保田会計事務所|税務・コンサル・会計・その他経営に関わる全てを総合的にサポート

BLOG

ブログ

【会社設立後の提出書類⑦】被保険者資格取得届の概要と書き方(記入例あり)

会社を新たに設立し、役員報酬や給与を支払うこととなった場合には、年金事務所に対して、提出しなければならない届出がいくつかあります。

具体的には、必ず提出が必要な書類として、「新規適用届」や「被保険者資格取得届」があり、必要に応じて提出すべき書類として、「被扶養者届」や「保険料口座振替納付申出書」があります。

今回は、この中から「被保険者資格取得届」について、その「概要」や「書き方」、「添付書類」などを解説します。

 

健康保険・厚生年金保険の加入の手続き方法

健康保険・厚生年金保険の加入手続きは以下の手順で行います。

STEP1:届出書類の入手

届出書類を日本年金機構の以下のサイトからダウンロードします。
https://www.nenkin.go.jp/shinsei/kounen/tekiyo.html

①健康保険・厚生年金保険 新規適用届

②健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届

③健康保険被扶養者(異動)届

④保険料口座振替納付申出書

 ③健康保険被扶養者(異動)届は、被保険者に扶養する者がいる場合に、④保険料口座振替納付申出書は、口座振替を利用する場合に必要となります。

 

STEP2:届出書類の記入

届出書類に記入を行います。

②の書き方は、後述しますが、①③④の書き方は、以下の記事をご参照ください。

 

①健康保険・厚生年金保険 新規適用届はこちら:
【会社設立後の提出書類⑥】健康保険・厚生年金保険の基本と新規適用届の書き方(記入例あり)

③健康保険被扶養者(異動)届はこちら:
【会社設立後の提出書類⑧】被扶養者届の概要と書き方(記入例あり)

④保険料口座振替納付申出書はこちら:
【会社設立後の提出書類⑨】保険料口座振替納付申出書の概要と書き方(記入例あり)

 

STEP3:届出書類の提出

設立登記完了後5日以内に各届出を管轄の年金事務所に提出します。

会社所在地の地域を管轄している年金事務所の検索は、日本年金機構の以下のサイトからできます。
日本年金機構:全国の相談・手続き窓口

 

 

被保険者資格取得届とは?

ここでは、健康保険・厚生年金保険の加入手続きのための届出書類の1つである「健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届」の概要を確認します。

「健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届」とは、事業所が新しく従業員を雇用した場合に提出が必要となる書類です。この書類を提出することで、従業員は「健康保険」と「厚生年金保険」に加入することができます。

加入対象となるのは、その事業所に「常時使用されている人」となります。常時使用されている人とは、雇用契約書の有無にかかわらず、その事業所で働いていて、労働の対価として給与を常用的にもらっている人のことです。

そのため、常時使用されている人の健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届の提出は、年齢や性別、国籍にかかわらず行うことになります。

なお、パートやアルバイトの従業員であっても、正社員の所定労働時間および所定労働日数の4分3以上であれば被保険者になるため、健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届を提出することになります。ただし、次の3つの要件すべてを満たす人は被保険者となります。

✓週の所定労働時間が20時間以上あること
✓賃金の月額が8.8万円以上であること
✓学生でないこと

 

健康保険・厚生年金の加入対象者などの詳細については、以下の記事をご参照ください。
【会社設立後の提出書類⑥】健康保険・厚生年金保険の基本と新規適用届の書き方(記入例あり)

 

 

被保険者資格取得届の書き方と添付書類

ここでは、「健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届」の書き方や添付書類を確認します。

(1)被保険者資格取得届の記載イメージ

(2)被保険者資格取得届の書き方

被保険者資格取得届は、「提出者記入欄」は必ず記入し、「被保険者1」から「被保険者4」の欄は被保険者の人数に応じて記入します。
具体的な「被保険者資格取得届」の書き方は以下の通りです。

<提出者記入欄>

事業所整理番号、事業所番号:

事業所が健康保険及び厚生年金保険の適用対象となった際に、年金事務所より交付された整理記号と事業所番号を記入します。
Ex)事業所整理番号:01-イロハ、事業所番号:12345

なお、新規適用時に提出する場合には、空欄のままで問題ありません

 

事業所所在地、事業所名称、事業主氏名、電話番号:

事業所所在地、名称、氏名、電話番号を記入します。

 

<被保険者1~4>

①被保険者整理番号:

被保険者整理番号は事業所において提出した順の番号となりますが、記入は不要です。

 

②氏名、③生年月日:

氏名欄には、住民票に登録されている氏名を記入し、フリガナをカタカナで記入します。

生年月日欄には、和暦の年号で該当する番号に〇を付けた上で、生年月日を記入します。

 

