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税理士を変更したいと考えているものの、どう進めていくべきか不安な方も多いのではないでしょうか。
税理士変更は、適切なタイミングと手順を押さえれば、スムーズに進めることができます。一方で、顧問契約の終了連絡だけでなく、帳簿や会計データの受け渡し、電子申告やクラウド会計ソフトの権限整理など、事前に確認しておきたい項目も少なくありません。
準備が不十分なまま進めると、必要書類の引き継ぎ漏れや、現税理士との行き違い、新税理士との認識のズレにつながることがあります。
本記事では、税理士変更に失敗しないために知っておきたい手順やタイミング、変更時の注意点、良い税理士を見極めるためのチェックポイントについて解説します。
なお、本記事では、現在依頼している税理士を「現税理士」、これから依頼する税理士を「新税理士」として説明します。
税理士変更でお悩みの方は保田会計事務所へご相談ください「今の税理士に不満はあるけれど、変更すべきか判断できない」 「税理士を変えたいけれど、引き継ぎや契約解除でトラブルにならないか不安」 「返信が遅い」「相談しにくい」「節税や資金繰りの提案が少ない」「料金とサポート内容が合っていない気がする」など、今の税理士に対してモヤモヤを感じていませんか。 このようなお悩みがある方は、保田会計事務所へご相談ください。 今感じているモヤモヤを言葉にすることで、本当に変更が必要か、まず何を確認すべきかが見えやすくなります。 また、税理士を変更する場合は、必要書類や会計データ、クラウド会計の権限、税務署への届出関係など、引き継ぎに必要な内容も整理します。 経験豊富な国税OBが、税務署に確認されやすいポイントや、変更後に注意すべき税務・会計の流れを踏まえてサポートします。 「まだ変更すると決めていない」という段階でも問題ありません。 |
Table of Contents
税理士変更を考える前に課題を分けて整理
税理士を変えたくなるきっかけは人それぞれですが、「何が困っているのか」が曖昧なままだと、新しい税理士に替えても同じ不満が残ることがあります。まずは現状のモヤモヤを言葉にして、次の3つに分類してみましょう。
困りごとが分類できると、面談で確認すべき点や、依頼したい範囲が見えてきます。
連絡と共有のズレが積み重なっている
「質問しにくい」「返事が遅い」「言われた通りにやっているのに指摘が後から出る」といった悩みは、相性だけでなく連絡の仕組みが合っていないことが原因の場合があります。
連絡手段が電話中心で記録が残らない、窓口が固定されていない、資料の受け渡しが郵送でタイムラグが出るなど、日々のズレが積み重なると、社内の経理担当者も経営者も疲弊しやすくなります。
よくあるサインは次の通りです。
・質問を送っても回答が数日以上かかることが多い
・同じ内容を何度も説明することが増えた
・月次の数字が出るのが遅く、判断が後手になっている
・指示が抽象的で、何をどう直せばよいか分からない
顧問料と依頼範囲の認識が一致しない
顧問料の高い安いは、金額だけでは判断しにくいものです。大切なのは、顧問料に含まれる業務範囲が何か、追加料金が発生する条件が何かを、双方が同じ理解で持てているかどうかです。
たとえば「記帳代行と申告だけ」が契約の中心なら、経営相談や資金繰り相談が少なくても不思議ではありません。逆に、経営相談や節税提案まで含む契約のつもりで依頼しているなら、期待とのズレが生まれます。
確認の入口として、次を見直してみてください。
・顧問契約書に記載の業務範囲(記帳、月次、決算、年末調整、給与計算など)
・面談回数や連絡方法の取り決めの有無
・税務調査対応、融資書類、補助金などの追加料金の条件
