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【会社設立後の提出書類⑧】被扶養者届の概要と書き方(記入例あり)

会社を新たに設立し、役員報酬や給与を支払うこととなった場合には、年金事務所に対して、提出しなければならない届出がいくつかあります。

具体的には、必ず提出が必要な書類として、「新規適用届」や「被保険者資格取得」があり、また、必要に応じて提出すべき書類として、「被扶養者届」や「保険料口座振替納付申出書」があります。

今回は、この中でも「被扶養者届」について、その「概要」や「書き方」、「添付書類」などを解説します。

 

健康保険・厚生年金保険の加入の手続き方法

健康保険・厚生年金保険の加入手続きは以下の手順で行います。

STEP1:書類の準備

届出書類を日本年金機構の以下のサイトからダウンロードします。
https://www.nenkin.go.jp/shinsei/kounen/tekiyo.html

①健康保険・厚生年金保険 新規適用届

②健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届

③健康保険被扶養者(異動)届

④保険料口座振替納付申出書

 ③健康保険被扶養者(異動)届は、被保険者に扶養する者がいる場合に、④保険料口座振替納付申出書は、口座振替を利用する場合に必要となります。

 

STEP2:書類への記入

届出書類に記入を行います。

③の書き方は、後述しますが、①②④の書き方は、以下の記事をご参照ください。

①健康保険・厚生年金保険 新規適用届はこちら:

【会社設立後の提出書類⑥】健康保険・厚生年金保険の基本と新規適用届の書き方(記入例あり)

②健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届はこちら:
【会社設立後の提出書類⑦】被保険者資格取得届の概要と書き方(記入例あり)

④保険料口座振替納付申出書はこちら:
【会社設立後の提出書類⑨】保険料口座振替納付申出書の概要と書き方(記入例あり)

 

STEP3:書類の提出

設立登記完了後5日以内に各届出を管轄の年金事務所に提出します。

会社所在地の地域を管轄している年金事務所の検索は、日本年金機構の以下のサイトからできます。
日本年金機構:全国の相談・手続き窓口

 

 

被扶養者届の概要

ここでは、健康保険・厚生年金保険の加入手続きのための届出書類の1つである「健康保険 被扶養者(異動)届」の概要を確認します。

「健康保険 被扶養者(異動)届」とは、初めて役員報酬や給与をした場合、従業員の結婚、配偶者や子供の出生・就職・死亡などにより、健康保険や厚生年金保険に加入する従業員の被扶養者として追加・削除・氏名変更などがあった場合等に届け出る書類です。

「健康保険 被扶養者(異動)届」とは、初めて役員報酬や給与を支給した場合などにおいて、健康保険や厚生年金保険に加入する従業員の被扶養者を届け出るための書類です

また、従業員の結婚、配偶者や子供の出生・就職・死亡などにより、従業員の被扶養者を追加や削除、氏名変更などをする場合にも届け出が必要となります。

「被扶養者届」を提出すると、対象となる家族等が収入のない専業主婦(主夫)やパートなどで給与収入を得ている場合でも、「被扶養者」の要件を満たしていれば被保険者の扶養家族として疾病や負傷など必要な保険給付を受けることができます。

ただし、被扶養者を認定するための審査は、公正を期すため厳正に行われます。審査では要件を満たしているかの確認はもちろん、社会通念などにも照らし合わせて総合的に勘案され、厳正な判断を下された上で被扶養者として認定されます。

なお、健康保険で、被扶養者となれるのは、被保険者の三親等内の親族で、主として被保険者の収入によって生計を維持している以下のような人です。

①生計を維持されている次の人:

被保険者の直系尊属(父母、祖父母)、配偶者(内縁も可)、子、孫、弟妹

②生計を維持されていて、同一生計(住居・家計を共にすること)である次の人:

上記①以外の三親等内の親族(兄、姉、伯叔父母、甥姪などとその配偶者、孫・弟妹の配偶者、配偶者の父母・子)、または内縁関係にある配偶者の父母・子(配偶者の死亡後も可)

 

なお、被扶養者の要件などの詳細は以下の記事をご参照ください。
【会社設立後の提出書類⑥】健康保険・厚生年金保険の基本と新規適用届の書き方(記入例あり)

