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経営者の節税対策を徹底解説|社長個人・法人で使える実践方法

経営者の節税対策を徹底解説

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経営者にとって税金は大きな負担となり、手元資金や将来の資金計画にも影響します。特に中小企業の社長や一人社長は、個人と法人の税金が複雑に絡み合うため、節税策を正しく選ぶことが欠かせません。

本記事では、経営者が実践しやすく、安全性の高い節税対策を分かりやすく解説します。

経営者の節税

経営者の節税を考えるとき、個人と法人の税金を完全に切り離して考えてしまうとうまくいきません。

社長の役員報酬、法人の利益、個人の生活費、会社の預金残高や借入状況などは、すべてつながっています。たとえば、個人の税金を減らそうとして報酬を大きく下げると、一時的には所得税や住民税は減りますが、法人に利益が残りすぎて法人税が増える場合があります。

逆に、法人の節税を優先して無理に経費を増やすと、会社の資金繰りが悪化し、将来の投資や借入返済に支障が出ることもあります。経営者の節税では、「個人の税金」「法人の税金」「会社と個人の資金繰り」をまとめて整理することが非常に重要です。

経営者が支払う税金と法人が負担する税金

経営者の税金は、個人と法人の両方で発生します。どちらか一方だけを見ると判断を誤りやすいため、まず全体像を整理しておくことが大切です。

以下の表は、経営者が個人として負担する税金と会社が負担する税金です。

代表的な税金の一覧

区分 税金の種類 内容のポイント
経営者個人 所得税 年間の所得に応じて税率が段階的に上がる。役員報酬が増えるほど負担も増える。
経営者個人 住民税 所得に対して一定割合で課税される。所得税と合わせると負担の実感が大きい。
経営者個人 健康保険料 社会保険料の一部。役員報酬額に応じて負担額が決まるため、節税検討では重要な項目。
経営者個人 厚生年金保険料 健康保険料と同じように役員報酬を基準に計算される。報酬額が一段階上がるだけで保険料が大幅に増えることがある。
法人 法人税・地方法人税 会社の利益に対して課税される。経費の使い方や設備投資のタイミングで税額に差が出る。
法人 消費税 売上で預かった消費税を後から納める仕組み。納税時期の資金繰りへの影響が大きい。

経営者が個人として負担する税金の考え方

経営者個人が負担する税金には、所得税・住民税・健康保険料・厚生年金保険料があります。これらは役員報酬を基準として計算され、報酬額が少し上がっただけでも社会保険料の等級が変わり負担が一気に増えることがあります。

そのため、節税を考えるときには所得税だけを見ても正確ではありません。社会保険料まで含めた「実際に手元に残る金額」を軸に考えることが大切です。

法人が負担する税金の考え方

法人の場合、利益に対して法人税や地方法人税が課税されます。利益は「売上 − 経費」で決まるため、経費の使い方や投資のタイミングひとつで税額が変わります。

消費税は「お客様から預かった税金を後から納める」という性質があるため、節税だけでなく納税タイミングを意識した資金管理が欠かせません。売上が順調でも、消費税の支払いが重なる時期には手元資金が不足することがあるため注意が必要です。

経営者(社長個人)ができる節税対策

ここでは、社長個人として取り組める現実的な節税方法を紹介します。

所得控除を最大限活用する

所得控除は、税金の計算に使われる「課税所得」を直接減らす仕組みです。ここをしっかり押さえることで、無理な節税をしなくても、負担を抑えることができます。

医療費控除・扶養控除・寄付金控除

医療費控除では、病院で支払った診察代だけでなく、薬局で購入した医薬品や、治療のための通院交通費が対象になることがあります。ただし、美容目的の施術などは認められません。

扶養控除は、子どもの年齢や、親が高齢であるかどうかによって控除額が変わります。特に高齢の親を扶養している場合は、控除額が大きくなることもあり、申告漏れがないよう注意が必要です。

寄付金控除については、所得に対して控除できる上限が決まっているため、勢いで大きな金額を寄付してしまうと、想定より節税効果が小さくなる場合もあります。年間の寄付額と控除上限を把握しながら、無理のない範囲で活用することが大切です。

控除の種類 主な対象 注意しておきたいポイント
医療費控除 自分や家族の医療費 通院交通費が対象になる場合があるが、美容目的は対象外
扶養控除 子どもや親など扶養家族 年齢や所得で控除額が変わるため、家族の状況を確認する
寄付金控除 ふるさと納税などの寄付 所得に応じて控除上限があるため、寄付額の計画が必要

