保田会計事務所|税務・コンサル・会計・その他経営に関わる全てを総合的にサポート

BLOG

ブログ

修正申告が法人税の予定税額に与える影響を解説します!

当期の中間申告に予定申告を採用している場合において、前期の修正申告をすると予定税額は増えるのでしょうか。
結論としては、修正申告書の提出をいつ行ったかどうかで、予定税額への影響の有無が異なってきます。

今回は、法人税の中間申告について、「中間申告の概要」や「予定税額の計算方法」、「修正申告があった場合の予定税額」などを解説します。

なお、税務調査対応については、以下のサイトをご参照ください。
業務内容 – 保田会計事務所|税務・コンサル・会計・その他経営に関わる全てを総合的にサポート

 

法人税の中間申告の概要

まずは、前提の知識として法人税の中間申告の概要を確認します。

法人税の中間申告とは前事業年度の法人税額が一定額を超える場合に、その事業年度の法人税の一部をあらかじめ前払いで納付する制度のことを言います。

会社にとっては、1年分の納税額を分割して支払うことができ、納税にかかる負担を低減することができます。

また、国税側としては税金の収納リスクを軽減することができ、それぞれにメリットがある制度となっています。

 

 

中間申告の対象者や方法、予定税額の計算方法など

次に、中間申告の対象者や方法、申告期限、予定税額の計算方法などを確認します。

(1)対象者

法人税の中間申告は、前事業年度の確定法人税額が20万円を超える場合に行う必要があります。そのため、法人税の中間申告の対象者は、前事業年度の確定法人税額が20万円を超えた事業者になります。

20万円の基準は、あくまで1年間が会計期間の会社であることから、正確には、次の計算式で求めた前期実績基準額が10万円を超える場合に中間申告が必要となります。

前期実績基準額 = 前期の確定法人税額 ÷   前期の月数 × 中間期間の月数

前事業年度が設立初年度などの場合で、会計期間が1年未満の会社は、上記の計算式で前期実績基準額を算定します。

なお、前期の確定法人税額は以下の赤枠部分の「⑮差引確定法人税額」となります。

 

(2)中間申告の方法

法人税の中間申告の方法には、次のように2つの方式があります。

予定申告方式:前期に納めた法人税額の6ヶ月相当額を納税額として中間申告をする方式

仮決算方式:当期の中間時点で仮の決算を行い、納税額を計算して中間申告をする方式

なお、予定申告方式を採用した場合に計算する前期法人税の6か月相当の納税額を「予定税額」と言います。

 

(3)中間申告の申告期限・予定申告のみなし提出

中間申告の申告期限は、その事業年度開始の日以後6ヵ月を経過した日から2ヵ月以内となります。

また、予定申告については「みなし提出制度」があり、中間申告期限において、予定申告書の提出を実際にしていない場合であっても、提出があったものとみなされます

そのため、税務署から送付されてきた金額記載済みの納付書を使って、そのまま申告期限(納付期限)までに納付をすれば、申告をしなくても問題ありません。

 

(4)予定申告による予定税額の計算方法

予定税額は、大まかに言うと、前期の法人税額の2分の1となりますが、正確には、次の計算式で算定します。

前期の確定法人税額 ÷ 前期の月数 × 6(百円未満切捨)

予定税額の算定方法などについては、以下の国税庁サイトもご参照ください。
法人税の中間(予定)税額の算出方法について|国税庁 (nta.go.jp)

 

 

修正申告があった場合の予定税額

税務調査などによる修正申告があった場合、前期実績による予定税額は修正前と修正後どちらの数値を基準に使用するのでしょうか。

これには明確な基準があり、修正申告書の提出をいつ行ったかどうかで、次の通りの取り扱いとなります。

✓事業年度開始の日からカ月以内に提出修正「後」の基準額で算定

✓事業年度開始の日から6カ月経過後に提出修正「前」の基準額で算定

 

 

その他の留意点(資金繰りに注意)

例えば、3月決算の会社が事業年度開始の日から6カ月以内の9月に修正申告書を提出した場合の資金繰りを確認します。

まず、9月の修正申告提出時に過年度分の「本税」を納付し、続いて「加算税」や「延滞税」を納付します。その後、予定申告による場合には、11月に修正後の税額に基づいた予定税額の納付があります。

このように連続して納税が発生することから、資金繰りに注意する必要があります。

なお、予定申告を行わず、仮決算方式による中間申告を行う場合には、中間税額の額を減少させることができる可能性があります

 

まとめ

以上今回は、法人税の中間申告について、「中間申告の概要」や「予定税額の計算方法」、「修正申告があった場合の予定税額」などを解説させていただきました。

中間申告とは前事業年度の法人税額が一定額を超える場合に、その事業年度の法人税の一部をあらかじめ前払いで納付する制度のことを言います。

法人税の中間申告は、前事業年度の確定法人税額が20万円を超える場合に必要となります。また、予定申告を行う場合の予定税額は、大まかに言うと、前期の法人税額の2分の1となります。

中間申告の申告期限は、その事業年度開始の日以後6ヵ月を経過した日から2ヵ月以内となります。
予定申告には、みなし提出制度があり、申告期限において、予定申告書の提出を実際にしていない場合であっても、提出があったものとみなされます。

修正申告があった場合の予定税額への影響の有無は、修正申告書の提出をいつ行ったかどうかで、次の通り、取り扱いが異なります。
・事業年度開始の日から6カ月以内に提出:修正「後」の基準額で算定
・事業年度開始の日から6カ月経過後に提出:修正「前」の基準額で算定

都内と船橋を拠点とする保田会計グループでは、税務調査対応に力を入れており、国税OBからの実践的なアドバイスを提供しています。また、既に顧問税理士がいる方のセカンドオピニオンも対応しております。

税務調査に少しでも不安がある方は、お気軽にお問い合わせください。

なお、所得税や消費税について、前期の修正申告をした場合の予定税額への影響は以下の記事をご参照ください。

所得税:
修正申告が所得税の予定納税に与える影響を解説します!

消費税:
修正申告が消費税の予定税額に与える影響を解説します!