近年においては、働き方の多様化や終身雇用の崩壊により、起業や独立によって、自分が経営者になることを夢見ている方は少なくないと思います。
思い立ったら、すぐ行動することも重要ですが、スムーズに起業するためには、入念に準備を行い、事前に創業計画を立てることも大切です。
無計画に突き進むと、やるべきことに追われ、起業直後の経営者が取り組むべき、「本業でお金を稼ぐ」ことに注力できないばかりでなく、重要な手続きが漏れてしまうこともあります。
今回は「スムーズな起業・創業」に向けて必要な準備を把握するために、新しく会社を設立して起業・創業する際の「一般的なスケジュール(計画)」や「やるべきこと」を解説します。
創業・起業・会社設立支援については、以下のサイトをご参照ください。
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新しく会社を設立して起業・創業する際の一般的なスケジュール(計画)
新しく会社を設立して、「スムーズな起業・創業」をするためには、しっかりとした「やるべきことを」を把握し、それを実施する「スケジュール(計画)」が必要となります。
スケジュールは、そのタイミングによって、次の5項目に分類できます。
(1)会社設立前、(2)会社設立、(3)会社設立後、(4)設立2週間後、(5)設立1年後 |
この分類した5項目について、具体的に「やるべきことを」次から確認します。
(1)会社設立前にすること
会社設立前には、まずはどんな会社にしていきたいのか会社の方針や目的を決めます。その後に、事業計画の作成や資金調達、働くメンバーの募集や見込み客の整理をしていきます。
なお、融資や補助金の活用を考えている場合には、以下の資金調達に関する記事をまずはご一読ください。
創業時に使える資金調達方法を網羅的に解説(融資・出資・補助金・助成金)
会社設立前にすることの具体例は次の通りです。
①創業補助金の申請
各都道府県等には「創業補助金」や「創業助成金」があります。この制度は創業者向け支援制度で、審査に通れば、補助金・助成金を受け取ることができます。また、多くの制度において、会社設立前であっても申請可能です。
②日本政策金融公庫からの借入準備
日本政策金融公庫からの借入を検討します。なお、開業してすぐがお金を借りやすい時期とされています。
③一緒に働く役員や従業員などのメンバー集め
一緒に働くメンバーを集めるとともに、役員と社員のどちらでお願いするのかを検討します。
なお、役員とは「使用者」であり、会社側の人間を言います。一方で、社員とは「労働者」であり、会社の指示に従い業務を行う従業員をを言います。
④名刺、案内状、会社のパンフレット、会社ホームページの作成
名刺やパンフレットの印刷は、納期を長くしておくと価格は安くなりますので、余裕をもって準備することをお勧めします。
⑤税理士や行政書士への依頼
特に会社設立に強い税理士であれば、節税だけでなく、資金調達や会社運営に関しても適切なアドバイスを期待できます。
(2)会社設立時にすること
会社設立時には、会社の実印を作り、定款の作成と法人登記を行います。
定款は作成した後に公証人役場で認証してもらいます。認証が終わったら資本金等を払い込み、法務局で法人登記の手続きを行います。
なお、法人登記に必要となる書類は以下の通りです。
①定款 ②役員就任承諾書 ③印鑑証明(代表者2通、他の役員1通) ④資本金の入金口座のコピー(払込は定款認証の後) ⑤資本金の払込証明書、⑥登録免許税の収入印紙 |
(3)会社設立後にすること
登記が完了となったら、会社設立に関わってくれた方へ、挨拶周りをします。また、所定の期限までに税務署・県・市町村への届出を行います。
会社設立後にすることの具体例は次の通りです。
①会社設立に関わってくれた方への挨拶状の送付や挨拶周り
周りの支えにより、会社を設立できたことを忘れずに感謝の気持ちを伝えることが大切です。また、色んな人との関係構築が今後の事業拡大にも繋がります。
