会社を新たに設立した場合、税務署に対して提出しなければならない届出や申請がいくつかあります。
その中でも通常の会社は提出する届出や申請として、「青色申告の承認申請書」や「給与支払事務所等の開設届出書」、「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」があります。
今回は、「給与支払事務所等の開設届出書」について、「概要」や「提出期限」、「届出書・申請書の書き方」などを解説します。
なお、創業・起業・会社設立支援については、以下のサイトをご参照ください。
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Table of Contents
給与支払事務所等の概要
給与支払事務所とは、国内において給与の支払事務を取り扱う事務所のことを言います。
この給与支払事務所を開設すると、役員報酬や給与から所得税を天引き(源泉徴収)して、従業員の代わりに税務署へ納付する義務が生じます。
そこで、給与支払事務所を開設した旨を税務署へ伝えるため、「給与支払事務所等の開設届出書」の提出が必要になります。
具体的には、会社を設立して初めて、代表者に役員報酬を支給することとなった場合、または、従業員やパート・アルバイト等を雇用して給与を支給することとなった場合にこの届出を提出します。
なお、月額給与が88,000円未満の場合、一般的に源泉徴収税額はありませんが、その場合でも給与支払事務所を開設しているとして、「給与支払事務所等の開設届出書」の提出は必要です。
給与支払事務所等の開設届出書の提出期限
「給与支払事務所等の開設届出書」の提出期限は、給与支払事務所等を開設した日から1か月以内です。
期限内に提出していなくても、ペナルティはありませんが、源泉所得税の納付漏れにつながる可能性もあるため、提出期限に遅れても、届出書を提出しておくことが重要です。
手続きの詳細は以下の国税庁サイトをご参照ください。
[手続名]給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出|国税庁 (nta.go.jp)
給与支払事務所等の開設届出書の書き方・添付書類
ここでは、税務署に提出する「給与支払事務所等の開設届出書」の書き方や添付書類等を確認します。
(1)「給与支払事務所等の開設届出書」の記載イメージ
税務署に提出する「給与支払事務所等の開設届出書」の記載イメージは以下の通りです。
(2)「給与支払事務所等の開設届出書」の記載ポイント
税務署に提出する「給与支払事務所等の開設届出書」の記載ポイントは以下の通りです。
①所轄税務署:
本店所在地の所轄税務署名を記入します。
区内に複数の税務署がある地域があるため、ご注意ください。
例えば、東京都の場合、港区には麻布税務署と芝税務署、新宿区には新宿税務署と四谷税務署があります。
所轄の税務署が分からない場合には、以下の国税庁サイトで調べることができます。
国税局・税務署を調べる|国税庁 (nta.go.jp)
②事務所開設者:
給与支払事務所の開設者の基本情報を次の通り記入します。
✓住所又は本店所在地:
支店などである場合を除き、基本的には法人の本店所在地を記入します。電話番号は、固定電話がない場合、携帯電話番号でも構いません。 ✓氏名又は名称: 法人の商号を記入し、フリガナを記入します。 ✓個人番号又は法人番号: 国税庁が法人番号を公表している以下のサイトで法人番号を調べ、その調べた法人番号(13 桁)を記入します。 ✓代表者氏名: 代表者氏名を記入し、フリガナを記入します。 |
③開設・移転・廃止年月日
新たに会社を設立した場合には、基本的には会社設立日を記入します。
ただし、新たに会社を設立したものの暫く給与の支払いがなく、給与の支払いをする時に改めて「給与支払事務所等の開設届出書」を提出する場合には、初めて支払う給与の計算期間の初日を記入します。
④給与支払いを開始する年月日
この欄には上記③の月中に給与支払いがない場合に、実際に給与支払を開始した年月日(又は開始予定の年月日)を記載します。
上記③の月中に給与支払いがある場合には、記載不要です。
⑤届出の内容及び理由
該当する届出事由にチェックを付け、その事由に対応する記載事項を確認する欄になります。
新たに会社を設立した場合には、一番上の「開業又は法人の設立」の項目にチェックを付けます。
⑥給与支払事務所等について
上記⑤でチェックした事由に基づいて、その右側にある記載事項をそれぞれ記載する欄になります。
上記⑤で「開業又は法人の設立」を選択した場合には、空欄となります。
⑦従事員数
会社の役員と従業員の人数、その他パートやアルバイトの人数をそれぞれ記入します。
(3)「給与支払事務所等の開設届出書」の添付書類
税務署に提出する「給与支払事務所等の開設届出書」について、添付すべき書類はありません。
税務署への届出書と申請書の提出方法
「給与支払事務所等の開設届出書」の提出方法には、「紙で提出する方法」と、「e-Taxを使用して電子申請する方法」があります。
紙で提出する方法の場合には、税務署に提出する分と会社の控えとして残しておく分と、それぞれ2部の届出書と申請書を作成します。作成した届出書と申請書は、税務署に直接持ち込んで提出することはもちろん、郵送によって提出することも可能です。
税務署に持ち込む場合には、持参した控えに受領印を押してもらいます。また、郵送の場合には、切手を貼った返信用封筒を同封することで、受領印が押された控えを返送してもらいます。
紙で提出する方法では、何かと忙しい創業期の中で、貴重な時間をかなりとられてしまいます。
一方で、e-Taxを使って電子申請をする場合には、届出書と申請書を印刷して、税務署に提出する手間を省くことができます。
多くの税理士はe-Taxを使って電子申請をすることから、税理士に依頼することで、創業時の貴重な時間を届出書と申請書の作成・提出にとられずすむため、税理士に依頼することをお勧めします。
会社設立後に必要となるその他の手続き
会社設立後に必要となる税務関係手続や社会保険関係手続については、以下の記事をご参照ください。
会社設立後の税務関係手続・社会保険関係手続
また、「青色申告の承認申請書」や「源泉徴収税の納期の特例の承認に関する申請書」については、以下の記事もご参照ください。
「青色申告の承認申請書」はこちら:
【会社設立後の提出書類③】青色申告承認申請の概要と書き方(記入例あり)
「源泉徴収税の納期の特例の承認に関する申請書」はこちら:
【会社設立後の提出書類⑤】納期の特例の承認申請の概要と書き方(記入例あり)
まとめ
以上今回は、「給与支払事務所等の開設届出書」について、「概要」や「提出期限」、「届出書・申請書の書き方」などを解説させていただきました。
会社を設立すると、通常の会社は「青色申告の承認申請書」や「給与支払事務所等の開設届出書」、「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を税務署に提出します。
これらの届出書・申請書の提出方法には、紙で提出する方法と、e-Taxを使用して電子申請する方法があります。
紙で提出する方法では、届出書・申請書を印刷して、税務署に持ち込み又は郵送する必要があり、何かと忙しい創業期の中で、貴重な時間をとられてしまいます。
この点、税理士などの専門家に依頼すれば、e-Taxで電子申請してもらえることから、大幅に手間が省けるため、税理士に依頼することをお勧めします。
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