配偶者控除・配偶者特別控除

配偶者控除と配偶者特別控除は、配偶者の所得に応じて適用できる制度が変わる点が大きな特徴です。配偶者の年収が一定以下であれば配偶者控除、それを超えても一定の範囲内であれば配偶者特別控除が使えます。

たとえば、配偶者がパートで働いている場合、少し働き過ぎると控除が減り、手取りがあまり増えないという状況が生じることがあります。

どこまで働くとどの程度控除が変わるのかを把握しておくと、世帯全体で見た手取り額を増やしやすくなります。事前に目安となる年収ラインを確認し、家計と働き方のバランスを話し合っておくと安心です。

配偶者の年収(目安) 適用される控除 説明
約123万円以下 配偶者控除 最も税負担が軽くなる範囲。配偶者の所得が低いほど控除額が大きい。
約123万円超〜201.6万円以下 配偶者特別控除 段階的に控除額が減っていく範囲。働き方によって手取りが変わりやすい。
201.6万円超 控除なし 配偶者の所得が高くなるため控除は受けられない。世帯全体の収入バランスが重要。

役員報酬の適正額を設定する

役員報酬の決め方は、社長個人の所得税や社会保険料と、会社の利益や法人税の両方に大きな影響を与えます。報酬を高く設定しすぎると、個人の税金と社会保険料が重くなり、手取りが思ったほど増えないことがあります。

一方、報酬を低く抑えすぎると、会社に利益が残りすぎて法人税が増えたり、金融機関から見た利益水準が高くなりすぎて「無理をしていないか」といった見方をされることもあります。実際には、会社の利益計画、社長の生活費、将来の投資予定などを踏まえて、無理のない範囲で金額を決めていく必要があります。

役員社宅制度を活用する

役員社宅制度は、会社名義で住居を借り、一定の基準で計算した家賃相当額を社長が負担することで、残りを会社の経費とできる仕組みです。これによって、社長個人の家賃負担を抑えながら、法人側では経費計上により利益を圧縮できます。

家賃相当額の計算方法は国税庁が定めており、物件の面積や設備、周辺家賃相場などをもとに計算します。このルールを守っていれば、税務上も認められやすい制度といえます。ただし、名義や契約の仕方を誤ると、全額が給与とみなされるおそれもあるため、契約前に専門家へ確認しておくと安心です。

通勤手当・出張日当を適切に支給する

通勤手当や出張日当は、一定の条件を満たせば非課税となり、経営者個人の所得に含まれません。ただし、「通勤手当なのに通勤実態がない」「日当の金額が相場から見て明らかに高すぎる」といった場合には、税務上問題となることがあります。

特に出張日当については、金額の設定だけでなく、社内でルールを定めた「旅費規程」があるかどうかが重視されます。誰が、どこへ、どの条件で出張したときに、いくら支給するのかをあらかじめ決めておくことで、税務調査の際にも説明しやすくなります。

小規模企業共済に加入する

小規模企業共済は、中小企業の経営者や個人事業主が退職金を自分で準備するための制度です。掛金は全額が所得控除の対象となるため、加入すると毎年の所得税や住民税の負担を軽くできます。将来、共済金を受け取るときには、退職所得や公的年金等として有利な形で課税される仕組みがあり、老後資金の準備と節税の両方を兼ねられる点が大きな特徴です。

ただし、20年未満で解約すると元本割れすることがあるため、ある程度の期間続ける前提で加入することが重要です。資金に余裕があるときに少しずつ積み立てるイメージで活用すると、無理なく続けられます。

iDeCoを併用する

iDeCoは、自分で掛金を拠出し、将来の年金を用意する制度です。掛金が全額所得控除になるうえ、運用益も非課税となるため、長期的な節税効果が期待できます。近年は加入条件が緩和され、会社経営者でも利用しやすくなりました。小規模企業共済とiDeCoを組み合わせると、老後資金の準備と節税の幅が広がりますが、職業区分ごとに掛金の上限が決まっているため、自分がどの区分に該当するのかを事前に確認しておく必要があります。

iDeCoは60歳まで原則引き出せないため、短期の資金繰りに使うお金ではなく、長期の資産づくりに回せる余裕資金で行うのが基本です。

社長の自家用車を社用車にする

自家用車を法人名義に変更し、業務用として使うことで、車検代や自動車保険料、ガソリン代などを会社の経費にできる場合があります。ただし、実際には仕事とプライベートの両方で車を使うことが多いため、完全に全額を経費にするのは難しいケースもあります。

