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「親の土地を相続すると、どれくらい税金がかかるのか?」と不安を抱える方は少なくありません。特に50代になると親の相続準備が現実味を帯びてきます。その際に必ず関わるのが「路線価」です。
路線価は国税庁が毎年7月に公表する土地の相続税評価の基準で、自宅や実家がどのくらいの税額で評価されるかを知るカギとなります。
本記事では令和7年度の路線価の概要や動向、相続・節税への活用法を税理士事務所の視点で解説します。
Table of Contents
1.路線価とは?基礎からわかりやすく解説
まずは「路線価とは何か」を理解しておきましょう。難しい専門用語もありますが、自分の土地に置き換えて考えるとイメージしやすくなります。
(1) 路線価の定義と役割
路線価とは、国税庁が毎年発表する「相続税や贈与税の土地評価額を計算するための基準」です。道路に面した標準的な宅地1㎡あたりの価格として示されます。
つまり、親の土地や自宅の土地の「相続税上の価値」を決める指標と言えます。
(2) 相続税評価額における位置づけ
例えば、路線価が「30万円」、土地の面積が「100㎡」であれば、
30万円 × 100㎡ = 3,000万円が評価額となります。
この金額を基準に相続税が計算されるため、路線価の変動はそのまま税負担に直結するのです。
(3) 固定資産税評価額・実勢価格との違い
「固定資産税の評価額」と混同されがちですが、使い道も金額水準も異なります。
【土地評価額の種類と特徴の比較表】
価格の種類 | 公表主体 | 主な用途 | 時価との関係 |
路線価 | 国税庁 | 相続税・贈与税 | 実勢価格の約80% |
固定資産税評価額 | 市町村 | 固定資産税・都市計画税 | 実勢価格の約70% |
実勢価格 | 市場 | 売買契約 | 取引価格そのもの |
「売れる値段」と「税金の評価額」が違うという点は、相続で誤解を生みやすいので注意が必要です。
2.路線価の公表時期と発表機関
路線価は相続税や贈与税の計算に欠かせない基準であり、毎年の発表を待ち望む方も多いでしょう。特に相続を控えた方にとっては「いつ公表されるか」を知ることが大切です。
ここでは毎年の路線価が公表される時期や発表機関、過去の公表日について整理していきます。
(1) 公表時期と公表機関
毎年の路線価は、基本的に7月1日に国税庁の公式サイトで公表される予定です。
(2) 過去の公表日との比較
これまでの路線価の公表日は以下のとおりです。
【路線価公表日】
年度 | 公表日 |
令和4年度 | 2022年7月1日 |
令和5年度 | 2023年7月3日 |
令和6年度 | 2024年7月1日 |
(3) 令和7年度は2025年7月1日に公表
令和7年度についても、例年と同様に7月1日に路線価が公表されています。
3.令和7年度の路線価の動向と背景
令和7年度の路線価の全国平均は4年連続で上昇し、特に都市部では再開発やインバウンド需要の回復を背景に大きく伸びています。一方で、人口減少や需要低下が進む地方では横ばいから下落の地域も見られ、地域格差が鮮明になっています。
こうした動向を把握しておくことで、自宅や実家の土地がどの程度の評価額になるのかを早めに把握し、相続税の試算や対策を検討する材料とすることができます。
(1) 全国的な地価の傾向(上昇・下落エリア)
令和7年度の全国平均の路線価は前年比+2.7%となり、現行方式導入後で最大の伸び幅を記録しました。これで4年連続の上昇となり、全国的に地価の回復基調が定着しています。内訳では35都道府県が上昇を示し、特に東京都は+8.1%と突出しました。都市部では再開発の進展やインバウンド需要の回復が追い風となり、商業地を中心に地価が大きく押し上げられています。一方、地方では人口減少や経済活動の停滞を背景に横ばいや下落が続く地域もあり、地域間格差がより鮮明になっています。
(2) 都市部・地方での違い
全国的に路線価は上昇基調ですが、その背景には「都市部」と「地方」とで明確な違いがあります。都市部では再開発の進展や観光需要(インバウンド)の回復が追い風となり、東京都(+8.1%)、大阪府(+4.4%)、福岡県(+6.0%)など、大都市圏を中心に高い伸びを示しました。特に東京は2年連続で大幅上昇し、地価回復をけん引しています。