④種別:

次の中から該当する番号に〇を付けます。

厚生年金基金に加入していない場合

✓男性の場合・・・「1」
✓女性の場合・・・「2」
✓坑内員の場合・・・「3」

厚生年金基金に加入している場合

✓男性の場合・・・「5」
✓女性の場合・・・「6」
✓坑内員の場合・・・「7」

 

厚生年金基金とは、厚生年金とは別のもので、会社が従業員の老後のために基金を設立した私的な年金制度です。
また、坑内員とは、鉱業法に規定する事業の事業場に使用され、かつ、常時坑内作業に従事する者のことです。

多くの会社では、性別により「1」か「2」を選択することになります

 

⑤取得区分:

「1.健保・厚生年金」の番号に◯を付けます。

 

⑥個人番号(基礎年金番号):

本人確認を行った上で、個人番号を記入します。基礎年金番号を記入する場合は、基礎年金番号通知書等に記載されている10桁の番号を左詰めで記入します。

なお、ここで個人番号を記入した場合には、下記の「⑪住所」記入を省略できることから、個人番号を記入することをお勧めします。

 

⑦取得(該当)年月日:

会社設立時には、事業所が適用事業所となった日の年月日を記入します。

なお、届出を行う個々のケースに応じて、「入社日」や「週の労働時間が30時間以上になった日」などを記入することもあります。

 

⑧被扶養者:

被保険者となる従業員の扶養家族の有無について、該当する方に〇を付けます。なお、「1.有」の場合には「被扶養者(異動)届」の提出も必要となります。

 

⑨報酬月額:

報酬月額のうち、㋐の欄には金銭給与(残業手当などの諸手当も含む)を、㋑の欄には金銭以外の現物給与を、㋒の欄には㋐と㋑の合計額を記入します。

なお、臨時に支払うものや、3月を超える期間ごとに支払う賞与等は、ここで言う「報酬」には含まれません。

 

⑩備考:

次の中から該当する番号に〇を付けます。

1.70歳以上被用者該当
2.二以上事業所勤務者の取得
3.短時間労働者の取得(特定適用事業所)
4.退職後の嘱託再雇用者の取得
5.その他

 

なお、「2.二以上事業所勤務者の取得」に該当する場合には、資格取得日から10日以内に被保険者が「被保険者所属選択・二以上事業所勤務届」を提出する必要があります。

また、「3.短時間労働者の取得(特定適用事業所)」に該当する場合には、「短時間労働者に係る資格取得届」を提出する必要があります。

さらに「、4.退職後の嘱託再雇用者の取得」に該当する場合には、「被保険者資格喪失届」の提出も必要です。

 

⑪住所:

被保険者の住所及び郵便番号を記入します。ただし、上記の「⑥個人番号(基礎年金番号)」に個人番号を記入した場合は記入不要です。

なお、日本国内に住民票(個人番号)を有していない等、住民票住所を記入できない場合には、居所等を記入の上で「1.海外在住」、「2.短期在留」、「3.その他」のうち、いづれかの該当する理由に○を付けて、「3.その他」に○をした場合は、その理由も記入します。

 

(3)被保険者資格取得届の添付書類

「健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届」に添付する書類は、原則としてありません

ただし、60歳以上の従業員を退職後1日も空けずに再雇用する場合には添付書類が必要となります。

詳細については、以下の日本年金機構のサイトをご参照ください。
日本年金機構:従業員を採用した時の詳細説明

 

 

会社設立後に必要となるその他の手続き

会社設立後に必要となる税務関係手続や社会保険関係手続については、以下の記事をご参照ください。
会社設立後の税務関係手続・社会保険関係手続

また、「労働保険の成立届出」については、以下の記事をご参照ください。
【会社設立後の提出書類⑩】労働保険の基本と保険関係成立届の書き方(記入例あり)

 

 

まとめ

以上今回は、「被保険者資格取得届」について、その「概要」や「書き方」、「添付書類」などを解説いたしました。

「健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届」とは、事業所が新しく従業員を雇用した場合に提出が必要となる書類です。
そして、この「健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届」は、設立登記完了後5日以内に管轄の年金事務所に提出することが必要です。

 

「江東区・中央区(日本橋)・千葉県(船橋)」を拠点とする保田会計グループの会社設立支援サービスの特徴は、ワンストップサービスで、経営者の皆様にはなるべく手間をかけさせません。

また、面倒な経理業務を引き取るために経理代行サービスも提供しております。

これらの「会社設立支援サービス」や「経理代行サービス」に関して、少しでもご興味がある方は、会社設立に強い保田会計グループにお気軽にご連絡ください。