・決算料やオプション費用の計算方法
会社の変化に伴い、相談テーマが増えている
売上の伸び、従業員の増加、法人化、資金調達、設備投資、インボイス対応、クラウド会計への移行など、会社が動くほど税務や会計の論点は増えます。
いまの税理士が悪いというより、依頼当初の前提と現在の状況が変わり、必要なサポートの形が変わっているケースも多いです。「聞けば答えてくれる」だけでは足りず、先回りの説明や、数値の見方、制度改正の影響整理まで求めたくなる場面が出てきます。
具体的には、次のような状況が続いている場合に変更を検討する方が多いです。
・クラウド会計ソフトを使いたいが、対応が難しいと言われる
・役員報酬や社会保険の整理など、踏み込んだ相談が増えた
・節税だけでなく、利益計画や納税資金の見通しも相談したい
・新規事業や取引形態の変更があり、判断材料が欲しい
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税理士変更の流れ・進め方
税理士変更は、今の税理士に解約を伝えるだけで終わりではありません。
顧問契約の確認、新税理士との契約、帳簿や会計データの受け渡し、クラウド会計ソフトの権限整理など、複数の作業を順番に進める必要があります。
順番を間違えると、新税理士が決まる前に契約終了の話だけが進んでしまったり、必要な資料が手元にないまま引き継ぎを迎えたりすることがあるため、注意が必要です。
ここでは、税理士変更の流れ・進め方をくわしく解説します。
Step1)契約と資料の所在を先に確認する
最初に行うのは、現税理士との顧問契約書の確認です。
税理士を変更したいと思っても、契約内容によっては「解約希望日の1か月前までに申し出る」「契約期間の途中解約では精算が必要」などの取り決めがあることがあります。
解約の連絡をする前に、まずは次の項目を確認しておきましょう。
| 確認するもの | 見るポイント |
| 顧問契約書 | 解約予告の期限、契約期間、自動更新の有無 |
| 請求書・見積書 | 顧問料、決算料、年末調整などの内訳 |
| 会計データ | 使用している会計ソフト、データの保存場所 |
| 帳簿・証憑 | 領収書、請求書、総勘定元帳、試算表などの保管場所 |
| 申告書類 | 過去の申告書や届出書の控えが手元にあるか |
たとえば、申告書の控えは会社で保管していても、会計ソフトのログイン権限やバックアップデータは税理士側が管理していることがあります。
また、領収書や請求書は自社で保管しているものの、総勘定元帳や勘定科目内訳明細書など、新税理士が確認したい資料が手元にないケースもあります。
税理士変更を進める前に、「何があるか」「誰が持っているか」「どの形式で受け取れるか」を整理しておくことが大切です。
Step2)新税理士に依頼したい範囲を言語化する
次に、新税理士へ何を依頼したいのかを整理します。
今の税理士に不満がある場合でも、「何が不満なのか」「変更後に何を改善したいのか」が曖昧なままだと、新しい税理士に変更しても同じ悩みが残ることがあります。
この段階では、完璧に整理できていなくても問題ありません。
「記帳代行も任せたい」「月次の試算表を早めに出してほしい」「チャットで質問したい」「決算前に納税額を知りたい」など、希望を言葉にしておくと、新税理士との面談が進めやすくなります。
Step3)候補となる税理士を探す
依頼したい範囲が見えてきたら、条件に合いそうな税理士を探します。
税理士の探し方には、知人からの紹介、インターネット検索、税理士紹介サービスなどがあります。
この段階では、細かく比較しすぎるよりも、まずは自社の希望に合いそうな候補をいくつか出すことが大切です。
確認しておきたいのは、主に次のような項目です。
