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社会保険の被扶養者制度は、家計に直結する重要な仕組みです。
とくにパート・アルバイトで働く配偶者にとって、「年間収入はいくらまでなら扶養に入れるのか」は大きな関心事でしょう。さらに2026年4月1日からは、被扶養者の年間収入判定について実務に大きな影響を与える改正が予定されています。
本記事では、社会保険に限定して「被扶養者の年間収入とは何か」を基礎から整理し、2026年改正までを踏まえて分かりやすく解説します。
Table of Contents
1.社会保険の「被扶養者」とは?
社会保険における被扶養者は、税法上の扶養とは異なる独自の考え方で判断されます。
まずは制度の前提を正しく理解することが重要です。
(1) 社会保険での被扶養者の立場とは
社会保険(健康保険・厚生年金)における被扶養者とは、被保険者に主として生計を維持されている家族を指します。
被扶養者として認定されると、自身で保険料を負担することなく健康保険の給付を受けられる点が最大のメリットです。
(2) なぜ「年間収入」が重要なのか
被扶養者かどうかを判断する際の最大の基準が「年間収入」です。
社会保険では、「生計維持関係」を客観的に判断するため、収入額によって線引きが行われています。
2.社会保険上の年間収入要件
ここでは、社会保険における年間収入要件の基本を整理します。
よく知られている「130万円の壁」だけでなく、年齢別の特例にも注意が必要です。
(1) 原則:年間収入130万円未満の壁とは
社会保険上の被扶養者は、年間収入130万円未満であることが原則です。
この130万円は「所得」ではなく収入ベースで判定されます。
| 区分 | 年間収入基準 |
| 一般的な被扶養者 | 130万円未満 |
| 19歳以上23歳未満 | 150万円未満 |
(2) 19歳以上23歳未満は年150万円未満に変更済み(2025年10月〜)
少子化対策の一環として、19歳以上23歳未満の子については、被扶養者の収入基準が150万円未満に引き上げられています。
学生アルバイト世代にとっては、従来より柔軟な制度設計となっています。
(3) 被保険者本人の収入と比較した要件
同一世帯の場合、被扶養者の収入は原則として「被保険者本人の収入の2分の1未満」であることも要件とされます。
高収入の被保険者ほど、この点は問題になりにくい一方、実務では形式的に確認されるケースもあります。
3.2026年4月1日から変わる「年間収入」の取り扱い
2026年4月1日から、被扶養者認定における収入判定の考え方が大きく変わります。
今回の改正は、現場実務に直結する重要なポイントです。
(1) 「見込み収入」から「労働契約ベース」へ判定方法が変更
これまで社会保険では、「今後1年間の見込み収入」によって被扶養者該当性を判断してきました。
2026年4月以降は、労働契約で定められた収入額を基準に判定する方向へ見直しが行われます。
具体的には、労働契約で定められた「基本給」や「時給」、「労働時間」、「勤務日数」などをもとに年間収入の見込額を算出します。
(2) 労働条件通知書等の契約書類を基準にする理由
見込み収入による判定は、判断が曖昧になりやすく、扶養認定の可否が保険者ごとに異なるという問題がありました。
契約書ベースに統一することで、被保険者・被扶養者双方にとって予見可能性が高まります。
(3) 時間外手当などの扱い
労働契約に明示されていない時間外手当や突発的な残業代については、原則として年間収入に含めない方向で整理される見込みです。
これにより、繁忙期の一時的な残業で扶養から外れるリスクが低減します。
4.被扶養者の年間収入に含まれるもの・除外されるもの
年間収入の判定では、「何が含まれ、何が含まれないのか」を正確に理解することが不可欠です。
(1) 収入として含まれるもの
主に以下の収入は、社会保険上の年間収入に含まれます。
| ✓給与や賃金
✓賞与 ✓継続的な手当(役職手当など) |
(2) 一時的な収入・時間外手当の扱い(収入として含まれない)
一時的な臨時収入や、契約外の時間外手当は、2026年改正後は原則として除外方向です。
ただし、恒常的な残業がある場合は、契約内容として扱われる点に注意が必要です。
(3)失業給付・手当金等の非給与収入の取り扱い(収入として含まれない)
失業給付や傷病手当金は、原則として「労務の対価ではない」ため、年間収入に含まれません。
ただし、受給状況によっては生計維持関係が否定されるケースもあります。
5.ケース別:年間収入判定の実務パターン
