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【インボイス④】「インボイス制度に関するQ&A」で留意点を洗い出し!

令和5年10月からいよいよ開始するインボイス制度ですが、制度導入の影響は、請求書の様式や、インボイス交付・保存の手続き、消費税の計算方法など、多岐にわたります。また、経理業務の処理等もかなり煩雑になります。

それもあって、インボイス制度については、かなり細かい点まで、ご質問をいただくことが多いです。

そこで今回は、インボイス制度のよくある質問を「インボイス制度に関するQ&A」として整理しましたので、新しい制度における留意点として、改めてご確認ください。

 

インボイス制度に関するQ&A

インボイス制度に関するQ&Aは以下の通りです。

なお、国税庁が公表しているQ&Aについても、ご参考になさってください。
インボイス制度に関するQ&A目次一覧|国税庁 (nta.go.jp) 

 

 

Q.インボイス制度の経過措置について、教えてください。

 

A.インボイス制度が導入される2023年10月1日以降、免税事業者との取引がある課税事業者の急激な負担を軽減するため、6年間は一定割合の仕入税額控除を受けられるという経過措置が設けられています(国税庁Q&Aの問110)。

 

免税事業者等から課税仕入れに係る仕入税額控除の適用関係を整理すると下表のようになります。

期間 免税事業者等からの仕入税額控除
令和5 年9 月末まで 全額控除
令和5 年10 月~令和8 年9 月末(3 年間) 80%控除
令和8 年10 月~令和11 年9 月末(3 年間) 50%控除
令和11 年10 月以降 控除できない

 

 

Q.仕入税額控除の経過措置以外にも、負担軽減措置が認められたと聞きましたが、どのような措置か教えてください。

 

A.インボイス制度の導入に伴う負担軽減措置として、令和5年度の税制改正で次の4つの措置が創設されています。

 

<令和5年度の税制改正で創設された負担軽減措置>

①税負担を軽減できる2割特例

②帳簿のみの保存で仕入税額控除ができる少額特例

③返還インボイスの交付免除

④適格請求書発行事業者の登録制度の見直し

 

 

Q.負担軽減措置の1つである「2割特例」について、具体的な内容を教えてください。

 

A.2割特例とは、消費税の納税額を売上税額(預かった税額)の2割で計算できると言う特例制度で、適用する場合には仕入税額控除のためのインボイスの保存が不要となります(国税庁Q&Aの問111)。

 

この2割特例は令和5年度の税制改正で、インボイス制度の導入に伴う負担軽減措置の1つとして、創設されています。

創設の背景として、消費税申告の手間と納税負担を避けたい事業者の間でインボイスの登録がなかなか進まなかったことから、インボイス登録のハードルを下げるべく、2割特例が設けられています。

 

2割特例の対象となる事業者は、インボイス制度の開始を機に適格請求書発行事業者に登録をして、免税事業者から課税事業者になる事業者です。

つまり、基準期間における課税売上高も特定期間における課税売上高も1,000万円以下の事業者で、適格請求書発行事業者に登録することではじめて課税事業者になる事業者です。

 

次の事業者は、2割特例を使えないため注意が必要です。

①基準期間か特定期間の課税売上高が1,000万円を超える事業者

②基準期間も特定期間も課税売上高は1,000万円以下だが、課税事業者選択届出書を提出して2023年10月1日の属する課税期間以前から課税事業者になっている事業者

③課税期間の短縮をしている事業者

ただし、上記②のうち2023年10月1日の属する課税期間から課税事業者になった事業者については、2023年10月1日の属する課税期間中に課税事業者選択不適用届出書を提出すれば、2023年10月1日から2割特例の適用を受けられるようになります。

 

また、2割特例に似た制度として、簡易課税制度があります。

消費税額を売上税額(預かった税額)に一定の割合を乗じて簡易的に計算するという点や、仕入税額控除のためにインボイスの保存が不要という点は同じですが、両制度には次のような違いがあります。

 

2割特例 簡易課税
事前の届出の要否 不要 必要
対象となる事業者 インボイス制度を機に免税事業者から課税事業者になった事業者 課税事業者で簡易課税選択の届出をした事業者
基準期間の課税売上高の要件 1,000万円以下 5,000万円以下
特定期間の課税売上高(または給与等)の要件 1,000万円以下 なし
控除できる消費税額 売上税額 × 8割 売上税額×各業種における割合(※1)
消費税の納税額 売上税額 × 2割 売上税額×各業種における割合(※2)
業種による消費税額の違い 業種によって異ならない

