会社を新たに設立した場合、税務署や地方自治体に対して提出しなければならない各種届出がいくつかあります。
その中でも必ず提出が必要な届出の1つに、税務署と地方自治体に提出する法人設立届出書があります。
そこで今回は、税務署に提出する法人設立届出について、「概要」や「提出期限、提出先、提出方法」、「法人設立届の書き方」などを解説します。
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法人設立届出書とは
会社を設立すると、国や地方自治体に税金を納めることが必要になります。
そこで、まずは会社を設立したことや会社の概要を国や地方自治体に知らせるために、税務署や地方自治体に「法人設立届出書」を提出します。
この 「法人設立届出書」は、株式会社や合同会社はもちろん、一般社団法人や収益事業を営む宗教法人など、どんな会社であっても通常は提出が必要になる書類です。
「法人設立届出書」の様式は決まっており、以下の国税庁サイトからダウンロードができます。
[手続名]内国普通法人等の設立の届出|国税庁 (nta.go.jp)
法人設立届出書の提出先
法人設立届出書の提出は、会社の所在地を管轄する税務署に対して行います。
また、会社の所在地を管轄する地方自治体(都道府県税事務所や市区町村)に対しても提出は必要です。
地方自治体に対して提出する「法人設立届出書」は、以下の記事をご参照ください。
【会社設立後の提出書類②】地方自治体への法人設立届の概要と書き方(記入例あり)
法人設立届出書の提出期限
税務署に提出する法人設立届出書の提出期限は、会社設立の日(設立登記の日)から2カ月以内です。
なお、地方自治体に提出する法人設立届出書の提出期限は、法人設立日以後1か月日以内とされているところが多く、税務署よりも提出期限が早いことがあるため、注意が必要です。
法人設立届出書の提出方法
「法人設立届出書」の提出方法には、「紙で提出する方法」と、「e-Taxを使用して電子申請する方法」とがあります。
紙で提出する方法の場合には、税務署に提出する分と会社の控えとして残しておく分と、それぞれ2部の法人設立届出書を作成します。作成した法人設立届出書は、提出先に直接持ち込んで提出することはもちろん、郵送によって提出することも可能です。
税務署に持ち込む場合には、持参した控えに受領印を押してもらいます。また、郵送の場合には、切手を貼った返信用封筒を同封し、受領印が押された控えを返送してもらいます。
紙で提出する方法では、何かと忙しい創業期の中で、貴重な時間をかなりとられてしまいます。
一方で、e-Taxを使って電子申請をする方法では、「法人設立届出書」と添付書類を印刷して、税務署に届出を提出する手間を省くことができます。
多くの税理士はe-Taxを使って電子申請をすることから、税理士に依頼することで、創業時の貴重な時間を届出の作成・提出にとられずすむため、税理士に依頼することをお勧めします。
税務署への法人設立届出書の書き方・添付書類
ここでは、税務署に提出する法人設立届出書の書き方や添付書類等を確認します。
(1)税務署への法人設立届出書の記載イメージ
税務署に提出する法人設立届出書の記載イメージは以下の通りです。
(2)税務署への法人設立届出書の記載ポイント
税務署に提出する法人設立届出書の記載ポイントは以下の通りです。なお、記載するにあたっては、定款と登記事項証明書を準備します。
①提出先:
本店所在地の所轄税務署名を記入します。
区内に複数の税務署がある地域があるため、ご注意ください。
例えば、東京都の場合、港区には麻布税務署と芝税務署、新宿区には新宿税務署と四谷税務署があります。
所轄の税務署が分からない場合には、以下の国税庁サイトで調べることができます。
国税局・税務署を調べる|国税庁 (nta.go.jp)
②本店所在地、法人名、代表者氏名など:
会社の基本情報を次の通り記入します。
✓本店又は主たる事務所の所在地:
法人の本店の所在地を登記事項証明書の記載通りに記入します。電話番号は、固定電話がない場合、携帯電話番号でも構いません。 ✓納税地: 基本的に上記の「本店の所在地」と同じものを記入します。 ✓法人名: 法人の商号を登記事項証明書の記載通りに記入し、フリガナを記入します。 ✓法人番号: 国税庁が法人番号を公表している以下のサイトで法人番号を調べ、その調べた法人番号(13 桁)を記入します。 なお、登記事項証明書の法人番号は12桁の番号ですが、この法人番号にチェックデジット(一定の方式で算定される数字)の数字を1桁付け加えた13桁の法人番号を使用します。 ✓代表者氏名: 代表者氏名を登記事項証明書の記載通りに記入し、フリガナを記入します。 ✓代表者住所: 代表者住所と電話番号を記入します。電話番号は、固定電話がない場合、携帯電話番号でも構いません。なお、登記事項証明書の代表者住所について、マンション名や部屋番号を省略している場合でも、税務届出には郵便物が届くように出来るだけ省略せずに記載します。 |
