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経営セーフティ共済の返戻率・受取り時の税金等を詳しく解説!

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「経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)」は資金繰りの備えと節税を同時に実現できる制度です。

本記事では、返戻率(解約手当金の水準)の考え方や受取り時の税金、出口戦略、解約手続きまでを、税理士事務所の視点でやさしく・実務的に解説します。

 

 

1.経営セーフティ共済とは

まずは制度の基本を押さえ、どのように「備え」と「節税」を両立できるのかを確認しましょう。

(1) 経営セーフティ共済の概要

経営セーフティー共済は、中小企業や個人事業主が取引先の倒産に備えるための共済制度です。毎月5,000円~20万円の範囲で掛金を積み立て、累計800万円まで拠出できます。拠出した掛金は原則として全額が経費(法人は損金、個人は必要経費)にでき、資金保全と税負担の平準化に役立ちます

また、取引先倒産時など万一の時に共済金貸付制度により、掛金総額の10倍の範囲内(上限8,000万円)で資金を借りることもできます。

 

なお、経営セーフティ共済の加入資格などの詳細については、以下の記事もご参照ください。

節税に使える経営セーフティ共済(倒産防止共済)を徹底解説!

 

(2) 返戻率は最大100%

掛金を納付した月数が40か月(3年4か月)以上になると、解約手当金(いわゆる解約返戻金)は掛金元本の100%まで到達します。つまり、備えとして積み立てた資金を、必要なタイミングで原則満額まで回収することができます。

 

(3) 返戻率は解約の理由で変わる

返戻率は加入期間の長短だけでなく、解約理由によっても上下します。

例えば、自己都合による「任意解約」よりも、会社解散や個人事業主の死亡、事業譲渡等のよる「みなし解散」の方が返戻率は少し高くなります。

そのため、実務では「いつ・どの理由で解約するか」を事前に設計しておくことが重要です。

 

 

2.経営セーフティ共済の税金や仕訳

税金は掛金を「掛ける時」と解約手当金を「受け取る時」でそれぞれ性格が変わります。これらを正しく設計することで、税負担をコントロールすることができます。

 

(1) 掛金を「掛ける時」の税金・仕訳

損金(必要経費)算入:

拠出した掛金は全額を拠出した事業年度の費用に算入できます。

前納時の取扱い:

前納では、向こう1年間の掛金を最大240万円(= 20万円 × 12ヶ月)まで一括納付することが可能です。そのため、例えば、月払いで年間240万円の掛金を支払い、事業年度末に前納で240万円の掛金を支払うことで、1年間で最大480万円の経費を増やすことができます。

資金計画との両立:

毎月の損金化により実効税率分の資金流出を抑えられる一方、現預金は掛金として外部に積立てすることができます。手元キャッシュと節税のバランスを取る運用がポイントです。

仕訳:

支払保険料(保険積立金) ××× / 預金 ×××

 

(2) 解約手当金を「受け取る時」の税金・仕訳

収入計上:

解約手当金を受け取った期の収益(益金)に計上するため、課税が生じます。

消費税:

解約手当金は消費税の対象外(不課税)となります。

仕訳のイメージ:

受取り時:現預金 ××× / 雑収入(保険積立金) ×××

計上タイミング:

原則は入金日で差し支えありませんが、決算をまたぐ場合には支給決定通知の到達時点で益金計上を検討します。

 

 

3.経営セーフティー共済は出口戦略が重要

「いつ・何に充てるか」で税負担が大きく変わります。代表的な2つの出口(相殺)戦略を比較し、最適化の方向性を掴みましょう。

 

(1) 解約手当金を退職金と相殺

オーナー経営者の退職時期に合わせて解約し、退職金の支出と解約手当金を相殺する設計が王道のひとつです。退職金は損金算入できる金額が多く、役員退職慰労金規程など社内規程の整備と合理的算定を前提に、解約手当金の益金との相殺で利益を圧縮しやすくなります

 

(2) 解約手当金を大規模修繕費用と相殺

建物や設備の大規模修繕を計画する事業者は、解約手当金の受取期を修繕費の発生期に合わせると、修繕費(損金)と解約手当金(益金)を相殺して課税所得を平準化することができます。資金面では、修繕の原資プールとしても機能します

 

なお、不動産オーナーに対する経営セーフティ共済の活用方法については、以下の記事をご参考になさってください。

不動産オーナーにおすすめ!経営セーフティ共済で節税・大規模修繕への備えが可能!