(すべての業種で一律)

業種によって異なる
適用できる期間 2023年10月1日から2026年9月30日までの日の属する各課税期間 期間は限定されていない
やめる場合の手続き なし 「消費税簡易課税制度選択不適用届出書」の提出
継続適用の縛り なし 2年間の継続適用の縛りあり

 

※1 第1種(卸売業):90%、第2種(小売業):80%、第3種(製造業):70%、第4種(その他):60%、第5種(サービス業):50%、第6種(不動産業):40%

※2 第1種(卸売業):10%、第2種(小売業):20%、第3種(製造業):30%、第4種(その他):40%、第5種(サービス業):50%、第6種(不動産業):60%

 

消費税の納税額を比較すると、卸売業、小売業以外の業種では、「2割特例」を選んだほうが有利です。

 

 

Q.負担軽減措置の1つである「少額特例」について、具体的な内容を教えてください。

 

A.少額特例とは、「少額取引(税込1万円未満)に係るインボイスの保存は不要とする」一定規模以下の事業者に対する事務負担の軽減措置のことです(国税庁Q&Aの問108、問109)。

 

インボイス制度の「少額特例」とは、買手側が一定の中小事業者に該当する場合には、税込1万円未満の仕入れや経費の取引についてインボイスの保存がなくても一定の事項(上記の帳簿への記載事項を参照)を記載した帳簿の保存のみで仕入税額控除ができる特例です。

この少額特例は令和5年度の税制改正で、インボイス制度の導入に伴う負担軽減措置の1つとして、創設されています。

適用対象者となる中小事業者とは次のいずれかの要件を満たす事業者です。

✓基準期間(※1)における課税売上が1億円以下の事業者

✓特定期間(※2)における課税売上高が5千万以下の事業者

※1 基準期間:事業年度が1年である法人はその事業年度の前々事業年度、個人事業者はその年の前々年

※2 特定期間:法人は前事業年度の開始の日以後の6か月、個人事業者は前年1~6月

 

特例が適用されるのは、令和5年(2023年)10月1日~令和11年(2029年)9月30日までの仕入れや経費です。

また、少額特例が使えるかどうかの判定単位は、課税仕入れに係る1つの商品ごとの金額によって判定するのではなく、1回の取引の合計額が1万円未満であるかどうかにより判定します。

 

少額特例は、仕入先が免税事業者であっても使えることから、なるべくこの特例を利用すべきです。

 

 

Q.負担軽減措置の1つである「返還インボイスの交付免除」について、具体的な内容を教えてください。

 

A.「返還インボイスの交付免除」とは、少額(税込1万円未満)な値引きや返品等については、返還インボイスの交付義務が免除されるという、事業者に対する事務負担の軽減措置のことです(国税庁Q&Aの問28、問29)。

 

インボイス制度の基では、値引きや返品等があると、適格請求書発行事業者である売手側に以下の記載事項を満たした返還インボイス(適格返還請求書)の交付義務が課されていることから、事務負担の増加等が懸念されていました。

<返還インボイスの記載事項>

①適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号

②値引・返品等を行う年月日及びその値引・返品等の基となった売上を行った年月日

③値引・返品等の基となる売上の内容

④値引・返品等の税抜価額又は税込価額を税率ごとに区分して合計した金額

⑤値引・返品等の金額に係る消費税額等又は適用税率

そのため、令和5年度の税制改正で、インボイス制度の導入に伴う負担軽減措置の1つとして、値引や返品等の税込価額が1万円未満である場合には、返還インボイスの交付義務が免除されるという措置が創設されています。

この「返還インボイスの交付免除」については、少額特例等のように適用期間が限定されたものではなく、恒久的な措置のため、混同しないように注意が必要です。

 

 

Q.負担軽減措置の1つである「適格請求書発行事業者の登録制度の見直し」について、具体的な内容を教えてください。

 

A.令和5年度の税制改正で、適格請求書発行事業者の登録を受ける場合や登録の取り消しを受ける場合について、以下の通り、申請書又は届出書の提出期間の見直しが行われています(国税庁Q&Aの問7、問8、問14)。

 

