確定申告は、申告書を提出すれば終わりではありません。期限までに納税を終えて、はじめ確定申告の完了となります。
この納税の方法として、金融機関や税務署の窓口に行くことが不要なキャッシュレス納付が普及していることは前回の記事でお伝えした通りです。
今回はこのキャッシュレス納付の納税方法のうち、電子納税の1つである「インターネットバンキングの登録方式による納付方法」に焦点をあてて、「電子納税の基本」や「事前準備」、「納税手続」などを詳しく解説します。
なお、キャッシュレス納付については、以下の記事もご参照ください。
「キャッシュレス納付の5つの方法」と「どの方法がお勧めか」を詳しく解説!
Table of Contents
電子納税の基本
まずは、「電子納税の概要とメリット」や「電子納税の種類」を確認します。
(1)電子納税の概要とメリット
電子納税とは、国税の納税を自宅やオフィスからインターネットを経由して電子的に行う納税方法です。
電子納税の特徴やメリットは次の通りです。
✓手許現金の準備が不要(キャッシュレス納付)
✓金融機関や税務署に赴くことが不要 ✓電子証明書やICカードリーダーが不要 ✓PCやスマホで手続きが簡単 ✓利用可能時間内であれば、金融機関や税務署の営業時間を気にしなくていい |
ただし、領収証書が発行されない点には注意が必要です。
(2)電子納税の種類
電子納税は、大きく分けると「ダイレクト納付」と「インターネットバンキングによる納付」の2種類に分けることができます。
また、「インターネットバンキングによる納付」には、「登録方式」と「入力方式」の2つの方式があります。
これら電子納税の種類を整理すると下表の通りとなります。
電子納税の種類 | 利用できる税目 | 具体的な方法 |
(1)ダイレクト納付 | 全ての税目 | 即時または指定日に事前に登録した口座から口座振替 |
(2)インターネットバンキングの「登録方式」による納付 | 全ての税目 | e-Taxで「申告書データ」や「納付情報データ」を送信した後に受信通知を使用して電子納税を行う方式 |
(3) インターネットバンキングの「入力方式」による納付 | 地方消費税、申告所得税及復興特別所得税、復興特別法人税 | e-Taxに納付情報データの登録は行わず、自ら納付目的コードを作成して電子納税を行う方式 |
インターネットバンキングによる納付のうち、「登録方式」と「入力方式」を比較すると、「入力方式」は納付情報データの登録を行うことが不要なため、手軽な方法ではあるものの、利用できる税目が6つに限られており、相続税・贈与税・源泉所得税の納付には利用できないというデメリットがあります。
一方で、「登録方式」において、所得税、法人税、消費税、贈与税、相続税などの確定申告を電子申告(税理士による代理申告も含む)している場合には、納付情報データの登録を省略できるため、この場合には「入力方式」よりも手間がかからないというメリットがあります。
そこで、今回は、上記の電子納税の種類のうち、よく使われる「(2)インターネットバンキングの登録方式による納付方法」について、具体的な手続きや操作方法を以下において確認します。
なお、インターネットバンキングの「入力方式」による納付方法については、以下の記事をご参照ください。
インターネットバンキングの「入力方式」による納付方法を画像付きで詳しく解説!
インターネットバンキングの「登録方式」による納付方法の事前準備
インターネットバンキングによる納付を利用できるための事前準備として、次の2つの作業が必要となります。
①インターネットバンキングを利用できるようにするため、金融機関の認証を受けるためのIDやパスワードをあらかじめ取得する
②税務署に「e-taxの開始届出書」をオンラインで提出(送信)して、利用者識別番号等を取得する |
税理士に依頼する場合には、「e-taxの開始開始届出書」を税理士が代理で提出してくれることが多いですが、ご自身で対応される場合には、以下の記事もご参照ください。
「e-Taxの利用開始届書のオンライン提出方法」と「e-Tax(WEB版)利用の作業手順」を詳しく解説!