業務で使った距離と私用で使った距離を記録し、その割合に応じて経費にする方法が一般的です。ガソリン代についても、法人名義のカードで支払う場合には、私用分が紛れ込まないように注意が必要です。走行距離の記録や訪問先のメモを日頃から残しておくと、税務調査の際にも説明しやすくなります。

生命保険の節税は慎重に検討する

生命保険を利用した節税は、一時期は広く紹介されてきましたが、近年は税務上のルールが見直され、以前ほど有利ではなくなっているものも多くあります。

例えば、返戻金の高さを売りにした保険商品は、一定の条件を満たすと経費として認められにくくなるなど、扱いが厳しくなっている分野です。保険は本来、万が一のときに備えるためのものです。節税効果だけを理由に契約すると、長期的な支払いが負担になったり、思ったほどメリットが出なかったりすることがあります。契約内容や解約時の取り扱いをよく確認し、会社の資金繰りや将来の計画と照らし合わせたうえで判断することが欠かせません。

法人ができる節税対策

この章では、会社として実行しやすい代表的な節税方法を、実務の流れに沿って分かりやすく説明します。

経営セーフティ共済(倒産防止共済)を活用する

経営セーフティ共済は、取引先が倒産したときの資金ショートを防ぐための制度ですが、節税の面でもよく使われます。掛金は全額を損金にできるため、利益が出ている年に加入・増額すると、法人税の負担を抑えることができます。年間240万円まで積み立てが可能なので、利益水準に合わせて掛金を調整しやすい点も特徴です。

一方で、解約すると「解約手当金」が入金され、これは原則として課税対象になります。積み立てた年は節税になりますが、解約した年には利益が増えることになるため、「解約のタイミングをどうするか」という視点が欠かせません。短期間で解約すると返戻率が低く、元本割れの可能性もあるので、数年単位での利用を前提としたほうが現実的です。

次の表は、経営セーフティ共済を検討するときのポイントをまとめたものです。

視点 ポイント
掛金 全額損金算入が可能。年間240万円まで積み立て可。
解約時 解約手当金は益金となり、解約年度の利益が増える。
期間 短期解約は返戻率が低く、中長期での利用が前提。
目的 取引先倒産への備えと、利益調整・節税を両立できる制度。

このように、単なる節税商品としてではなく、「将来の解約時期」と「資金需要の時期」をセットで考えておくことが重要です。

未払費用・決算賞与の計上

未払費用と決算賞与は、決算時の処理でよく使われる節税手法です。未払費用は、決算日時点で「すでに発生しているが、まだ請求書が届いていない」「支払いはしていない」といった費用を計上するもので、条件を満たせば支払前でも損金にすることができます。

決算賞与は、従業員に支給する賞与を決算時に計上し、後日支払うものです。一定の要件を満たせば、その期の損金として認められます。これにより、節税効果と従業員のモチベーション向上を同時に狙うことができます。ただし、書面の準備だけして支給しない、あるいは支給が遅れるなど、実態が伴わない場合には否認されるリスクがあります。

未払費用や決算賞与を使うときに意識しておきたいポイントを整理すると、次のようになります。

項目 実務上のポイント
未払費用 決算日時点で「金額が合理的に見積もれること」が前提。見積書や契約書などの裏付け資料が必要。
決算賞与 決算期末までに従業員へ支給額を通知し、決算日から1か月以内に実際に支払うことが要件。

書類の整備と実際の支払い時期がずれると問題になりやすいため、税理士と相談しながら、毎年の決算スケジュールに組み込んでおくとスムーズです。

設備投資・少額減価償却資産を活用する

設備投資は、本来は複数年にわたって費用配分されるものですが、中小企業には「少額減価償却資産の特例」という制度があり、これをうまく使うと節税と設備更新を両立できます。30万円未満の資産であれば、減価償却せずに購入した年に全額を経費にすることができます。パソコン、プリンター、タブレット端末、事務机など、日常的に使う備品が対象となるケースが多く、導入年度の負担を軽くできるのが利点です。