ここでは、実務でよくあるケースをもとに判定の考え方を整理します。
(1) パート・アルバイトの場合
労働条件通知書に記載された月額賃金を12倍し、年間収入を算定します。
130万円未満(19歳以上23歳未満の場合は150万円未満)であれば、原則として被扶養者に該当します。
(2) 複数の勤務・副業がある場合の注意点
複数の勤務先がある場合は、すべての収入を合算して判定します。
副業収入の申告漏れは、扶養認定取消の原因となるため注意が必要です。
(3) 扶養削除のタイミングと通知手続き
収入要件を超える見込みが立った時点で、速やかに扶養削除の手続きを行う必要があります。
事後的な発覚は、保険給付の返還リスクにつながります。
6.年間収入130万円の壁だけじゃない?社会保険の最新注意点
社会保険では、収入基準以外にも押さえておくべきポイントがあります。
(1) 106万円の壁と加入要件の今後(背景として理解)
106万円の壁は「被扶養者認定」とは別に、本人が社会保険に加入するかどうかの基準です。
今後の制度改正により、撤廃される方向にあります。
106万円の壁の改正については、以下の記事もご参照ください。
(2) 「週20時間以上」の労働時間要件との関係
週20時間以上勤務する場合、一定要件下で社会保険加入義務が生じます。
扶養に入れるかどうかは、収入だけでなく労働時間とも密接に関係します。
(3) 制度改正で影響がある就業調整の考え方
2026年改正により、「なんとなく収入を抑える就業調整」は不要になるケースも増えると考えられます。
なお、年収の壁については、この社会保険料の壁以外にも所得税の壁や、住民税の壁なども存在します。これらの年収の壁については、以下の記事もご参考になさってください。
2025年の年収の壁を漏れなく解説!110万・123万・150万・160万・200万の壁!
7.2026年以降の年間収入の判定手順
改正後は、以下の手順で判断することが重要です。
(1) ステップ1:労働契約を確認する
まず、労働条件通知書・雇用契約書で年収換算額を確認します。
(2) ステップ2:年間収入要件を照合する
130万円・150万円など、該当する基準と照らし合わせます。
(3) ステップ3:必要書類の準備と提出
扶養認定申請書や契約書写しを準備し、保険者へ提出します。
8.「労働契約ベース判定」時代の安心・安全な働き方
2026年4月以降、社会保険の被扶養者認定は「労働契約の内容」を重視する仕組みへと移行します。これにより、従来のように月々の収入実績を細かく管理する働き方から、契約内容を起点とした安定的な働き方へと考え方を切り替える必要があります。
(1) 働き方調整のポイント
これからは「結果としていくら稼いだか」ではなく、「どのような条件で働く契約を結んでいるか」が判断基準となります。雇用契約書や労働条件通知書に記載された時給、所定労働時間、想定年収が130万円(または150万円)未満に収まっているかを事前に確認することが、被扶養者を維持するための基本です。一時的な繁忙対応で収入が増えても、契約外であれば直ちに扶養から外れるとは限りません。
(2) 扶養内で働くための契約書の書き方(実務ヒント)
安心して扶養内で働くためには、契約書に「所定労働時間」「想定年収」を明確にしておくことが重要です。恒常的な残業が想定される場合は、その分が契約内容とみなされる可能性があるため注意が必要です。
(3) 専門家(社労士・税理士)に相談すべき場面
契約内容と実際の働き方に乖離がある場合や、収入が基準額付近になる場合は、社会保険の専門家に確認することで将来的な扶養認定取消リスクを回避できます。
9.まとめ
社会保険における被扶養者の年間収入判定は、家計や働き方に大きな影響を与える重要なテーマです。原則である「年間収入130万円未満」に加え、年齢区分による特例や、被保険者本人の収入との比較要件など、税法上の扶養とは異なる独自ルールを正しく理解することが欠かせません。とくに2026年4月からは、従来の「見込み収入」ではなく「労働契約ベース」で判定される仕組みへと大きく転換します。
これにより、一時的な残業や繁忙期対応で扶養から外れるリスクは低減する一方、雇用契約書や労働条件通知書の内容がこれまで以上に重要になります。今後は「いくら稼いだか」ではなく、「どの条件で働く契約を結んでいるか」を起点に、扶養内での働き方を設計する視点が求められるでしょう。収入が基準額に近い場合や複数収入がある場合は、判断を誤ると扶養認定の取消や給付返還につながるおそれもあります。
制度改正を正しく理解し、不安がある場合は早めに税理士・社労士などの専門家へ相談することが、安心・安全な扶養管理への近道といえます。