②ホームページやSNSでの情報発信
ホームページの更新やSNSでの情報発信により、集客を強化する等の会社の業績アップに繋げます。
③税務署・県・市町村への届出等
会社設立後には税務署・県・市町村へ届出書等を提出する必要があります。
その中でも「青色申告承認申請書」と「源泉所得税の納期の特例の申請書」は特に申請をお勧めします。
また、社会保険(健康保険と厚生年金)の加入手続きや、従業員を雇う場合には、労災保険や雇用保険の加入手続も必要となります。
具体的な手続きについては、以下の記事をご参照ください。
会社設立後の税務関係手続・社会保険関係手続
(4)設立2週間後にすること
登記が完了しても登記簿謄本の取得には、登記が完了してから2週間前後の時間がかかります。登記簿謄本を取得後に、まずは法人口座の開設を行い、融資の申込等も行います。
設立2週間後にすることの具体例は次の通りです。
①法人口座の開設
申請は登記簿謄本の取得後から行えます。法人口座の開設には、金融機関の審査があり、審査基準は様々ですが、信用力の低さ等で審査に通過できないこともあります。
そのため、口座開設を急いでいる場合には、複数の金融機関で申請を行うことをお勧めします。
法人口座の開設をどこの金融機関ですればいいのかについては、以下の記事をご参照ください。
法人口座はどこで開設?
②制度融資の申込
自治体が起業家向けに行っている融資で、低金利で資金を借りられます。
申請には登記簿謄本が必要となり、申請書類を各自治体から入手し、自治体で面談を行った後に指定の金融機関で手続を行うという流れになります。
制度融資の詳細については、以下の記事をご参照ください。
制度融資を分かりやすく解説(公庫融資との比較)
③日本政策金融公庫で融資の申込
日本政策金融公庫も起業家向けに低金利で融資を行っています。
申請には登記簿謄本が必要となり、全国各地にある日本政策金融公庫で申請用紙を受け取るかホームページからダウンロードをして申し込みをします。
日本政策金融公庫の創業時に使える「新創業融資制度」については、以下の記事をご参照ください。
創業時に使える新創業融資制度とは?
④会計ソフトの導入
会計ソフトは決算前に慌てて導入するのではなく、なるべく早い段階でを導入することをお勧めします。
⑤ITツールの導入、オフィス内・店舗内の環境の整備
コミュニケーション用ツール、顧客管理ソフトや販売管理ソフト等のITツールを導入し、生産性向上と業務効率化を進めます。また、オフィス内・店舗内の環境の整備を進めることで従業員のモチベーションアップも期待できます。
⑥販路の拡大
ホームページやSNSでの情報発信だけでなく、セミナー、イベント、交流会等に積極的に参加し、良い人脈や経営者仲間を増やして、販路拡大に繋げます。
(5)設立1年後にすること
事業年度の終了後2カ月以内に税務申告を行って納税をすることで、無事に1期目が終了します。
なお、1期目を終えると、マル経融資(小規模事業者経営改善資金融資)を使ってお金を借りることも検討できます。このマル経融資とは、商工会議所などから経営の指導(原則では6カ月以上)を受けている小規模事業者が対象となって、その経営を支援する目的で、日本政策金融公庫が「無担保・無保証」で融資を行っている制度になります。創業融資とは別枠で「運転資金」と「設備資金」が必要な場合には、ご利用をお勧めします。
まとめ
以上、今回は新しく会社を設立して起業・創業する際の「一般的なスケジュール(計画)」や「やるべきこと」を解説をさせていただきました。
「スムーズな起業・創業」に向けては、十分に余裕をもった時期から必要な準備を進めることが重要です。
起業や創業をするにあたっては、様々な不安があると思いますが、このような不安は一人で抱え込まずにできるだけ解消してから起業等することが望ましいです。
起業や創業時のお悩みは、起業・創業に強い「江東区・中央区(日本橋)・千葉県(船橋)」を拠点とする保田会計グループに是非ご相談ください。