さらに、年間300万円までという上限の範囲であれば、複数の資産を即時償却にすることもできます。たとえば、決算期が近づいて利益が大きく出ている場合に、もともと必要と考えていた設備を前倒しで購入し、その年の経費として計上することで、法人税の負担を抑えることができます。ただし、「節税のためだけに不要なものを買う」のは本末転倒なので、業務効率の改善や生産性向上に本当に役立つ投資かどうかを見極めることが前提です。

福利厚生費を適正に活用する

福利厚生費は、従業員の働きやすさを高めながら、会社の経費として認められやすい費用です。うまく使うと、節税と職場環境の改善を同時に進めることができます。代表的なものとしては、社内イベントの費用、健康診断の費用、インフルエンザ予防接種の補助などがあります。

福利厚生費として扱うためには、「特定の人だけではなく、原則として従業員全体を対象にしていること」や、「会社の負担が常識の範囲内であること」が重要です。社内イベントなら、参加が自由であること、全従業員に案内されていることなどがポイントになります。健康診断費用は、法定健診に加え、追加検査も対象になる場合がありますが、こちらも従業員に対して公平に実施しているかどうかが判断材料になります。

福利厚生費としての代表例を簡単にまとめると、次のようなイメージです。

内容 福利厚生費としてのポイント
社内イベント費用 全従業員を対象に案内され、参加自由であれば認められやすい。
健康診断費用 法定健診に加え、追加検査も対象になる場合がある。
インフルエンザ予防接種補助 従業員全体を対象に実施していれば、経費として扱いやすい。

福利厚生費は、従業員の定着や採用の面でもプラスに働くことが多いため、「節税にもなる人材投資」と考えて計画的に取り入れていくとよいでしょう。

経営者が節税で失敗しがちなポイント

この章では、経営者が実務で陥りやすい節税の落とし穴について、注意すべき点を分かりやすく整理します。

節税のために不必要な支出を増やしてしまう

節税に意識が向くあまり、本来必要のない支出まで行ってしまうケースがよく見られます。たとえば、節税したい気持ちから高額の備品を購入したり、急ぎの必要性が低い設備に投資してしまうと、確かにその年の税負担は軽くなりますが、会社の現金は確実に減ります。節税とは、支出を伴う行為であるという点を忘れてはいけません。

税金は減ってもキャッシュが減れば、資金繰りが悪化し、後々苦しくなる可能性があります。節税を検討するときは、「その支出が本当に会社の成長につながるのか」「将来の利益に結びつくのか」を基準に判断することが欠かせません。この部分については、実際の業種や状況に合わせて、人間側で最終調整することが推奨されます。

保険偏重の節税に頼りすぎる

以前は返戻金を利用した保険商品が節税策として多く使われていましたが、現在は税務上の扱いが厳しくなっています。保険契約そのものは本来「万が一への備え」が目的であり、節税だけを理由に加入すると、長期的な支払いが大きな負担となる場合があります。

また、解約返戻金が発生すると、その時点で課税されることがあり、受け取り年度の利益が急増する可能性があります。さらに、解約のタイミングを誤ると資金繰りに影響することもあるため、保険を節税目的で使う場合は慎重な判断が必要です。

税務調査で否認されやすい経費もある

交際費、会議費、旅費交通費などは節税効果が大きく、多くの会社で活用されていますが、その反面、税務調査で詳しく確認されることが多い科目です。領収書だけでは実態が分からず、内容によっては否認されてしまうことがあります。

特に、交際費と会議費の区分が曖昧になっているケースは目立ちます。会議費として扱えば範囲が広く見えるため、交際を伴う食事なのに会議費として処理してしまうケースもあり、税務署が注意深く見るポイントの一つです。形式だけ整えても、実態が伴っていなければ認められません。「誰と」「どこで」「何の目的で」を記録しておくことで、税務調査の際の説明がスムーズになり、リスクを大幅に低減できます。

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安全な節税を実現するには、会社の状況と個人の状況の両方を理解したうえで、その会社に合った最適な方法を選ぶ必要があります。

保田会計事務所では、単なる節税テクニックの紹介ではなく、「会社と経営者の手元資金を最大化すること」を目的に、実務に即したアドバイスを行っています。また、節税だけでなく、資金繰り、決算対策、事業計画、役員報酬の最適化など、経営に直結するポイントを総合的にサポートしています。

税金やお金まわりの不安は、放置すると経営判断を鈍らせることがあります。自社に合った方法を見つけたいとき、今の税理士に不安があるとき、気軽に相談できる専門家の存在は大きな支えになります。まずは現在の状況を整理するためにも、一度相談してみてください。

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