| 確認項目 | 見るポイント |
| 対応範囲 | 記帳、月次、決算、税務相談などに対応しているか |
| 対応業種 | 自社と近い業種の相談経験があるか |
| 会計ソフト | 現在使っている会計ソフトに対応しているか |
| 連絡方法 | メール、電話、チャット、オンライン面談に対応しているか |
| 料金体系 | 顧問料や決算料の考え方が分かりやすいか |
たとえば、クラウド会計を使っている会社であれば、その会計ソフトに対応している税理士のほうが引き継ぎは進めやすくなります。
また、月次の数字を早く把握したい場合は、毎月の資料提出から試算表の共有まで、どのような流れで進めるのかを確認しておくと安心です。
Step4)面談で対応範囲を確認する
候補が絞れたら、実際に面談を行います。
面談では、税理士の人柄だけでなく、変更後にどのような流れで業務が進むのかを確認します。
特に確認しておきたいのは、次のような内容です。
| 確認したいこと | 質問例 |
| 担当範囲 | 記帳、月次、決算、税務相談はどこまで依頼できますか |
| 開始時期 | いつから対応してもらえますか |
| 必要資料 | 引き継ぎ時にどの資料が必要ですか |
| 連絡方法 | 質問や資料共有はどの方法で行いますか |
| 料金 | 顧問料・決算料・別料金になる業務は何ですか |
この時点で、新税理士から「まず何を準備すればよいか」「現税理士へ何を確認すべきか」を聞いておくと、次の手順に進みやすくなります。
税理士変更では、面談の段階で引き継ぎに必要な資料を確認しておくことが重要です。
Step5)開始日を決めて契約する
新税理士に依頼することが決まったら、いつから担当を切り替えるかを決めます。
切替日が曖昧なままだと、現税理士と新税理士の担当範囲が重なったり、反対に誰も対応していない期間が生まれたりすることがあります。
たとえば、次のような項目は事前に決めておきましょう。
| 決めておくこと | 具体例 |
| 新税理士の契約開始日 | 〇月分の月次処理から依頼する |
| 現税理士の対応終了日 | 〇月〇日で顧問契約を終了する |
| 月次処理の担当範囲 | 何月分までを現税理士が対応するか |
| 決算・申告の担当範囲 | 今期の申告をどちらが担当するか |
| 資料提出の方法 | クラウド共有、メール、郵送など |
契約書には、顧問料、決算料、契約開始日、対応範囲、資料提出の期限、連絡方法などを明記してもらうと安心です。
「前の税理士がどこまで対応するのか」「新税理士はいつから何を担当するのか」を書面やメールで残しておくと、後から認識がずれにくくなります。
Step6)現税理士へ終了の連絡をする
新税理士の業務開始日が決まったら、現税理士へ顧問契約の終了を連絡します。
この段階で重要なのは、終了日、引き継ぎに必要な資料、返却方法、精算方法を確認することです。
| 確認すること | 内容 |
| 終了日 | いつまで顧問契約が続くのか |
| 返却資料 | 申告書、帳簿、会計データなど何を返却してもらうか |
| 返却方法 | データ、紙、クラウド共有など、どの形式で受け取るか |
| 精算方法 | 未払い顧問料、決算料、解約時費用の有無 |
現税理士へ連絡する際は、口頭だけで進めず、メールなど記録に残る形でも確認しておくと安心です。
Step7)必要資料・データ・権限を引き継ぐ
最後に、現税理士から新税理士へ引き継ぎを行います。
引き継ぎでは、書類だけでなく、会計ソフトや電子申告の権限も整理する必要があります。資料だけ受け取っても、クラウド会計ソフトにログインできなかったり、電子申告に使っていた情報が分からなかったりすると、新税理士側で作業が止まることがあります。
一般的には、次の資料やデータを確認しておくと安心です。
