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個人事業主に税理士はいらない?その理由と正しい判断基準を解説

個人事業主に税理士はいらない?その理由と正しい判断基準を解説

個人事業主にとって、税理士に依頼するかどうかは悩ましい問題です。「税理士はいらない」という意見も耳にしますがなぜでしょうか。

本記事では、個人事業主に税理士がいらないと言われる理由から、依頼するメリット・デメリット、適切な判断基準までを解説します。

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個人事業主に税理士はいらないと言われる理由

個人事業主の間で「税理士はいらない」という考えが広まっています。理由として、技術の進歩や情報へのアクセスの容易さがあります。

Table of Contents

会計ソフトで簡単に申告できるようになった

大きな理由の一つは、クラウド会計ソフトの普及です。これらのソフトは、簿記や税務の専門知識がなくても、画面の指示に従って入力するだけで帳簿作成や確定申告書類の作成ができます。銀行口座やクレジットカード、決済サービスなどと連携させれば、取引データを自動で取り込み、仕訳を自動で提案してくれる機能もあります。これにより、煩雑だった経理作業の負担が大幅に軽減され、自分で確定申告を完了させやすくなりました。

ネットや行政の無料相談で対応できる

税務に関する疑問や不安がある方でも、インターネット上には国税庁の公式サイトや税理士事務所、会計ソフト会社の提供する情報などから多くの情報源が得られます。これらの情報を活用すれば、一般的な税務処理について自分で確認できます。また、税務署や自治体では、確定申告時期に無料の税務相談窓口を設けていることも珍しくありません。

税理士とのやりとりが手間になる

税理士に依頼する場合、契約前の相談から、契約手続き、毎月の情報共有、質問への回答など税理士とのコミュニケーションが必要です。特に、税務や会計に関する知識が少ない場合、専門用語や確認事項のやり取りに時間を取られると感じる人もいます。

個人事業主が税理士に依頼するメリット

「税理士はいらない」という意見がある一方で、税理士に依頼することには多くのメリットがあります。事業規模の拡大や経理業務が複雑になると、メリットを強く感じるようになります。

本業に集中できる

税理士に経理や税務申告の作業を任せることで、事務作業にかかる時間を削減できます。浮いた時間を自分の本業である事業活動やスキルアップ、営業活動などに充てられるため、売上向上や事業拡大につながる可能性が高まります。時間が限られている個人事業主にとって、事務作業時間の削減はメリットと言えるでしょう。

記帳や確定申告をプロに任せられる

税務や会計のプロである税理士に依頼すれば、正確な記帳や適切な確定申告を期待できます。自分で作業する場合に起こりうる計算ミスや書類の不備を防ぎ、税務調査のリスクを低減できます。簿記の知識がない場合や、初めての確定申告で不安が大きい場合には、専門家に任せる安心感は大きいでしょう。

税務相談・節税アドバイスが受けられる

税理士は税務に関する専門家です。日々の経理処理で生じる疑問だけでなく、将来的な事業計画や特定の取引に関する税務上の影響などについて相談できます。また、合法的な範囲で利用できる控除や特例などを教えてもらい、適切な節税対策を具体的にアドバイスしてもらえる点もメリットです。自分で情報を調べて対応するよりも、漏れなく効果的な節税につながる可能性があります。

経理スタッフを雇うより費用を抑えられる

事業規模が拡大し、経理業務の負担が大きくなった場合、選択肢としては税理士への依頼か、専従の経理スタッフを雇用するかのどちらかになります。一般的に、経理スタッフを一人雇用するには、給与だけでなく社会保険料なども含めると、税理士に顧問契約で依頼するよりも費用がかかるケースがほとんどです。経理スタッフを雇用するほどの業務量ではないものの、自分一人で抱えきれない場合には、税理士に依頼する方が効率が良いと言えます。

