法務局での設立登記が済んだ後も、会社の設立作業として、やるべきことはまだあります。その一つが印鑑カードの取得です。
そこで今回は、「印鑑カードについての説明」や、「取得手続き」、「3つの取得方法」、「印鑑カード交付申請と印鑑証明書の請求は同時にできるか」などを詳しく解説します。
なお、当事務所の概要は以下のサイトをご参照ください。
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Table of Contents
印鑑カードとは?
印鑑カードとは、下の画像のようなカードで、法人の印鑑証明書の発行にあたって必ず必要になるものです。個人で持っている市町村役場が発行した印鑑証明書カードに似ています。
通常は、会社の設立登記時に代表者の印鑑を登録した後で、このカードの発行手続きを行って取得します。
出典元:法務省HP(印鑑カード)
なお、法人の印鑑証明書については、以下の記事もご参照ください。
法人の印鑑証明書の6つの取得方法を詳しく解説!!
印鑑カードの取得手続き
印鑑カードの取得手続きについては、以下の印鑑カード交付申請書を提出するだけです。
会社設立登記完了後、この「印鑑カード交付申請書」を作成し、法務局(登記所)の窓口に提出すれば5~10分ほどで受け取ることができます。
この印鑑カードの交付申請手続きができる法務局(登記所)は、「本店所在地の管轄登記所」に限られ、受付時間は月~金の8:30~17:15までとなっていることから、注意が必要です。
なお、代理人が申請する場合には、委任状部分の記載が必要になります。
出典元:法務局HP(登記事項証明書(商業・法人登記)・印鑑証明書等の交付請求書の様式 :法務局 (moj.go.jp))
印鑑カード交付申請書の記載例
印鑑カード交付申請書の記載例(サンプル)は、以下の画像の通りです。
出典元:法務局HP(登記事項証明書(商業・法人登記)・印鑑証明書等の交付請求書の様式 :法務局 (moj.go.jp))
印鑑カード交付申請書の様式に従って、商号、本店(主たる事務所)の住所、印鑑提出者の資格(代表取締役など)と氏名、電話番号、会社法人等番号などを記入します。
代理人が提出して受理する場合には、委任状欄に代表者と代理人の住所、氏名を記入し押印します。また、ここでの押印は個人の印鑑ではなく、法人の実印になります。
印鑑届書とは?
印鑑カードの交付申請書と混同しやすいものに以下の「印鑑届書」があります。
印鑑届書とは、代表者印(会社の実印)を法務局に届け出るための書類で、通常は、会社設立の際に登記書類と一緒に提出をします。
この「印鑑届書」の提出によって、印鑑カードの交付申請をしたことにはならないことから注意が必要です。
出典元:法務局HP(登記事項証明書(商業・法人登記)・印鑑証明書等の交付請求書の様式 :法務局 (moj.go.jp))
印鑑カードの3つの取得方法
印鑑カードは、次の3つの方法で取得することができます。なお、交付にかかる費用は無料です。
(1)代表者が法務局の窓口で取得する方法
(2)代理人が法務局の窓口で取得する方法 (3)法務局から郵送で取得する方法 |
一番早くて確実なのは代表者本人が直接登記所で申請する方法です。その場ですぐ受け取ることができ、早ければ5~10分で発行されます。
(1)代表者が法務局の窓口で取得する方法
代表者が法務局の窓口で取得する場合に、用意するものは次の通りです。
✓印鑑カード交付申請書
✓会社実印 ✓登記時の会社法人番号 |
印影が薄かったり、擦れていたりすると押印のやり直しを要求されることがあることから、押印を鮮明にするよう注意が必要です。
登記時の会社法人番号とは、会社の登記をした時に付与される番号で、履歴事項全部証明書に記載されています。
会社にとって印鑑カードは大事なものとなることから、可能であれば、代理人ではなく代表者本人が申請することをお勧めします。
(2)代理人が法務局の窓口で取得する方法
代理人が法務局の窓口で取得する場合に、用意するものは次の通りです。
✓印鑑カード交付申請書
✓会社実印 ✓登記時の会社法人番号 ✓委任状(申請書内の委任状欄に記載するため、別途の委任状作成は不要) |
委任状は、申請書内の委任状欄を使用し、押印には会社の実印を使う必要があります。
なお、事前に押印した申請書を法務局(登記所)に持参することで、実印の持ち出しは不要となりますが、押印を鮮明にするよう注意が必要です。
(3)法務局から郵送で取得する方法
法務局から郵送で取得する場合に、用意するものは次の通りです。
✓印鑑カード交付申請書
✓会社実印 ✓登記時の会社法人番号 ✓返信用封筒及び切手(レターパックや宅配便の着払い伝票を貼った封筒も可) |
登記所に出向く時間がない場合には、郵送手続きを利用することも可能です。この場合には、必ず代表者本人から申請することとなります。
送付先は、本店所在地を管轄する法務局(登記所)になります。切手を貼った返信用封筒やそれに代わるもの(レターパックや宅配便の着払い伝票を貼った封筒)を同封します。
返送は普通郵便でも受け付けられますが、返送される印鑑カードは会社にとって重要なもののため、郵送物の追跡ができるように、レターパックや宅配便の着払い伝票を貼った封筒を同封することをお勧めします。
また、返送先の住所は、本店所在地、もしくは代表者の個人宅の住所に限られます。登記簿謄本(履歴事項全部証明書)のように任意の住所は指定できないことから注意が必要です。
印鑑カード交付申請と印鑑証明書の請求は同時にできる?
印鑑証明書の請求には、印鑑証明書申請書を作成・提出します。その際、印鑑証明書申請書には印鑑カードに記載されているカード番号記入が必要になるため、印鑑カード交付申請を先に行う必要があります。
そのため、印鑑カード交付申請書と、カード番号をブランクにしたままの印鑑証明書申請書を一緒に郵送しても、法務局(登記所)ではカードの番号を印鑑証明書申請書に記入してくれず、印鑑証明書申請書に関しては書類不備で戻ってきてしまいます。
このように郵送でやり取りする場合には注意が必要です。
法務局の窓口で取得する場合には、カードの交付を待っている時間に印鑑証明書申請書の他の部分を記載しておくとスムーズに事が運びます。
まとめ
以上今回は、「印鑑カードについての説明」や、「取得手続き」、「3つの取得方法」、「印鑑カード交付申請と印鑑証明書の請求は同時にできるか」などを詳しく解説させていただきました。
印鑑カードとは、法人の印鑑証明書の発行にあたって必ず必要になるものです。
印鑑カードの取得手続きについては、印鑑カード交付申請書を提出するだけですが、具体的には次の3つの取得方法があります。
(1)代表者が法務局の窓口で取得する方法、(2)代理人が法務局の窓口で取得する方法、(3)法務局から郵送で取得する方法 |
印鑑カード交付申請と印鑑証明書の請求は同時にできず、郵送の場合には、まず先に印鑑カード交付申請を行う必要があります。ただし、法務局の窓口で取得する場合には、同日に取得することができます。
「江東区・中央区(日本橋)・千葉県(船橋)」を拠点とする保田会計グループでは、会社設立や創業などのご相談を無料でお受けしています。また、印鑑カードの交付申請や印鑑証明書の取得についても、アドバイスをさせていただきますので、お気軽にご相談ください。
なお、法人の登記簿謄本(履歴事項全部証明書)の取得方法を確認したい方は、以下の記事もご参照ください。
登記簿謄本(履歴事項全部証明書)の6つの取得方法を詳しく解説!!