| 引き継ぎたいもの | 具体例 |
| 申告関係の資料 | 過去数期分の法人税申告書、消費税申告書、地方税の申告書 |
| 決算関係の資料 | 決算書、勘定科目内訳明細書、事業概況説明書 |
| 帳簿データ | 総勘定元帳、仕訳帳、試算表 |
| 会計ソフトのデータ | バックアップデータ、CSVデータ、クラウド会計の権限 |
| 固定資産関係 | 固定資産台帳、償却資産税申告書 |
| 届出・申請関係 | 税務署や自治体へ提出した届出書、申請書の控え |
| 納税関係 | 納付書の控え、予定納税の情報、税務署や自治体からの通知 |
| 給与関係 | 源泉所得税、年末調整、給与ソフトのデータ |
| 電子申告関係 | 利用者識別番号、委任関係、税務代理権限証書の状況 |
クラウド会計ソフトを使っている場合は、データを渡すだけでなく、誰にどの権限を付けるかを確認します。
たとえば、現税理士のアカウントをいつ停止するか、新税理士をどの権限で招待するか、社内の管理者を誰にするかを決めておくと安心です。
また、新税理士に税務代理を依頼する場合は、税務代理権限証書の提出が必要になることがあります。現税理士が電子申告を担当していた場合は、申告に使っていたIDや連絡先、通知の受け取り先も含めて整理しましょう。
税理士変更は、事前準備と引き継ぎの段取りでスムーズさが大きく変わります。現税理士へ連絡する前に、新税理士へ相談し、必要な資料や切替時期を確認しておくと安心です。
税理士を変更するタイミングと注意点
税理士を変えたいと思っても、「今だと決算や申告に影響しないか」「引き継ぎは間に合うか」と迷う方は多いです。タイミングは会社の状況によって変わりますが、いつ動くにしても、引き継ぎに必要な資料と権限が揃う時期を選ぶと進めやすくなります。
決算と申告が終わった直後は資料が揃いやすい
動きやすいのは、決算書と申告が一段落し、当期の数字が確定している時期です。
現税理士側も対応が区切りやすく、必要資料の洗い出しがしやすくなります。新税理士側も直近の申告内容を前提に、次の期の運用や月次の締め方を設計しやすいです。反対に、決算直前や申告の締切直前は、切替日の整理が難しくなりやすいです。
確定申告期・決算期・税務調査対応中は引き継ぎ負担が増える
年末調整から確定申告にかけての時期、決算期、税務調査の対応中は、税理士側も会社側もやることが増えます。
この時期に切り替えると、資料の受け渡しが後回しになり、確認不足が起きやすくなります。とくに税務調査の対応中は、過去の処理の背景説明が必要になるため、担当が途中で変わると説明が二重になる場合があります。
切替が必要な場合は、新税理士に「調査対応をどこまで担えるか」「現税理士の関与をどこまで残すか」を先に相談します。
融資や補助金など対外的な手続きがあるときは先に段取りする
金融機関への提出資料、融資面談、補助金申請などが控えている場合は、担当税理士が変わることで説明の整合性が取りづらくなることがあります。
たとえば直近の決算内容の説明、資金繰り表の作成、試算表の見せ方など、税理士が関わる場面が増える時期は、切替日を慎重に決めたほうが安心です。どうしても切替が必要な場合は、提出期限と資料作成の担当範囲を、新旧どちらが持つのかを決めてから動きます。
解約予告と更新条項を先に確認し引き継ぎ期限を決める
タイミングを決めるうえで外せないのが、顧問契約の解約予告です。
「解約希望日の1か月前まで」「2か月前まで」などの取り決めがあると、思ったより早く連絡が必要になります。引き継ぎについても、「いつまでに」「何を」「どの形式で」受け取るかを決めておくと、曖昧さが減ります。会計データの受領だけでなく、電子申告やクラウド会計ソフトの権限整理まで含めて期限を置きます。
