと安心です。
また、取り組みにも期限が設けられていますので、申請の際に取り組み期限についても確認しておきましょう。

 

⑥中間監査・実績報告

補助事業終了後には、必要な資料を添付して、ものづくり補助金事務局に実績報告書を提出します。
実績報告書によって受け取る補助金額が確定することから、この実績報告はとても重要な手続きとなります。
また、補助事業開始から実績報告までに時間がかかる場合には、事務局の判断で中間監査を受けることもあります。さらに、この中間監査のために遂行状況報告書の提出を求められた場合には遂行状況報告書の作成も必要となります。

 

⑦実績報告内容の確定検査

実績報告書を基に補助事業の実施内容と相違がないか等、ものづくり補助金事務局による確定検査が行われます。
確定検査では実際に取得した設備を確認するため、現地を訪問して実地調査が行われることもあります。
これらの手続きはものづくり補助金事務局の指示に従って行っていくことになりますが、補助事業の実施手引きに従って、万全な準備をしておくことが重要です。

 

⑧補助金の交付

確定検査によって補助金額が確定すれば、ここでようやく補助金の交付を請求して補助金を受け取ることができます。
ただし、補助金を受け取って終わりではなく、その後も5年間に渡って毎年、事業化状況を報告する必要があります。

 

 

申請スケジュール

令和4年(2022年)のものづくり補助金の公募スケジュールについて、第11回以降はまだ公表されていませんが、公募は年に複数回あることから、令和3年の公募スケジュールを参考に記載させていただきます。

第10回締切:令和4年5月11日
第11回締切:令和3年8月17日
第12回締切:令和3年11月11日
第13回締切:令和4年2月8日

 

 

ものづくり補助金以外の補助金

ものづくり補助金以外の補助金についても、以下で確認します。

①小規模事業者持続化補助金

小規模事業者持続化補助金とは、小規模事業者等による地道な販路開拓等の取り組みや、その取り組みと併せて行う業務効率化の取り組みに要する経費の一部に対して補助を受けることができる制度を言います。

詳細は以下の記事をご参照ください。
令和4年度(2022年)の小規模事業者持続化補助金を分かりやすく解説

 

②IT導入補助金

IT導入補助金とは、中小企業・小規模事業者などが自社の課題やニーズに合ったITツールを導入する経費の一部に対して補助を受けることができる制度を言います。

詳細は以下の記事をご参照ください。
令和4年度(2022年度)のIT導入補助金を分かりやすく解説

 

 

まとめ

以上、今回は令和3年度(2021年度)補正予算で決定した令和4年(2022年)の「ものづくり補助金」の概要について解説させていただきました。

これまで補助金の申請をしたことがない事業者の方でも、申請をすれば経費の一部が補助される可能性がありますので、この記事を参考にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
ただし、補助金の申請には多くの資料が必要な上に、不慣れな場合には、公募要領の読み込みや計画書の文書化など申請までに多くの時間を要します。

そのため、申請をご検討される場合には、「ものづくり補助金」を得意とする専門家に事前にご相談されることをお勧めします。
「江東区・中央区(日本橋)・千葉県(船橋)」を拠点とする保田会計グループは創業時に活用できる「小規模事業者持続化補助金」「ものづくり補助金」「IT補助金」等の補助金・助成金に強い事務所です。

「ものづくり補助金」について、少しでもご興味がございましたら、以下のサイトから保田会計グループにお気軽にご相談ください。
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