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自社株評価方法見直しの最新動向と中小企業経営者が今すぐ備えるべき対策

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業績が好調な中小企業の経営者にとって、自社株の評価額上昇に伴う相続税負担は避けて通れない課題です。
現在、国税庁の有識者会議では、非上場株式の評価方法に関する数十年に一度とも言われる抜本的な見直しが議論されています。この改正が実施されると、多くの優良企業で評価額が上昇し、従来の対策が通用しなくなる恐れがあります。

本記事では、2026年4月施行の改正内容から、今後予定されている抜本的見直しのスケジュール、そして今経営者が取るべき具体的な備えについて、税務のプロの視点で分かりやすく解説します。制度の大きな転換期を前に、自社の資産を守るための正しい知識を身につけましょう。

 

※本記事は、2026年8月22日時点の法令および公表情報に基づいています。

 

1. なぜ今自社株評価方法の見直しが議論されているのか?

非上場企業の経営者にとって、自社株の評価額は相続税や贈与税の負担を左右する極めて重要な要素です。現在国税庁の有識者会議を中心に、この評価方法を根本から見直す議論が加速しています。背景には、現行制度の「歪み」と、それを利用した過度な節税策への厳しい視線があります。

 

(1) 現行の類似業種比準方式と純資産価額方式の乖離

現行の財産評価基本通達では、主に「類似業種比準方式」と「純資産価額方式」の2つを組み合わせて非上場株式を評価します。しかし、業種全体の株価水準に影響を受ける類似業種比準方式と、会社の解散価値に着目する純資産価額方式との間には、評価額に大きな開きが生じることが珍しくありません。特に、多額の含み益を持つ不動産を保有している場合や、特定の利益操作によって比準要素を下げた場合に、実際の企業価値と評価額が著しく乖離するケースが問題視されています。この乖離については、以前より自社株評価方法における会計検査院の指摘内容としても取り上げられており、公平な課税の観点から是正が求められてきました。

 

(2) 意図的な株価引き下げスキームへの規制強化

近年、持株会社の設立や組織再編、あるいは配当の抑制などを通じて、意図的に自社株の評価額を引き下げる手法が広く行われてきました。これに対し税務当局は、実態を伴わない形だけの株価対策を「租税回避」とみなす傾向を強めています。今回の見直し議論の大きな目的の一つは、こうしたスキームによる過度な評価圧縮を防止し、より公平な課税を実現することにあります

 

 

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2.2026年から始まる自社株評価の抜本的見直しと今後のスケジュール

自社株評価の見直しは、単なる通達の微修正に留まらず、評価体系そのものを変える「抜本的見直し」となる見込みです。今後のスケジュール感を確認し、経営者が備えるべきタイムリミットを把握しましょう。

 

(1) 有識者会議で検討されている新たな評価ルールの方向性

国税庁の有識者会議では、現行の比準方式と純資産方式の併用割合の見直しや、評価差額に対する法人税額等相当額の控除の在り方などが議論されています。方向性としては、類似業種比準方式による大幅な評価圧縮を制限し、より純資産価額(実態の資産価値)を反映させる形へのシフトが検討されています。また、事業実態のない会社(資産保有会社)に対する評価の厳格化も大きな論点です。

 

(2) 令和9年度税制改正大綱への盛り込みと施行時期の目安

この抜本的な見直し案は、2026年(令和8年)末に公表される「令和9年度税制改正大綱」に盛り込まれることが有力視されています。改正法案が成立すれば、周知期間を経て、早ければ2028年(令和10年)1月からの適用開始が想定されています。ただし、一部の改正については先んじて通達ベースで実施される可能性もあり、2026年から2027年にかけての動向には細心の注意が必要です。

 

 

3.令和8年4月施行の財産評価基本通達改正による実務への影響

抜本的見直しに先立ち、すでに確定している改正があります。それが「法人税額等相当額」の控除割合の変更です。これは2026年4月から適用されるため、直近の対策に直接影響します。

 

(1) 法人税額等相当額の控除割合が37%から38%へ変更

純資産価額方式で株式を評価する際、資産の含み益から差し引くことができる「法人税額等に相当する金額」の割合が、現行の37%から38%に引き上げられます。

項目 改正前 改正後(2026年4月1日〜)
控除割合 37% 38%
適用対象 相続、遺贈、贈与 同左

この改正は防衛財源確保のための法人税付加税導入に伴うもので、実務上は評価額をわずかに押し下げる要因となります。ただし、その影響幅は限定的です。

 