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税理士を変更するメリット・デメリット
この章では、税理士を変更する際に考慮すべきメリットとデメリットについて解説します。
税理士を変更するメリット
税理士を変更するメリットは以下の通りです。
新しい視点と提案が得られる
今の税理士では提供されないような、節税対策や補助金の活用方法、経営改善のアドバイスなどを積極的に提案してくれる税理士に出会える可能性があります。
特に会社が成長している、または変化している場合、こうした“提案力”がある税理士は非常に重要です。新しい税理士からの提案は、経営のさらなる発展を促進する手助けになるでしょう。
コストの見直しができる
他の税理士事務所と比較することで、現在の顧問料が相場に合っているか、無駄なコストが含まれていないかを客観的に判断することができます。費用対効果を見直し、コスト削減に繋げられるチャンスになるでしょう。
業務効率化が進む
近年、クラウド会計やチャットツール、電子契約などのITツールを活用している税理士事務所が増えてきています。こうしたツールを活用することで、書類のやりとりや帳簿処理が簡素化され、経理業務全体の効率が大幅に向上します。
今の税理士がこうしたITツールを利用していない場合、変更することで業務の効率化が進む可能性があります。
コミュニケーションの取りやすさが改善される
税理士とのコミュニケーションが改善されることで、精神的な安心感を得ることができます。例えば、「話しやすさ」「レスポンスの速さ」など、税理士との関係性が改善されると、経営判断をしやすくなります。必要なときにすぐに相談できるパートナーがいると、経営に対する自信が高まるでしょう。
税理士を変更するデメリット
税理士を変更するデメリットは以下の通りです。
新しい税理士を探す手間と時間がかかる
新しい税理士を選ぶには、複数の候補を比較・検討し、面談を行う必要があります。相性の確認や業務範囲のすり合わせも大切です。これには時間と労力がかかると考えておくのが良いでしょう。
一時的にコストが増える可能性がある
税理士を変更する際には、契約解除のタイミングや旧税理士への報酬精算、新しい税理士との初期費用が発生する場合があります。引き継ぎにかかる費用や初期設定費用などが発生することもありますので、変更に伴う一時的なコストが増えることを考慮しておくことが重要です。
ゼロから関係構築が必要になる
長年付き合っていた税理士から変更する場合、新しい税理士との関係をゼロから築く必要があります。業務内容や経営方針の共有、信頼関係の構築など、時間がかかる場合もあるでしょう。
引き継ぎがスムーズにいかないリスクがある
旧税理士が協力的でない場合や、必要な資料が揃っていないと、スムーズな引き継ぎができず、トラブルが発生する可能性もあります。新しい税理士にしっかりと情報を引き継げるよう、事前にしっかりと準備しておくことが重要です。事前の段取りと良好なコミュニケーションが円滑な引き継ぎに繋がります。
気をつけたいことと、負担を小さくする工夫
税理士変更で負担になりやすいのは、「探す時間」「切替時の精算」「引き継ぎの手間」です。避けたいのは、切替の勢いで進めてしまい、会計データや権限の整理が中途半端になることです。
・候補探しの負担は、面談前に依頼範囲と希望条件を書き出して減らす
・切替時の費用は、解約予告や精算条件を先に確認して見込みを立てる
・引き継ぎの手間は、必要資料の一覧を作り、期限と形式まで指定する
・クラウド会計ソフトは、データより権限が重要になるため、管理者を社内で決めておく
・電子申告を任せていた場合は、申告に使っていた連絡先や委任関係も含めて引き継ぐ
税理士の変更で起こり得るトラブルとは?