 

 

(3) 出口戦略の比較表

戦略 主な目的 税務のポイント 向いているケース
退職金相殺 役員・経営者の退職に合わせて利益を圧縮 退職金規程・功績倍率・同業水準の整合が必須 オーナーの退職時期が近く、累積掛金が大きいケース
大規模修繕相殺 設備・建物の修繕費に合わせて利益を圧縮 修繕費と資本的支出の区分、耐用年数の判断 修繕サイクルが読める不動産・製造業など
通常解約(相殺なし) キャッシュ回収を優先 決算跨ぎの計上、税率・繰越欠損の有無 赤字期で資金取り崩しが必要なケース

 

 

4.経営セーフティ共済の解約手当金を受け取るための手続き

手続きは難しくはありませんが、以下の順に進めればスムーズに解約手当金を受け取ることができます。

(1) 必要書類の入手とその他の準備事項

<必要書類>

✓解約手当金請求書

✓掛金預金口座振替解約申出書

 

<その他の準備事項>

✓解約手当金請求書加入時の共済契約者番号を確認

✓本人確認書類・届出口座情報・届出印を準備

 

(2) 解約手当金請求書

「解約手当金」を請求するメインの書類で、契約者情報・口座情報・解約理由などを記載します。

決算期や資金需要のスケジュールに合わせ、入金希望時期から逆算して提出しましょう。

 

(3) 掛金預金口座振替解約申出書

掛金の口座振替を停止するための書類です。解約手当金請求書と併せて提出することで、翌月以降の引落しを止め、解約後の引き落としを防ぎます。

 

(4) 窓口へ提出する

取扱い金融機関・商工会・商工会議所・中小企業団体等の窓口に提出します。郵送の可否や所要日数は窓口により異なるため、提出先の受付方法を事前確認すると安心です。

 

(5) 解約手当金と書類の受け取りをする

審査・事務処理完了後、指定口座へ振込が行われます。支給決定通知や支払通知等の控えは会計・税務証憑として保管してください。決算またぎの場合は支給決定通知の到達時点で益金に計上します。

 

 

5.経営セーフティ共済の注意事項

制度のメリットを最大化するには、いくつかの留意点を押さえておく必要があります。

 

(1) 再加入できない場合がある

経営セーフティー共済の加入条件を満たしていれば、新たに加入の申込みをすることができますが、12か月以上の掛金未払いなどにより、中小機構から共済契約を解除された場合は、解除された日から1年以上が経過していないと再度共済に加入できないことから注意が必要です。

 

(2) 解約後2年間は経費にできない

令和6年10月の税制改正により、解約後2年間は掛金の損金(必要経費)算入という節税メリットを使えません。つまり、「解約→すぐ再積立で節税継続」という運用は税制改正後、できなくなっているため注意が必要です。

 

税制改正の詳細については、以下の記事もご参考になさってください。

経営セーフティ共済の税制改正で解約後2年間は再加入しても経費にならない!

 

 

6.経営セーフティー共済に関するよくある質問(Q&A)

経営セーフティ共済について、経営者から多い質問をQ&A形式で整理しました。

Q1.自己都合による解約方法は?

所定の解約手当金請求書と掛金預金口座振替解約申出書を、取扱窓口へ提出します。加入期間が短い場合は返戻率の低下により元本割れの可能性があるため、決算と資金計画を踏まえた実行が肝要です。

 

Q2.掛金を前納する場合の手続き方法は?

前納は取扱窓口で手続きできます。

前納を希望する場合には、所定の「掛金前納申出書」を準備し、前納希望月の5日(土日祝日の場合は翌営業日)までに、申出書が中小機構に到着するように提出します。

なお、期限を過ぎると、希望月に前納することができないため注意が必要です。

 

Q3.解約手当金に消費税はかかりますか?

消費税はかかりません(不課税)。課税売上割合の計算にも影響しないのが通常ですが、仕入税額控除の按分に関わる論点がある場合には顧問税理士に確認しましょう。

 

 

7.まとめ

経営セーフティ共済は、「備え」と「節税」を同時に叶える実務性の高い制度です。掛金は原則全額を損金・必要経費に算入でき、前納と組み合わせれば当期の費用計上を厚くできます。一方で、返戻率は40か月以上で原則100%に到達するものの、解約理由により水準が変動する点に注意が必要です。解約手当金の受取り時は益金算入となり、消費税は不課税。決算をまたぐ場合は支給決定通知の到達時点での計上可否も検討します。

出口戦略は、①役員退職金との相殺、②大規模修繕費との相殺、③通常解約を軸に、資金需要と利益水準に合わせて最適化するのが定石です。手続き自体は所定書類を窓口へ提出すれば足りますが、証憑は確実に保管します。

令和6年10月改正により「解約後2年間は掛金を経費算入不可」という重要な制約が導入されました。再加入制限の可能性も含め、解約タイミング・理由・会計処理を一体で設計することが成功の鍵です。

 

「江東区・中央区(日本橋)・千葉県(船橋)」を拠点とする保田会計グループにご依頼いただければ、東京税理士協同組合を通して経営セーフティ共済の申込ができます。また、制度の最新動向を踏まえ、貴社の決算・資金繰りに沿った最適解もご提案しますので、ご興味等ございましたら、お気軽にご連絡ください。

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