一方、人口減少や経済活動の縮小が進む地方では横ばいや下落が続いています。奈良県(▲1.0%)、新潟県(▲0.6%)、和歌山県(▲0.7%)などは前年に続きマイナス傾向が見られ、地域格差の拡大が鮮明になっています。
以下は令和6年分・7年分を比較した都道府県別の路線価対前年変動率の一覧です。都市部の堅調さと地方の厳しさを対比しながら確認できます。
【路線価の対前年比率表】
路線価の対前年比率表(%) | |||||
地域 | 7年分 | 6年分 | 地域 | 7年分 | 6年分 |
北海道 | 2.4 | 5.2 | 滋賀 | 0.5 | 0.2 |
青森 | 0.5 | 0.0 | 京都 | 3.7 | 2.4 |
岩手 | 0.2 | 0.6 | 大阪 | 4.4 | 3.1 |
宮城 | 4.4 | 5.1 | 兵庫 | 2.0 | 1.2 |
秋田 | 1.1 | 0.9 | 奈良 | ▲1.0 | ▲0.2 |
山形 | 0.5 | 0.3 | 和歌山 | ▲0.7 | ▲1.0 |
福島 | 1.2 | 0.9 | 鳥取 | 0.2 | ▲0.2 |
茨城 | 1.0 | 0.7 | 島根 | 0.1 | ▲0.1 |
栃木 | 0.1 | ▲0.2 | 岡山 | 1.9 | 1.7 |
群馬 | ▲0.1 | ▲0.5 | 広島 | 2.3 | 2.4 |
埼玉 | 2.1 | 2.1 | 山口 | 0.8 | 0.6 |
千葉 | 4.3 | 4.0 | 徳島 | ▲0.4 | ▲0.4 |
東京 | 8.1 | 5.3 | 香川 | ▲0.1 | ▲0.3 |
神奈川 | 4.4 | 3.6 | 愛媛 | ▲0.5 | ▲0.8 |
山梨 | ▲0.4 | ▲0.2 | 高知 | ▲0.2 | ▲0.1 |
新潟 | ▲0.6 | ▲0.5 | 福岡 | 6.0 | 5.8 |
長野 | 0.6 | 0.4 | 佐賀 | 3.3 | 2.7 |
富山 | ▲0.4 | ▲0.7 | 長崎 | 1.1 | 0.8 |
石川 | 0.7 | 1.4 | 熊本 | 2.8 | 2.7 |
福井 | ▲0.1 | ▲0.5 | 大分 | 1.7 | 1.8 |
岐阜 | ▲0.1 | ▲0.2 | 宮崎 | 0.4 | 0.1 |
静岡 | 0.2 | 0.0 | 鹿児島 | 0.1 | ▲0.7 |
愛知 | 2.8 | 3.2 | 沖縄 | 6.3 | 5.6 |
三重 | 0.4 | 0.1 | 全国 | 2.7 | 2.3 |
4.路線価の調べ方と確認方法
相続税や贈与税を考えるとき、「自宅や実家の土地はいくらで評価されるのだろう」と気になる方は多いと思います。難しい専門知識がなくても、実は路線価は誰でも簡単に調べられます。国税庁のホームページには地図形式の「路線価図」が公開されており、住所や地番から検索すれば道路ごとに設定された価格をすぐに確認できます。
調べる前に「固定資産税の納税通知書」や「権利証」などで土地の地番を控えておくと、よりスムーズに探せます。
数字を知るだけでも「だいたいどのくらいの相続税がかかりそうか」の目安をつかむことができるので、初心者の方でも安心して使える便利な仕組みです。ここでは実際の調べ方や検索ステップを、やさしく順を追って解説していきます。
(1) 国税庁「路線価図」の利用方法
路線価を調べる際に一番便利なのが、国税庁が公式サイトで公開している「路線価図」です。全国の都道府県ごとに用意されており、誰でも無料で閲覧できます。紙の資料を取り寄せる必要はなく、パソコンやスマートフォンから簡単に確認できるのが大きな特徴です。
利用の流れは次のとおりです。
①国税庁のホームページにアクセス トップページから「路線価図・評価倍率表」を選択します。
②都道府県を選択 ③市区町村のページを開く ④地図上で道路を確認 |
例えば、自宅前の道路に「300」と表示されていた場合、その土地の1㎡あたりの評価額は30万円となります。仮に土地の面積が100㎡であれば、30万円 × 100㎡ = 3,000万円 が評価額となります。こうして得られた数値を基に、相続税のシミュレーションに活かすことができるのです。