③設立年月日:
登記事項証明書に記載されている「会社成立の年月日」を記入します。
④事業年度:
定款に記載されている会計年度(会計期間)を記入します
⑤資本金又は出資金の額:
登記事項証明書に記載されている資本金の額を記入します。
⑥消費税の新設法人に該当することとなった事業年度開始の日:
資本金が1,000万円以上の場合については、この項目に、上記③の設立年月日と同じ年月日を記入しますが、資本金が1,000万円未満の場合については、記入不要です。
⑦事業の目的:
上段には、定款と登記事項証明書に記載のある事業の目的を記入します。量が多い場合には主なもののみ記入します。
下段には、上段の中で、実際に営む事業を記入しますが、上段と同じ内容の場合には「同上」でも構いません。
⑧支店・出張所・工場等:
本店以外に、支店や出張所、工場などがある場合には、その名称と住所を記入します。特になければ記入不要です。
⑨設立の形態:
新規に事業を始める場合には、「5 その他」の項目に○を付け、括弧書きに「金銭出資による新規設立」などと記入します。
また、個人から法人成りをした場合には、「1 個人企業を法人組織とした法人である場合」の項目に○を付け、個人の確定申告を提出している税務署名や整理番号を記入します。
設立の形態が「2~4」である場合には、該当項目に○を付け、さらに下の欄の適格区分に、適格に該当する場合は適格に○、それ以外の場合はその他に○を付けます。
設立の形態が「1または5」の場合には、適格区分の欄は記入不要です。
⑩事業開始(見込み)年月日:
事業開始日または事業を開始する予定の日を記入します。基本的には上記③の設立年月日と同日になります。
⑪「給与支払事務所等の開設届出書」提出の有無:
会社を設立すると、通常は代表取締役や従業員に役員報酬や給料を支払うことになります。その場合には、「法人設立届出書」とあわせて「給与支払事務所等の開設届出書」を提出する必要があるため、有の項目に○を付けます。
会社設立後も事業が軌道に乗るまでは、役員報酬や給料を支払う予定がない場合、「給与支払事務所等の開設届出書」を提出しなくていいことから、無の項目に○を付けます。
⑫添付書類:
詳細は下記(3)に記載していますが、通常は「1 定款等の写し」の項目に○を付けるだけで構いません。
(3)税務署への法人設立届出書の添付書類
税務署に提出する「法人設立届出書」の添付書類について、以前は「登記簿謄本」、「株主等の名簿」、「設立時の貸借対照表」なども必要でしたが、2019年(平成31年)4月以降、通常は「定款のコピー」のみを添付することとなっています。
会社設立後に必要となるその他の手続き
会社設立後に必要となる税務関係手続や社会保険関係手続については、以下の記事をご参照ください。
会社設立後の税務関係手続・社会保険関係手続
また、「青色申告の承認申請書」や「給与支払事務所等の開設届出書」、「源泉徴収税の納期の特例の承認に関する申請書」については、以下の記事をご参照ください。
青色申告の承認申請書はこちら:
【会社設立後の提出書類③】青色申告承認申請の概要と書き方(記入例あり)
給与支払事務所等の開設届出書はこちら:
【会社設立後の提出書類④】給与支払事務所等の開設届出の概要と書き方(記入例あり)
源泉徴収税の納期の特例の承認に関する申請書はこちら:
【会社設立後の提出書類⑤】納期の特例の承認申請の概要と書き方(記入例あり)
まとめ
以上今回は、税務署に提出する法人設立届出について、「概要」や「提出期限、提出先、提出方法」、「法人設立届の書き方」などを解説いたしました。
会社を設立すると、国や地方自治体に対する納税義務が生じます。そのため、会社を設立したことや会社の概要を国や地方自治体に知らせることを目的として、税務署と地方自治体に「法人設立届出書」を提出する必要があります。
「法人設立届出書」の税務署への提出方法には、紙で提出する方法と、e-Taxを使用して電子申請する方法があります。
紙で提出(郵送)する方法では、「法人設立届出書」と添付書類を印刷して、税務署に提出する必要があり、何かと忙しい創業期の中で、貴重な時間をかなりとられてしまいます。
この点、税理士などの専門家に依頼すれば、e-Taxで電子申請してもらえることから、大幅に手間が省けるため、税理士に依頼することをお勧めします。
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