(2) 純資産価額方式による評価額計算時の注意点

控除割合が38%に増えることは納税者に有利に働きますが、計算の基礎となる「含み益(評価差額)」の算出には注意が必要です。帳簿価額と時価の差額を正確に把握しなければならず、特に不動産や有価証券の時価評価は専門的な判断が求められます。

また、この控除はあくまで純資産価額方式(または併用方式の純資産部分)にのみ適用されるため、会社規模によって受ける恩恵が異なる点に留意してください。

 

 

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4.評価方法の見直し前に検討したい自社株対策の具体策

評価ルールが厳格化された後では、現在有効な対策が使えなくなる恐れがあります。制度が変わる前の「今」だからこそ検討すべき選択肢を整理します。

 

(1) 改正前の株価水準を活用した生前贈与の検討

抜本的な見直しによって将来的に評価額が上昇する可能性が高い場合、現行の評価ルールが適用されるうちに、以下の事項に注意して次世代へ株式を贈与することが有効です。

✓改正施行日(2028年見込み)の前日までに贈与を完了し、適切に申告すること

✓贈与契約書を作成し、株主名簿の書き換えまで行うこと

✓念のために贈与契約書に確定日付を取得すること

 

特に業績が好調な企業ほど、早期の贈与による「評価額の凍結」メリットは大きくなります。

 

(2) 持株会社の設立や組織再編による評価額の圧縮

持株会社(ホールディングス)を設立し、事業会社を傘下に置く組織再編は、自社株評価を抑える代表的な手法です。詳しい仕組みについては、持株会社を活用した事業承継対策で解説していますが、評価を引き下げるだけでなく、経営権の集約にも役立ちます。

ただし、設立直後の持株会社は「株式保有特定会社」に該当するなどのリスクもあり、今回の見直し議論ではこうした組織再編による評価圧縮への規制強化も検討されているため、改正後のルールを見据えた慎重なシミュレーションが不可欠です。

 

 

5.自社株評価の見直しに関するよくある疑問と注意点

最後に、経営者から寄せられることの多い疑問について解説します。

 

(1) 事業承継税制(特例措置)を適用している場合は影響ある?

事業承継税制の特例措置をすでに適用している、あるいは今後適用する予定の場合、自社株評価額そのものが変わっても、猶予される税額の計算根拠が変わるだけで、実納税額がゼロである点は変わりません。ただし、特例承継計画の提出期限(2026年3月末)が迫っており、評価見直しによって将来の相続税負担が激増すると見込まれる場合は、この税制の活用優先度が極めて高まります。

 

(2) 評価見直しによって株価は上がるのか下がるのか?

多くの専門家は、今回の抜本的な見直しによって、多くの中小企業で「評価額は上がる(増税になる)」方向に向かうと予測しています。特に類似業種比準方式の恩恵を強く受けていた優良企業ほど、純資産価額の影響が強まることで評価額が跳ね上がるリスクがあります。一方で、赤字企業や資産背景の乏しい企業への影響は限定的と考えられます。
自社がどちらに該当するか、早急に現行法での試算を行うことが重要です。

 

 

まとめ

自社株評価方法の見直しは、多くの中小企業経営者にとって増税要因となる可能性が高い重要な局面です。2026年4月からは法人税額等相当額の控除割合が38%へ変更されることが決まっており、さらに2028年頃には評価体系そのものの抜本的な改正が見込まれています。

特に業績が好調な企業や含み益のある資産を保有している企業は、現行の評価ルールが適用される期間内に、生前贈与や組織再編といった対策の要否を判断しなければなりません。ただし、安易な節税スキームは税務当局の否認リスクを伴うため、最新の議論動向を踏まえた精緻なシミュレーションが必要です。

まずは自社の現在の株価を正しく把握し、改正によってどの程度の税負担増が見込まれるかを試算することから始めましょう。事業承継税制の特例承継計画の提出期限も2026年3月末に迫っています。手遅れになる前に、信頼できる税理士へ相談し、自社に最適な事業承継プランを再構築することをおすすめします。

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