 

 

被扶養者届の書き方と添付書類

ここでは、「健康保険被扶養者(異動)届」の書き方や添付書類を確認します。

(1)被扶養者届の記載イメージ

 

(2)被扶養者届の書き方

被扶養者届は、「事業主記載欄」と「A.被保険者欄」は必ず記入し、「B.配偶者である被扶養者欄」と「C.その他の被扶養者欄」は被扶養者となる人が配偶者かそれ以外かに応じて、それぞれ記入します。
具体的な「被扶養者届」の書き方は、以下の通りです。

<事業主記載欄>

事業所整理番号:

事業所が健康保険及び厚生年金保険の適用対象となった際に、年金事務所より交付された事業所整理記号を記入します。
Ex)事業所整理番号:01-イロハ

なお、新規適用時に提出する場合には、空欄のままで問題ありません

 

事業所所在地、事業所名称、事業主氏名、電話番号:

事業所所在地、名称、氏名、電話番号を記入します。

 

事業主確認欄:

被扶養者の収入要件を事業主が確認したことを示すために、事業主確認欄の「1.確認」に○を付けます。

この場合、収入金額が確認できる書類の添付は不要です(非課税対象の収入の確認書類を除く)。

 

事業主等受付年月日:

事業主が被保険者を通じて配偶者から届書を受け取った日付を記入します。なお、配偶者が被扶養者ではない場合は記入不要です。

 

<A.被保険者欄>

①被保険者整理番号:

資格取得時に払い出しされた被保険者整理番号を記入しますが、被保険者資格取得届と同時に提出する場合には、記入不要です。

 

②氏名、③生年月日、④性別:

氏名欄には、住民票に登録されている氏名を記入し、フリガナをカタカナで記入します。

生年月日欄には、和暦の年号で該当する番号に〇を付けた上で、生年月日を記入します。

性別欄には、該当する方に〇を付けます。

 

⑤個人番号(基礎年金番号):

本人確認を行った上で、個人番号を記入します。基礎年金番号を記入する場合は、基礎年金番号通知書等に記載されている10桁の番号を左詰めで記入します。

 

⑥取得年月日:

「被保険者資格取得届」の取得年月日と同日を記入します。

 

⑦収入:

今後1年間の年収見込み額を記入します。

 

⑧住所:

上記の「⑤個人番号(基礎年金番号)」に個人番号を記入した場合を除き、被保険者の住所及び郵便番号を記入します。

 

<B.配偶者である被扶養者欄>

配偶者を被扶養者にする場合に以下の項目を記入します。

①氏名、②生年月日、③性別(続柄):

氏名欄には、住民票に登録されている氏名を記入し、フリガナをカタカナで記入します。

また、届出日を記載し、「第3号被保険者関係届の提出は配偶者(第2号被保険者)に委任します」欄の右にチェック印を付けます。

生年月日欄には、和暦の年号で該当する番号に〇を付けた上で、生年月日を記入します。

性別(続柄)欄には、該当する番号に〇を付けます。

 

④個人番号(基礎年金番号):

個人番号を記入します。基礎年金番号を記入する場合は、基礎年金番号通知書等に記載されている10桁の番号を左詰めで記入します。

 

⑤外国籍、⑥外国人通称名:

外国籍の人は国籍を記入し、また、郵送物の宛名や保険証の氏名等について、通称名での登録を希望する場合には、住民票に登録された通称名を記入します。

なお、「国民年金第3号被保険者ローマ字氏名届」の提出も必要となります。

 

⑦住所、⑧電話番号:

住所欄には、被保険者と同居または別居のいずれかに〇を付け、住民票の住所を記入します。別居の場合には、「⑮備考」欄に1回当たりの仕送り額を記入の上、預金 通帳のコピー等、仕送りの事実及び仕送り額が確認できる書類を添付する必要もあります。

なお、海外居住者については、国内における協力者住所(親族、第2号被保険者の勤務先住所等)を方書きも含めて記入の上、「⑮備考」欄に海外居住先の住所及び国内協力者が親族の場合は氏名及び続柄を記入します。

電話番号欄には、電話番号を記入します。

 