個人事業主が税理士に依頼するデメリット

税理士に依頼することにはメリットが多い一方で、いくつかのデメリットも存在します。依頼を検討する際には、デメリットも理解しておくことが大切です。

顧問料やスポット料金など費用がかかる

税理士に依頼する最大のデメリットは、費用が発生することです。毎月の顧問料や、確定申告時のみのスポット料金など、内容に応じた費用がかかります。売上が少ない時期や、自分自身で対応できる範囲であれば、顧問料が負担に感じられるかもしれません。費用対効果を慎重に検討する必要があります。

税理士とのコミュニケーションが必要

税理士とのやり取りが必要になることもデメリットと感じる場合があります。必要な資料の提出や質問への回答などに手間がかかる、専門用語が多くて理解に時間がかかるといったケースです。相性の合わない税理士を選んでしまうと、コミュニケーション自体がストレスになる可能性もあります。

対応の質が税理士によって異なる

税理士の知識や経験、得意分野は様々です。同じ税理士資格を持っていても、個人事業主の支援経験が豊富かどうか、特定の業種に詳しいかなどで、提供されるサービスの質やアドバイスの内容が異なります。自分に合った税理士を見つけるまでには時間がかかったり、期待していたサービスを受けられなかったりするリスクもゼロではありません。

税理士に依頼できる主な業務内容

税理士は税務や会計に関する幅広い業務を請け負います。個人事業主が税理士に依頼する場合、主に以下のような業務を代行または支援してもらえます。

記帳代行

日々の売上や経費などの取引を帳簿に記録する作業(記帳)を税理士に丸ごと任せることです。領収書や請求書などの資料を税理士に渡せば、代わりに会計ソフトへの入力や仕訳作業を行ってもらえます。自分で記帳する時間がない場合や、簿記の知識に不安がある場合に有効です。

税務書類の作成

確定申告書や青色申告決算書、消費税申告書など、税務署に提出する必要がある各種書類の作成を代行してくれます。自分で作成する手間を省き、正確な書類を作成してもらえるため、申告漏れや計算ミスを防止できます。

税務代理(申告・届出代行)

税務署などへの税務申告や各種申請、届出などを、納税者である個人事業主に代わって行います。例えば、税務署への確定申告書の提出や、開業届、青色申告承認申請書などの提出代行などが含まれます。税務調査が入った際には、納税者の代理として税務署と交渉することも可能です。

税務・経理に関する相談対応

日々の経理処理で疑問が生じた場合や税金に関する悩みがある場合に、専門家である税理士に相談可能です。経費になるかならないかの判断や、特定の取引の仕訳方法、消費税の取り扱いなど、個別の状況に応じたアドバイスが受けられます。また、将来的な事業の展開に関する税務上の相談にも対応してもらえます。

税理士が必要なケース・不要なケース

個人事業主にとって税理士が必要かどうかは、事業の状況や本人のスキル、求めるサポートレベルによって異なります。どのような場合に税理士が必要で、どのような場合に不要と言えるのか、それぞれのケースを見てみましょう。

税理士が必要なケース

個人事業主にとって税理士が必要かどうかは、事業の状況や本人のスキル、求めるサポートレベルによって異なります。ここでは、税理士への依頼を検討すべき「必要なケース」と、ご自身で対応しやすい「不要なケース」について解説します。

売上が増加し帳簿が煩雑になってきた

事業が軌道に乗り売上や取引件数が増加すると、経理作業にかかる時間も増え、帳簿付けが複雑になります。自分で処理するのが難しくなったり、ミスが増えたりする前に、税理士に依頼して専門的なサポートを受けるのが効果的です。

事業に集中したく経理を任せたい

税務や経理に時間を取られることで、本来集中したいはずの本業がおろそかになってしまうのは避けたい状況です。経理業務を税理士にアウトソースすれば時間を確保し、事業の成長にリソースを集中できます。

法人化を検討している

個人事業主から法人成り(会社設立)を検討している場合、税金の種類や計算方法、経理処理の方法が大きく変わります。法人設立の手続き自体や、設立後の複雑な経理・税務処理について、専門家である税理士の知識とサポートが不可欠です。