顧問税理士の変更は、手順通りに進めれば難しくありません。 ただし、引き継ぎ・契約・権限管理のどこかが抜けると、思わぬトラブルにつながることがあります。
ここでは、税理士変更時に起こりやすい代表的なトラブルと、事前にできる対策を紹介します。
必要書類やデータが返却されない
税理士を変更する際は、前任税理士が保管している帳簿や資料、会計データなどを、後任税理士へ引き継ぐ必要があります。悪意があるケースは多くありませんが、双方の認識違い・単純な失念で返却が遅れることがあります。
対策
- 返却してほしいものを「一覧(チェックリスト)」で渡す
- 返却期限(例:◯月◯日まで)を明記する
- データは「形式(CSV/バックアップ/クラウド権限)」まで指定する
権限が残ったままになっている
注意しておきたいのは、現税理士のアカウントや委任関係が残り、社内で管理できない状態が続くケースです。税理士に任せていた範囲が広いほど、権限整理は後回しになりやすいです。
特に注意したい例
・電子申告に関するログイン情報や、申告時に使っていた連絡先(メールアドレスなど)
・クラウド会計ソフト(freee、マネーフォワードなど)の招待と権限設定
・データ保管先(共有ドライブ、オンラインストレージ)のアクセス権
・チャットツール、電子契約ツールの招待と管理者権限
・社内の経理担当者が把握していない送信先や通知先の設定
対策
・社内で「管理者」を決め、IDとパスワード、登録メールアドレス、二段階認証の設定を一元管理する
・現税理士のアカウントは、必要がなくなった時点で削除または権限停止を行う
・新税理士には、使用中のツール一覧と権限状況を共有し、必要な招待だけを行う
・電子申告については、誰がどの情報で送信していたかを確認し、委任関係や通知が混在しないよう整理する
想定外の契約解除料や違約金を請求される
税理士変更に伴い、顧問契約の終了時に費用が発生するケースがあります。トラブルになりやすいのは、会社側が契約書の内容を把握していないまま進めてしまうパターンです。
事前に確認したいポイント
- 解約通知の期限(例:解約希望日の1〜2か月前まで等)
- 契約期間(自動更新の有無)
- 違約金・解約料の有無と条件
- 決算・申告の担当範囲(どこまでが旧税理士の業務か)
対策
- 解約を伝える前に、契約書の「解約条項」だけ先に読む
- 不明点は、先に文章で確認(口頭だけにしない)
税理士の契約解除の伝え方
税理士を変更する際に最も悩むのが、現契約先への「伝え方」です。この章では、税理士の変更を円満に進めるための方法や、トラブルを避けるコツを紹介します。
契約解除の理由
税理士を変更する理由を伝える際は、できるだけ角が立たないように配慮することが大切です。以下のような言い回しが一般的で、相手に与える印象を柔らかくできます。
- 会社の成長フェーズに合わせて、サポート体制を見直すことにした
- 親族や友人で税理士になった者がいるので、契約して起業を応援することにした
- 業界に強い税理士と新たに出会い、経営方針に合致した
- クラウド会計への全面移行に伴い、体制を再構築することにした
- 顧問料やサービス内容の見直しを全社的に実施している
これらは、「相手の落ち度ではなく、自社の方針による判断」と伝えることができるため、円満に伝えることが可能です。
メールで伝える場合の文面例
税理士にメールで契約終了を伝える場合の例を以下に示します。
| 件名:顧問契約終了のご連絡
いつも大変お世話になっております。〇〇株式会社の〇〇です。 弊社の体制見直しに伴い、税務顧問契約につきましても見直しを進めてまいりました。 つきましては誠に勝手ながら、〇年〇月〇日をもって顧問契約を終了させていただきたく、ご連絡申し上げます。 引き継ぎに必要な資料やデータの受け渡しにつきまして、今後の進め方をご相談させてください。 これまでのご支援に心より感謝申し上げます。何卒よろしくお願いいたします。 |
良い税理士を見極めるためのチェックポイント
この章では、信頼できる税理士を見つけるためのチェックポイントを紹介します。
複数の税理士と面談を行う際に、どのような視点で選べば良いのかをしっかり理解しておくことで、自分に合った税理士を見極めやすくなります。
| チェック項目 | 確認のポイント |
