創業・起業したら、真っ先にやることの一つに事業用の口座開設が挙げられます。特に会社にとっては重要で、会社設立後すぐに法人口座を開設することで、事業をスムーズに行うことができます。
ただし、いざ法人口座を作ろうと思い立っても、どの金融機関で作ればいいのか迷ってしまうこともあると思います。
そこで今回は、「法人口座開設における金融機関の選び方」について、「金融機関ごとの特徴」や「用途別口座の使い分け方法」などの説明を交えながら、解説します。
法人口座の開設を含む、創業・起業・会社設立支援については、以下のサイトをご参照ください。
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創業したらまずは「法人口座」を開設しよう(法人口座のメリット)
取引や資金調達の受取など、事業を営むためには銀行口座の開設は不可欠です。
この銀行口座は必ずしも法人口座である必要はなく、個人口座を使用することもできます。ただし、本格的に会社で事業運営をしていく場合には、ほとんどの人が法人口座を開設します。
法人口座を作ると、主に次の5つのメリットを享受できます。
①お金の流れ(事業に関するキャッシュフロー)が把握しやすい ②取引先や資金調達先からの社会的信用を得られる ③法人と代表個人の資産を区分でき管理しやすい ④融資を受けやすくなる(個人口座では、融資の申請を受け付けてくれない金融機関もあります) ⑤個人口座を使っていると税務署から目をつけられやすい |
なお、法人口座の開設とあわせて導入を検討したいクレジットカードについての詳細は以下の記事もご参照ください。
税金をクレジットカードで支払ってお得にポイント還元
法人口座を開設する金融機関の選び方
法人口座をどこで作るべきか、金融機関を選ぶポイントについて、確認します。
①会社から近い場所に支店やATMがあるか
会社から近い場所に支店やATMのある金融機関を選ぶことで、取引の確認や入出金を素早く確認することができます。
②手数料は安いか
法人口座の手数料の安い金融口座を選ぶことで、口座維持にかかる費用や振り込み手数料等の会社経費を抑えることができます。
③金融機関のネームバリューはあるか
ネームバリューのある金融機関で法人口座を持つことにより、一定の信用をその金融機関から保証されている会社として、社会的信用度を高めることができます。
④融資をしてもらえる金融機関かどうか
融資をしてもらえる可能性の高い金融機関を選ぶことで、将来にまとまった資金が必要となった時に備えることができます。
なお、創業支援に力を入れている地方金融機関については、以下の記事をご参照ください。
地方金融機関(地方銀行・信用金庫・信用組合など)の創業支援
金融機関の種類ごとの特徴
金融機関を選ぶポイントを踏まえた上で、会社に最適な金融機関を選ぶため、次はメガバンク、地方銀行・信用金庫・信用組合、ネット銀行におけるサービスや得意分野について解説します。
①メガバンク
メガバンクで法人口座を持てるということは、厳しい審査を通過できたということです。そのため、取引先からも「この会社なら安心して取引できる」と思ってもらえる等、対外的な信用度がアップします。また、最近は創業期の企業と取引するメガバンクも増えてきており、口座開設の敷居は以前よりは下がっています。
②地方銀行・信用金庫・信用組合など
地域の活性化・貢献を目指しており、地元の中小企業に対して手厚い支援を行っています。また、創業支援にも積極的で、法人口座開設により関係を築くことで、融資の可能性も広がる可能性があります。
③ネット銀行
創業期でも法人口座を開設しやすく、開設手続きにかかる手間も少ないことが特徴です。窓口に行くことが不要で使い勝手がいいことから、上手く活用することで業務効率を上げることができます。また、基本料金や振込手数料が安いことから、経費削減にもつながります。
なお、ネット銀行では日本政策金融公庫への借入返済や社会保険料の引き落しができないことから、ネット銀行単独での法人口座開設ではなく、「地方銀行・信用金庫・信用組合など」の法人口座と併用することが一般的です。
口座は用途別に使い分ける
口座は用途別に使い分けることで、スムーズな資金管理が可能となります。一般的には次の3つの口座があれば、お金の管理がしやすいと言われています。
①入金口座
入金用の口座として、取引先からの振込、現金売上からの定期的な入金、クレジット売上の振込先などで利用して、「入金」の全てを把握できる口座を作ります。
振込先で信用度をアピールもできることから、「メガバンク」での法人口座を活用することをお勧めします。
②支払口座
支払用の口座として、仕入、経費、人件費の支払はもちろん借入の返済にも利用して、「支払」の全てを把握できる口座を作ります。
振込手数料を抑えられ、使い勝手もいい「ネット銀行」での法人口座を活用することをお勧めします。
なお、支払によってお金は出ていく一方となることから、入金口座から定期的に資金を移動させる必要があります。
③税金支払口座
法人税や消費税等の税金を支払うにあたって、納税資金に困らないように貯蓄しておくための口座を別途作ります。
その際、法人口座の開設を足掛かりにして、融資につながる可能性のある「地方銀行・信用金庫・信用組合など」での法人口座を活用することをお勧めします。
金融機関から法人口座開設を断れられる4つの理由
金融機関での法人口座開設にあたっては、融資のように金融機関における審査があります。
この法人口座開設の審査において、口座開設を断られている理由で、よくあるものを4つ紹介させていただきます。
起業・創業の際に、こららの点で審査にかかりそうな場合には、事前に専門家や金融機関へ相談等をされることをお勧めします。
①事業内容や事業目的がはっきりしない
会社定款や履歴事項全部証明書の事業目的が、例えば20個以上ある場合には注意が必要です。
事業目的をむやみやたらに盛り込み過ぎると、法人の実態を把握できないと判断され、法人口座の開設を断られてしまうことがあります。
②登記場所がバーチャルオフィス
金融機関によってはバーチャルオフィスということだけで法人口座の作成が難しい場合があります。
バーチャルオフィスでも法人口座の作成ができる金融機関はありますが、実際に登記場所が確認できるケースと比較するとハードルは高くなります。
特に創業して間もない会社で、実績がない状況の場合には、「メガバンク」や「地方銀行・信用金庫・信用組合など」での口座開設はかなり難しいとされています。
③資本金が少ない(例えば、50万円以下)
資本金が1円でも会社を設立できるようになったものの、資本金が少ない場合には、金融機関から会社の社会的信用が疑われ、法人口座の開設を断られてしまうことがあります。特にこだわりがない場合には、100万円以上を資本金とすることをお勧めします。
④主たる業務の許認可の未取得
例えば建設業、介護事業、酒類販売業など、主たる業務を行うために許認可が必要な場合には、許認可を取得してからでないと、法人口座の開設を断られてしまうことがあります。
まとめ(創業期にお勧めする法人口座の選び方)
以上、今回は「法人口座開設における金融機関の選び方」について、「金融機関ごとの特徴」や「用途別口座の使い分け方法」などの説明を交えながら、解説をさせていただきました。
最後に、保田会計グループが創業期にお勧めする法人口座の選び方を改めてお伝えさせていただきます。
それは、入金口座に「メガバンク」、支払口座に「ネット銀行」、税金支払口座に「地方銀行・信用金庫・信用組合」と選ぶことです。
なお、「メガバンク」での法人口座開設が難しい場合には、入金口座にも「地方銀行・信用金庫・信用組合」の法人口座を使用します。
法人口座の開設・作成についてはもちろん、起業、創業や会社設立などに関して、少しでもお悩みがある場合には、起業・創業に強い「江東区・中央区(日本橋)・千葉県(船橋)」を拠点とする保田会計グループに是非ご相談ください。