税理士が不要なケース

一方で、個人事業主であれば、状況により必ずしも税理士に依頼しなくてもご自身で十分に対応できる可能性が高いです。

売上や取引が少なく、会計ソフトで対応できる

事業を開始したばかりで取引量が少ない場合や、副業として小規模に行っている場合など、経理作業がそれほど複雑でない場合は、クラウド会計ソフトの機能だけで十分にカバーできることがほとんどです。この場合、税理士に依頼する必要性は低いと言えます。

確定申告が白色申告レベルで簡易な場合

白色申告は青色申告に比べて記帳方法が簡易です。2014年からは白色申告でも記帳が義務化されましたが、簡易帳簿による記帳で済みます。売上が少なく、経費の種類も限られているなど、シンプルな会計処理で済む場合は、税理士に頼らず自分で対応しやすいでしょう。

税務知識を自分で学んで対応したい場合

自分で税務や会計の知識を習得し、自力で確定申告や日々の経理を行いたいという意欲がある場合も、税理士は必ずしも必要ありません。国税庁のサイトや書籍、セミナーなどを活用して知識を深め、会計ソフトなどを利用すれば、多くの個人事業主は自分で対応可能です。

税理士に依頼するおすすめのタイミング

税理士への依頼は、事業のフェーズや自身の状況に合わせて最適なタイミングがあります。

売上が増加し、経理業務が複雑化したとき

前述の通り、事業拡大に伴い経理が手一杯になったときが典型的な依頼タイミングです。記帳漏れや申告ミスを防ぎ、本業への集中を維持するためにも、業務量が増加したと感じたら税理士に相談してみましょう。

開業時に記帳体制を整えたいとき

これから事業を始める段階で、最初から適切な記帳方法や税務知識を身につけたい、または記帳自体をアウトソースしたいと考えるなら、開業時に税理士に相談するのも良いでしょう。最初の体制構築からサポートしてもらうことで、後々の手間やミスを防げます。

確定申告や税務調査に不安を感じるとき

自分で確定申告をしてみたものの、本当に合っているか不安が残る場合や、過去の申告内容に誤りがないか心配な場合、税務調査の連絡があった場合などは、迷わず税理士に相談すべきタイミングです。申告内容の確認や修正申告、税務調査への対応など、専門家のサポートが不可欠になります。

税理士契約の種類と選び方のポイント

税理士との契約は自分の事業やニーズに合わせて選ぶことが重要です。また、納得できる税理士を見つけるためには、いくつかのチェックポイントがあります。

顧問契約とスポット契約の違い

税理士との主な契約形態には「顧問契約」と「スポット契約」があります。
顧問契約は、年間を通して継続的に税務・会計に関するアドバイスや相談対応、定期的な記帳内容の確認などを受ける契約です。多くの場合、毎月顧問料が発生します。一方、スポット契約は、確定申告書の作成や特定の税務相談など、必要なときに単発で特定の業務のみを依頼する契約です。確定申告時期などで利用されます。

どちらを選ぶべきかの判断軸

どちらの契約形態が良いかは、事業の規模、経理の複雑さ、税務に関する知識レベル、求めるサポート内容によって判断します。毎月の取引が多く経理が煩雑な場合や、継続的に税務相談をしたい、節税対策を積極的に行いたいといった場合は顧問契約が適しています。一方、日々の経理は自分で完結できるが、確定申告書の作成だけはプロに任せたい、特定の疑問点だけを相談したいといった場合はスポット契約で十分でしょう。

良い税理士を見つけるチェックポイント

ここでは、良い税理士を見つけるための主なチェックポイントを3つ紹介します。

費用の明確さ

依頼する前に、どのような業務に対してどれくらいの費用がかかるのか、費用体系が明確になっているかを確認しましょう。見積もりを提示してもらい、サービス内容と費用のバランスを比較検討することが大切です。

レスポンスの速さ

税務や経理に関する疑問は、すぐに解決したいことが多いものです。質問や相談に対するレスポンスが迅速かつ丁寧である税理士なら、安心して業務を任せられます。契約前に問い合わせなどをしてみて、対応速度や質を確認するのも一つの方法です。