(2) 住所からの検索ステップ
「路線価図」を使うときに最初に戸惑いやすいのが、“住所”と“地番”の違いです。
普段使っている「住居表示(例:〇〇市△△町1丁目2番3号)」と、登記簿や固定資産税の納税通知書に記載される「地番(例:△△町123番地)」は必ずしも一致しません。路線価図は地番を基準に作られているため、事前に地番を確認しておくとスムーズです。
検索の流れは以下の通りです。
①固定資産税の納税通知書や権利証で地番を確認 住居表示ではなく地番で探すのがポイントです。
②国税庁HPで都道府県を選択 ③市区町村ごとの路線価図を開く ④地図上で地番を探し、路線価を確認 |
もし住所しか分からない場合でも、固定資産税通知書や登記簿謄本で簡単に地番を調べられます。初心者の方でも、この手順を踏めば安心して自宅や実家の路線価を確認することができます。
(3) 調べた数値を相続税計算に活かす方法
路線価図で調べた数値は、そのまま相続税や贈与税の計算に活かすことができます。流れはとてもシンプルで、以下のステップで評価額を算出します。
✓ステップ1:路線価 × 土地面積で評価額を出す
例:路線価が「300」(=30万円/㎡)、土地の面積が100㎡の場合
30万円 × 100㎡ = 3,000万円(土地評価額)
✓ステップ2:基礎控除と比較する
相続税には「基礎控除額」があり、3,000万円 + (600万円 × 法定相続人の数)で計算します。
例えば、相続人が配偶者と子ども2人なら、基礎控除は 3,000万円+600万円×3=4,800万円。
評価額がこれを超えなければ、相続税はかかりません。
✓ステップ3:基礎控除超過分に税率をかける
評価額が基礎控除を超えた場合、その超過分に税率(10%~55%)をかけて相続税を計算します。
このように、調べた路線価の数字を基にシミュレーションすることで、「自分の家庭にどのくらい相続税がかかりそうか」をあらかじめ把握できます。事前に目安をつかむことで、節税策や資金準備を早めに検討できるのが大きなメリットです。
5.よくある質問(Q&A)
(1) 路線価は毎年必ず変わる?
いいえ、必ず変動するわけではありません。全国平均では上昇が続いていますが、地方の一部では横ばい、または下落するケースもあります。つまり、地域によって変動幅に差があるのが特徴です。
(2) 自宅の土地の評価をすぐ知りたいときは?
国税庁の「路線価図」を使えば、誰でも無料で確認できます。固定資産税の納税通知書で地番を確認し、路線価を掛け算するだけで概算の評価額が分かります。専門的な知識がなくても、シミュレーション程度なら十分可能です。
(3) 路線価と不動産鑑定評価はどちらを優先?
税務上の相続税計算では路線価を用いるのが原則です。ただし、路線価と実際の売却価格(実勢価格)が大きく乖離している場合や、特殊な形状の土地などでは、不動産鑑定士の評価を参考にすることも有効です。ケースによっては、専門家の判断を組み合わせることでより適正な評価が可能になります。
6.まとめ
令和7年度の路線価は全国平均で4年連続の上昇となり、特に都市部で大きな伸びが見られました。一方で、人口減少が進む地方では横ばいや下落の地域もあり、地域間格差がより鮮明になっています。路線価は相続税や贈与税の計算に直結する指標であり、自宅や実家の土地がどの程度の評価額になるかを把握することが、相続準備の第一歩です。
調べ方は難しくなく、国税庁の「路線価図」を使えば誰でも確認できます。調べた評価額を基に相続税を試算することで、「課税されるかどうか」「どのくらいの負担になるか」を早めに把握でき、節税対策や資金準備を計画的に進められます。
相続は一度きりの大きな出来事です。後回しにして慌てるよりも、路線価の発表をきっかけに情報を整理し、必要に応じて税理士に相談することで、安心して将来に備えることができます。
「江東区・中央区(日本橋)・千葉県(船橋)」を拠点とする保田会計グループでは、生前贈与や資産管理会社を活用した相続税の節税を得意としております。
相続の準備は“早すぎることはありません”。ぜひ当事務所にご相談いただき、路線価を踏まえたシミュレーションや節税対策をご一緒に考えていきましょう。