| 提案力があるか | 節税・補助金などの支援実績 |
| 税務調査に強いか | 税務調査の経験が豊富か |
| 業界に詳しいか | 同業他社の対応経験があるか |
| ITツールに対応しているか | 使用会計ソフトの対応実績 |
| 料金体系が明確か | 顧問料+αの費用説明があるか |
| 相性・人柄が合うか | 話しやすさ、丁寧さ、対応スピード |
提案力
税理士が受け身の対応だけでなく、経営者の課題に寄り添い、先回りして提案をしてくれるかどうかも重要なポイントです。
例えば、節税の提案だけでなく、補助金の活用や資金繰りの改善、法人化のタイミングなど、経営視点を持ったアドバイスをしてくれる税理士は、信頼できるパートナーと言えるでしょう。税理士はただ税務をこなすだけでなく、経営改善に積極的に貢献できる存在であるべきです。
税務調査の対応力
税務調査は、税務署が申告内容と帳簿書類を照合し、必要に応じて質問や資料の提示・提出を求める手続きです。申告に誤りが見つかった場合は、不足税額に加えて過少申告加算税や無申告加算税、重加算税などの加算税が課されることがあり、納付が遅れた場合は延滞税も発生します。「突然連絡が来たらどうしよう」と感じる方ほど、調査前の準備から当日の受け答えまで、道筋を示してくれる税理士かを確認しておくと安心です。
対応力を見るときは、当日の立会いだけでなく、調査前にどこまで準備してくれるかが重要です。帳簿と証憑の突き合わせ、想定される質問の整理、回答の確認などを事前に行える税理士なら、落ち着いて対応しやすくなります。また、税務代理権限証書(税務署対応を税理士が代理するための書類)を提出して税務署の窓口を担えるか、既に顧問税理士がいる場合にスポットで入れるかも、状況によっては確認したい点です。
業界理解・対応実績の有無
まず最初に確認したいのは、税理士が自社が属する業界にどれだけ詳しいかという点です。業種ごとに特有の経費処理や税制がありますので、その業界特有の会計処理に慣れているか、過去にその業界での対応実績があるかを確認しましょう。
例えば、飲食業や建設業、不動産業、IT業など、それぞれに求められる対応が異なるため、自社に適した税理士を選ぶことが大切です。
クラウド会計などIT活用への理解
最近では、クラウド会計ソフト(例えばfreee、マネーフォワード、弥生など)の活用が進んでおり、税理士がこれらのツールに対応しているかどうかは非常に重要なポイントです。
ITツールに対応している税理士であれば、業務の効率化やリモート対応、ペーパーレス化が進み、経理業務が大幅に改善されます。特にデジタル化を進めたい企業には必須の条件です。
料金体系の明確さと説明力
料金体系が不明瞭だったり、追加料金の説明が不足していると、後々トラブルになる可能性があります。顧問料や決算費用、年末調整など、すべての費用項目について、なぜその金額なのかを丁寧に説明してくれる税理士は信頼できます。料金の明確さは、安心して契約を結ぶための大切なポイントです。
相性・人柄・レスポンスの早さ
税理士のスキルや実績も重要ですが、最終的には「人として信頼できるか」「話しやすいか」が非常に大切です。
特に、困った時にすぐに相談できるかどうか、レスポンスの速さやコミュニケーションの温度感も確認しておきましょう。長期的に付き合うことになるため、信頼でき、心地よい関係が築けるかどうかも選定基準となります。
お困りの方は保田会計事務所にご相談ください
税理士を変更するという決断は、簡単なことではありません。これまで付き合いのあった方との関係、引き継ぎの手間、新しい人への不安など、さまざまな要素が頭をよぎるものです。
しかし、今の不満やモヤモヤを抱えたままの状態は、企業にとっても経営者にとっても大きなストレスになります。 「もっと話しやすい人がいい」「提案をしてくれる人がいい」「時代に合ったIT対応ができる人がいい」そう思ったときが、見直すタイミングかもしれません。
税理士との関係を見直し、これからの会社に合った相談先を選ぶことは、前向きな経営判断と言えるでしょう。
保田会計事務所では、そうした一歩を踏み出す皆さまのご相談を、いつでも歓迎しています。税理士の変更に関する相談も承っておりますので、まずはお気軽にお問い合わせください。