インターネットバンキングの「登録方式」による納税手続(全体像)
インターネットバンキングの「登録方式」による納税手続(源泉所得税の自主納付分を除きます。)の全体像は以下の通りです。
出典:登録方式による納税手続 | 【e-Tax】国税電子申告・納税システム(イータックス) (nta.go.jp)
インターネットバンキングの「登録方式」による利用者側の納税手続(画像つき)
インターネットバンキングの「登録方式」による利用者側の納税手続(源泉所得税の自主納付分を除きます。)の詳細は以下の通りです。
(1)e-Tax(WEB版)にログイン
①始めに以下のe-Taxサイトから、「e-Taxソフト(WEB版)へログインする」をクリックします。
https://www.e-tax.nta.go.jp/uketsuke/msgbox.htm
②パソコンなどの環境チェック結果を確認します。
ここで、利用環境や設定状況に問題がある場合には、以下の画面が表示されるため、「×」や「-」と判定されている各項目の解決方法の箇所をクリックして、パソコンなどの利用環境や設定などを見直します。
詳細は、以下の国税庁サイトの(2)利用環境の確認と(4)事前準備セットアップの項目もご参照ください。
e-Taxソフト(WEB版)を利用するに当たって | 【e-Tax】国税電子申告・納税システム(イータックス) (nta.go.jp)
全ての問題が解決されると以下の画面のように全ての判定結果が「〇」となります。
全ての判定結果が「〇」となったことを確認できたら、次に「閉じる」をクリックします。
③メインメニューから「ログイン」をクリックします。
④ログイン画面から、利用者識別番号と暗証番号を入力して、「ログイン」をクリックします。
(2)納付情報データ(納付情報登録依頼)を作成
※所得税、法人税、消費税、贈与税、相続税などの確定申告を税理士が代理で電子申告している場合には、ここでの作業は不要となります。
①メインメニューの「申告・申請・納税」をクリックします。
②新規作成の「操作に進む」をクリックします。
③申告・申請・納税の「納付情報登録依頼」をクリックします。
④納付情報の登録画面で税目、納付の目的となる課税期間などを入力します。
提出先の税務署や税目、納付の目的となる課税期間、申告区分、納付金額等を入力して、納付情報データ(納付情報登録依頼)を作成し、e-Taxに送信して事前に登録します。
<入力イメージ>
実際の画面の様式とは異なりますが、確定申告を税理士が代理で電子申告している場合には、「納付情報データ(納付情報登録依頼)の作成」作業は不要となるため、これ以上の詳細は本記事では割愛します。
(3)受信通知(納付区分番号通知)を確認
①メインメニューの「送信結果・お知らせ」をクリックします。
②メッセージボックス一覧の「操作に進む」(2つある下の方)をクリックします。
③メッセージボックス一覧にある「納付情報登録依頼」の行をクリックします。
なお、未既読欄にあるメールの図に鍵マークがある場合には、電子証明書がないと開封することができませんが、「納付情報登録依頼」には、鍵マークがないため、電子証明書がなくても開封することができます。
(4)受信通知(納付区分番号通知)から納税方法の選択
受信通知を閲覧すると、使用できる納税方法が記載されています。
今回はこの中の「インターネットバンキング」をクリックしますが、クレジットカード納付やスマホアプリ納付を利用する場合には、該当する納付方法をクリックすれば、それぞれの専用支払サイトにアクセスすることができます。
なお、クレジットカード納付については、以下の記事もご参照ください。
税金をクレジットカードで支払ってお得にポイント還元
(5)金融機関サイトでの納付
①インターネットバンキングのIDやパスワードで、金融機関のシステムにログインして、インターネットバンキングの画面上から税金・各種料金払込みのメニューを選択します。
②次に、国税庁を表す収納機関番号(00200)を入力します。
③次に、金融機関のシステムで表示される各欄に、次の番号を入力して送信をします。
金融機関のシステムでの欄の名称 | 対応するe-Taxの番号の名称 |
「納付番号」欄 | 利用者識別番号 |
「確認番号」欄 | 納税用確認番号 |
「納付区分」欄 | 納付区分番号 |
④画面に表示された情報に誤りがないことを確認した上で、納付を行います。
まとめ
以上今回は、キャッシュレス納付の納税方法のうち、電子納税の1つである「インターネットバンキングの登録方式による納付方法」に焦点をあてて、「電子納税の基本」や「事前準備」、「納税手続」などを詳しく解説させていただきました。
上記の内容を確認すると、「インターネットバンキングの登録方式」は手間がかかる方法と思われるかもしれませんが、税理士に申告業務を依頼している場合には、「e-taxの開始届出書の提出」や「納付情報データ(納付情報登録依頼)の作成」は税理士が代理で行うことが一般的です。
そのため、税理士に申告業務を依頼している人が「インターネットバンキングの登録方式」を利用する場合に、実際に行う手続きとしては、「パソコンなどの利用環境や設定などの見直し」、「e-Taxへログインして受信通知からインターネットバンキングにアクセス」、「インターネットバンキングで納付」のみで、金融機関や税務署の窓口に赴いて現金納付する方法と比べると、手間や時間もかからず、かなり便利な方法です。
「江東区・中央区(日本橋)・千葉県(船橋)」を拠点とする保田会計グループでは、ペーパレス化の推進もあり、クライアントの電子納税の普及に力を入れています。
そのため、電子納税やキャッシュレス納付について、少しでもご興味がある方は、お気軽に以下の弊所サイトから、フォーム入力やLINEでご連絡ください。