<見直し① 登録申請期限の延長>

2023年10月1日から適格請求書発行事業者になるための登録申請期限が、当初の「2023年3月31日」から、「2023年9月30日」に延長されています。

 

<見直し② 登録希望日の選択>

令和5年10 月2日後に適格請求書発行事業者の登録を受けようとする免税事業者は、提出する日から 15 日を経過する日以後の任意の日を登録希望日として選択できるようになりました
これによって、当初はインボイス制度導入後も免税事業者のまま事業を継続しようと思っていた事業者においても、課税事業者への転換などの柔軟な対応が可能となります。

 

<見直し③ 登録取消期限の短縮>

適格請求書発行事業者が翌課税期間の初日から登録を取り消そうとする場合には、一定の期限までに登録取消届出書を提出する必要があります。この期限について、当初は翌課税期間の初日から起算して1か月前とされていましたが、15日前の日に短縮されています。

なお、登録取消届出書を翌課税期間の初日から起算して 15 日前の日を過ぎて提出した場合には、翌々課税期間の初日に登録が取り消されることから注意が必要です。

 

 

Q.「インボイスの交付義務が免除される取引」とは?

 

A.以下の取扱いが該当します(国税庁Q&Aの問41)。

 

国内で課税資産の譲渡等を行った適格請求書発行事業者には、相手方(課税事業者に限る)からの求めに応じてインボイスの交付義務が課されています。

ただし、次の取引については、適格請求書発行事業者が行う事業の性質上、インボイスを交付することが困難なため、インボイスの交付義務が免除されています。

①3万円未満の公共交通機関(船舶、バス又は鉄道)による旅客の運送

いわゆる「公共交通機関特例」

②出荷者等が卸売市場において行う生鮮食料品等の販売(出荷者から委託を受けた受託者が卸売の業務として行うものに限ります。)

③生産者が農業協同組合、漁業協同組合又は森林組合等に委託して行う農林水産物の販売(無条件委託方式かつ共同計算方式により生産者を特定せずに行うものに限ります。)

④3万円未満の自動販売機及び自動サービス機により行われる商品の販売等

⇒いわゆる「自動販売機特例」

⑤郵便切手類のみを対価とする郵便・貨物サービス(郵便ポストに差し出されたものに限ります。)

これらは、売手側の立場である適格請求書発行事業者がインボイスの交付を免除される取引です。

 

 

Q.「帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められる取引」とは?

 

A.以下の取扱いが該当します(国税庁Q&Aの問101)。

 

「インボイスの交付義務が免除される取引」とは反対に、買手側の立場において、インボイスの保存を免除される取引もあります。

具体的には、インボイスの交付を受けることが困難であるなどの理由により、次の取引については、一定の事項を記載した帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められます。

①適格請求書の交付義務が免除される3万円未満の公共交通機関による旅客の運送

いわゆる「公共交通機関特例」

②適格簡易請求書の記載事項(取引年月日を除きます。)が記載されている入場券等が使用の際に回収される取引(①に該当するものを除きます。)

⇒いわゆる「入場券等回収特例」

③古物営業を営む者の適格請求書発行事業者でない者からの古物(古物営業を営む者の棚卸資産に該当するものに限ります。)の購入

④質屋を営む者の適格請求書発行事業者でない者からの質物(質屋を営む者の棚卸資産に該当するものに限ります。)の取得

⑤宅地建物取引業を営む者の適格請求書発行事業者でない者からの建物(宅地建物取引業を営む者の棚卸資産に該当するものに限ります。)の購入

⑥適格請求書発行事業者でない者からの再生資源及び再生部品(購入者の棚卸資産に該当するものに限ります。)の購入

⑦適格請求書の交付義務が免除される3万円未満の自動販売機及び自動サービス機からの商品の購入等

⇒いわゆる「自動販売機特例」

⑧適格請求書の交付義務が免除される郵便切手類のみを対価とする郵便・貨物サービス(郵便ポストに差し出されたものに限ります。)

⑨従業員等に支給する通常必要と認められる出張旅費等(出張旅費、宿泊費、日当及び通勤手当)

⇒いわゆる「出張旅費等特例」

 

 

Q.「帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められる取引」がある場合、帳簿の記載で気をつけることはありますか?