業種理解や相談のしやすさ

自分の事業内容(業種)に関する知識や経験が豊富な税理士であれば、より的確なアドバイスやサポートが期待できます。また、専門的な内容でも分かりやすく説明してくれるか、気軽に質問できる雰囲気かなど、相談のしやすさも重要なポイントです。複数の税理士と面談して、相性を確認することをおすすめします。

税理士に依頼する際の費用相場

税理士費用は、依頼する業務内容、事業規模、税理士事務所の料金体系などによって大きく変動します。あくまで目安ですが、一般的な相場を見てみましょう。

スポット依頼(確定申告のみ)の目安

確定申告書の作成のみを依頼する場合、一般的には10万円前後からが目安です。ただし、売上規模や取引の複雑さ、記帳代行の有無などによって費用は変動します。自分で記帳をしっかり行っている方が、費用は抑えられる傾向です。

顧問契約(月額)の平均価格帯

顧問契約の場合、月額の顧問料が発生します。一般的な個人事業主の場合、月額2万円〜3万円程度がボリュームゾーンと言えるでしょう。加えて、決算・確定申告料として月額顧問料の数ヶ月分(4カ月分など)が別途かかることが一般的です。年間の総額で検討することが求められます。

記帳代行などオプション費用に注意

基本となる顧問料や確定申告料以外に、記帳代行を依頼する場合は別途費用が発生します。費用は仕訳数や取引量によって変動することが一般的です。ほかにも年末調整や償却資産税申告など、個別の業務に対して追加料金が発生する場合があるため、契約前にどのような業務が基本料金に含まれ、何がオプションになるのかをしっかりと確認しておきましょう。

確定申告を自分で行う方法と便利なツール

税理士に依頼せず、自分で確定申告を行う個人事業主は多くいます。その際に強力な味方となるのが、会計ソフトです。

freeeやマネーフォワードなど会計ソフトの活用

クラウド会計ソフトの代表格として、freee会計やマネーフォワード確定申告などがあります。これらのソフトは、個人事業主が自分で簡単に確定申告を行うために開発されています。簿記の専門知識がなくても直感的に操作できるインターフェースが特徴です。

自動連携・自動入力機能で作業を効率化

多くの会計ソフトには、銀行口座、クレジットカード、電子マネーなどの取引明細を自動で取り込む連携機能があります。取り込んだ明細から、勘定科目を自動で推測して仕訳を提案してくれる機能もあり、手入力の手間を大幅に削減できます。日々の記帳作業が効率化できるためおすすめです。

質問形式で控除を簡単に適用できる仕組み

会計ソフトの中には、税金に関する質問に答えていくだけで、適用できる控除や特例を自動で判定し、確定申告書に反映してくれる機能を備えたものもあります。複雑な税法を自分で理解していなくても、適切な節税を行いやすくなるでしょう。

電子申告対応で申請もスムーズに

作成した確定申告書類は、多くの会計ソフトからe-Taxを利用して直接電子申告が可能です。税務署まで行く必要がなく、自宅からインターネット経由で申告を完了できます。青色申告の場合、電子申告を行うことで控除額が上乗せされるといったメリットもあります。

よくある質問(Q&A)

個人事業主が税理士に依頼するかどうか検討するにあたって、よくある疑問点をまとめました。ここでは、税理士の必要性や依頼方法に関する質問とその回答を紹介します。

Q. 個人事業主に本当に税理士はいらないですか?

売上が少なく、会計ソフトを使いこなせるなら可能です。ただ「税務調査」「節税」「法人化」のいずれかに不安がある場合、早期に税理士へ相談するとコスト以上のメリットがあります。

Q. 顧問とスポット、どちらを選ぶべき?

日々の疑問を随時解消したい方は顧問、「申告時だけプロに任せたい」方はスポットが適しています。

“いらない”かどうかは今の負担感で決めよう

会計ソフトの進化で「税理士はいらない」と感じるシーンも増えました。しかし経理が負担になり始めた瞬間が、専門家に相談すべきベストタイミングです。

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