⑨被扶養者(第3号被保険者)になった日、⑩理由:

被扶養者(第3号被保険者)になった日欄には、配偶者が被扶養者になる場合、「1.該当」に〇を付けた上で、被扶養者になった日を記入します。

なお、被保険者の健康保険加入と同時に提出する場合には「A.被保険者欄」の「⑥取得年月日」と同日、それ以外の場合は婚姻年月日等の実際に被扶養者(第3号被保険者)になった日を記入することとなります。

また、理由欄には、被扶養者になった理由として、次の中から該当する番号に〇を付け、「5.その他」に○をした場合は、その内容も記入します。

1.配偶者の就職
2.婚姻
3.離職
4.収入減少
5.その他

 

⑪職業、⑫収入(年収):

職業欄は、次の中から該当する番号に〇を付け、「4.その他」に○をした場合は、その内容も記入します。

1.無職
2.パート
3.年金受給者
4.その他

収入欄には、職業から得られる給料や不動産収入などに加えて、非課税対象となる年金(障害・遺族)、失業給付、傷病手当金等も含めて記入します。

 

⑬被扶養者(第3号被保険者)でなくなった日、⑭理由:

被扶養者(第3号被保険者)でなくなった日欄には、配偶者が被扶養者でなくなった場合は「非該当」、被扶養者の情報を変更する場合は「変更」に〇を付けた上で、被扶養者でなくなった日を記入します。

被扶養者でなくなった日とは、例えば、⑭の理由欄が、就職の場合には就職年月日、死亡の場合には、死亡日の翌日、後期高齢者医療の被保険者となることにより被扶養者でなくなる場合には被保険者となった日となります。

 

また、理由欄には、被扶養者になった理由として、次の中から該当する番号に〇を付け、「1.死亡」に○をした場合は死亡日を、「6.その他」に○をした場合はその内容も記入します。

1.死亡(令和 年 月 日)
2.離婚
3.就職・収入増加
4.75歳到達
5.障害認定
6.その他

 

⑮備考:

別居の場合は1回あたりの仕送り額を備考欄に記入します。
また、事業者側では、戸籍謄本などで被保険者と被扶養者の続柄を確認し、備考欄の「続柄確認済み」欄の右にチェック印を入れます。

 

⑯海外特例要件に該当した日、⑰理由:

海外転出したときや国内転入したときなどを除き、基本的に記入不要です。

 

⑱海外特例要件に非該当となった日、⑲理由:

海外転出したときや国内転入したときなどを除き、基本的に記入不要です。

 

<C.その他の被扶養者欄>

子供や父母などを被扶養者にする場合、「その他の被扶養者欄」に対象者の氏名、生年月日、性別、続柄、個人番号、住所などを記載します。

記載項目については、基本的に上述の配偶者と同じように記載します。

 

(3)被扶養者届の添付書類

「健康保険 被扶養者(異動)届」の添付書類は、次の通りです。

✓被扶養者の戸籍謄本または住民票の写し(コピー不可・個人番号の記載のないもの)

✓収入要件確認のための書類 

 所得税法の規定による控除対象配偶者または扶養親族となっている者は、事業主の証明があれば添付書類は不要です。

その他、添付書類が必要な場合については、以下の日本年金機構のサイトをご参照ください。
家族を被扶養者にする時、被扶養者の届出事項に変更があった時の詳細説明

 

 

会社設立後に必要となるその他の手続き

会社設立後に必要となる税務関係手続や社会保険関係手続については、以下の記事をご参照ください。
会社設立後の税務関係手続・社会保険関係手続

また、「労働保険の成立届出」については、以下の記事をご参照ください。
【会社設立後の提出書類⑩】労働保険の基本と保険関係成立届の書き方(記入例あり)

 

 

まとめ

以上今回は、「被扶養者届」について、「概要」や「書き方」、「添付書類」などを解説いたしました。

「健康保険 被扶養者(異動)届」とは、初めて役員報酬や給与を支給した場合などにおいて、健康保険や厚生年金保険に加入する従業員の被扶養者を届け出るための書類です。

そして、この「健康保険 被扶養者(異動)届」は、設立登記完了後5日以内に管轄の年金事務所に提出することが必要です。

 

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