 

A.通常、帳簿への記載が必要となる事項に、さらに追加で一定の事項の記載が必要となります(国税庁Q&Aの問107)。

 

通常、帳簿への記載が必要となる事項(相手方の氏名又は名称、取引年月日、課税仕入れに係る資産又は役務の内容(軽減税率の対象となる場合にはその旨)、支払対価の額)に追加で、次の2つの事項の記載が必要となります。

✓帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められるいずれかの取引(上記①~⑨)に該当する旨

⇒例えば、①の場合には「3万円未満の鉄道料金」、②の場合には「入場券等」と記載します。

✓仕入れの相手方の住所または所在地(一定の者を除きます。)
⇒例えば、⑦の場合には「〇〇市 自販機」、「××銀行□□支店 ATM」と記載します。

 

また、帳簿に仕入れの相手方の住所または所在地の記載が不要な一定の者は、次の通りです。

✓適格請求書の交付義務が免除される3万円未満の公共交通機関(船舶、バスまたは鉄道)による旅客の運送について、その運送を行った者

✓適格請求書の交付義務が免除される郵便役務の提供について、その郵便役務の提供を行った者

✓課税仕入れに該当する出張旅費等(出張旅費、宿泊費、日当および通勤手当)を支払った場合の当該出張旅費等を受領した使用人等

✓上記③から⑥の課税仕入れ(③から⑤に係る課税仕入れについては、古物営業法、質屋営業法または宅地建物取引業法により、業務に関する帳簿等へ相手方の氏名および住所を記載することとされているもの以外のものに限り、⑥に係る課税仕入れについては、事業者以外の者から受けるものに限る)を行った場合の当該課税仕入れの相手方

 

 

Q.旅費交通費精算について、仕入税額控除を受けるためには、インボイスの保存は必要となりますか?

 

A.従業員が立替払をする場合には、「会社宛のインボイス」、もしくは、「従業員宛のインボイス」+「立替金精算書」の保存が必要となります。また、会社が実費相当分を従業員に支給する場合には、出張旅費等特例の適用により、インボイスの保存はなくても、帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められます。(国税庁Q&Aの問92、問102、問104)。

 

旅費交通費については、「従業員が立替払をして、会社との間で事後に精算する場合」と「会社が従業員に実費相当分を直接支給する場合」の2通りがあります。

 

<従業員が立替払をして、会社との間で事後に精算する場合>

従業員が旅費交通費の立替払を行っている場合、会社が仕入税額控除を行うには、原則として、会社宛のインボイスが必要となります

一方、宛名が会社ではなく、立替払を行った従業員となっている場合には、インボイスの記載事項を満たさないため、会社が仕入税額控除を行うためには、従業員宛のインボイスに加えて、従業員が作成した「立替金精算書」の保存が必要となります

ただし、実務上は、3万円未満の公共交通機関(船舶、バスまたは鉄道)を利用した場合については「公共交通機関特例」の適用を受け、また、3万円以上の公共交通機関を利用した場合でも、公共交通機関である鉄道事業者からインボイスに該当する乗車券の交付を受け、その乗車券が回収されるケースについては、「入場券等回収特例」の適用を受け、必要となる帳簿の記載することで、インボイスや立替金清算書の保存は不要となります。

なお、3万円未満の公共交通機関の利用かどうかは、1回の取引の税込価額が3万円未満かどうかで判定します。そのため、1商品(切符1枚)ごとの金額や、月まとめ等の金額で判定しないことから注意が必要です。

例えば、3人分の運送役務の提供を行う場合には、3人分の金額で判定します。

なお、急行料金や寝台料金は、旅客の運送に直接的に付帯する対価として、この特例の対象になる一方で、入場料金や手回品料金は、旅客の運送に直接的に付帯する対価ではないため、特例の対象にはなりません。

 

<会社が従業員に実費相当分を直接支給する場合>

会社が従業員に出張旅費等を支給する場合には、課税仕入の相手方は従業員となり、「その旅行に通常必要であると認められる部分」の金額については、「出張旅費等特例」で帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められます。

この「出張旅費等特例」には、公共交通機関特例のような金額基準はなく「その旅行に通常必要であると認められる部分」の金額であれば、3万円以上であっても帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められます。

なお、出張旅費、宿泊費、日当については、所得税が非課税となる範囲内で認められ、通勤手当については通勤に通常必要と認められるものであればよく、所得税法施行令20条の2に規定される非課税とされる通勤手当の金額を超えているかどうかは問われません。

 

こられの旅費交通費の取扱いの全体をまとめると下表の通りとなります。

従業員の立替払い 出張旅費の支給
課税仕入れの相手 公共交通機関など 従業員
インボイスの保存の要否 ✓原則、会社宛てのインボイスが必要

✓ただし、従業員宛てのインボイス+業員が作成した立替金精算書でも可

原則、インボイスは不要
帳簿のみの保存の特例 ✓公共交通機関特例(3万円未満)

⇒帳簿に公共交通機関特例である旨を記載

✓入場券等回収特例(3万円以上で乗車券の回収)

⇒帳簿に入場券等回収特例である旨と仕入れの相手の所在地を記載

✓出張旅費等特例(金額基準なし)

⇒帳簿に出張旅費等特例である旨を記載

 

 

Q.銀行に支払う振込手数料について、インボイスの保存は必要となりますか?

 

A.窓口とインターネットバンキングで振込んだ場合の振込手数料について、仕入税額控除を行うためには、インボイスの保存が必要となりますが、ATMで振込んだ場合の振込手数料については、「自動販売機特例」で帳簿に一定の事項を記載すれば、インボイスの保存がなくても仕入税額控除ができます。

 

<窓口で振込んだ場合>

銀行等の窓口で振込んだ場合の振込手数料について、仕入税額控除を行うためには、インボイスの保存が必要となります。

通常は、窓口でインボイスの記載事項を満たした領収書等が交付されるため、当該書類をインボイスとして保存します。

ただし、少額特例を適用できる一定規模以下の事業者については、インボイスの保存がなくとも一定の事項を記載した帳簿の保存のみで仕入税額控除が可能です。

 

<インターネットバンキングで振込んだ場合>

インターネットバンキングで振込んだ場合の振込手数料について、仕入税額控除を行うためには、インボイスの保存が必要となります。

通常は、銀行におけるインボイス対応によって、各銀行のサイト等からインボイスの記載事項を満たした書類をダウンロードできるようになることから、該書類をインボイスとして保存します。

ただし、少額特例を適用できる一定規模以下の事業者については、インボイスの保存がなくとも一定の事項を記載した帳簿の保存のみで仕入税額控除が可能です。

 

<ATMで振込んだ場合>

ATMで振込んだ場合の振込手数料について、仕入税額控除を行うためには、インボイスの保存は不要で、一定の事項を記載した帳簿の保存により仕入税額控除を行うことができます。

これは、「自動販売機特例」と呼ばれるもので、3万円未満の自動販売機や自動サービス機からの商品の購入等については、売手側にインボイスの交付義務が免除されおり、また買手側においても、インボイスの保存が不要で、一定の事項を記載した帳簿のみの保存で仕入税額控除を受けることができるというものです。

ATMでかかる振込手数料は3万円を超えないことから、通常、ATMでの振込手数料は自動販売機特例の対象となります。

 

なお、「自動販売機特例」を適用するためには、帳簿に通常必要な記載事項に加えて、次の2項目を記載する必要があります。

①自動販売機特例に該当する旨

②仕入れの相手方の住所又は所在地を記載する必要があります。

(例えば、××銀行□□支店ATMなど)

 

 

その他の参考記事

インボイス制度に関しては、以下の記事もご参考になさってください。

インボイス制度の基本はこちら:
【インボイス①】インボイス制度の基本を分かりやすく解説!!

インボイス制度における課税事業者の対応はこちら:
【インボイス②】インボイス制度において課税事業者がとるべき対応(インボイスの記載例も)

インボイス制度における免税事業者の対応はこちら:
【インボイス③】インボイス制度において免税事業者がとるべき対応

 

 

まとめ

インボイス制度が導入されると、「請求書の様式」や「インボイス交付・保存の手続き」、「消費税の計算方法」など、その影響は多岐にわたります。

また、経理業務の処理等もかなり煩雑になります。

そのため、インボイス制度に関しては、税理士等の専門家と相談しながら、入念な事前準備をすることが重要です。

 

「江東区・中央区(日本橋)・千葉県(船橋)」を拠点とする保田会計グループでは、インボイス制度への対応に関して、顧問先はもちろん、顧問契約をいただいていない事業者の方に対しても各種アドバイスを積極的に行っております。

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