独立や開業を考えている人の中には、開業時の自己資金(開業資金)がゼロの人もいると思います。
仮に開業資金がゼロであった場合に、問題なく起業できるのでしょうか?
答えは事業内容次第ということになります。
今回は、開業資金がゼロの人でも起業できるかどうかについて、「開業資金を抑える方法」や「資金計画」などにも触れつつ、分かりやすく解説します。
なお、創業融資について、ご相談されたい方は、以下のサイトもご参照ください。
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開業資金ゼロの人が起業できるか否かは事業内容次第
開業時の自己資金(開業資金)ゼロの人が起業できるかどうかは事業内容次第です。
例えば、飲食店を開業する場合、厨房機器や調理機器などを購入する設備資金が必要です。また、食材や酒類の仕入費用や家賃、光熱費などの運転資金も必要になります。
そのため、開業資金がゼロの人は飲食店を開業できない可能性があります。
一方で、ライターとして開業する場合、パソコンやキーボードなどの設備は必要ですが、既に使用中のものをそのまま使うこともできます。また、インターネット回線も必要ですが、自宅開業により、自宅のインターネット回線をそのまま使用することもできます。
つまり、開業資金がゼロの人であっても、ライターのように開業コストがあまりかからない業種の場合には、開業できる可能性があります。
このように、実際に開業資金ゼロの人が起業できるかどうかは事業内容次第となります。
開業費用がかからなかった起業家の割合
日本政策金融公庫総合研究所の「2022年度起業と起業意識に関する調査」によると、「起業費用はかからなかった」と回答した起業家は全体の28.5%になります。
また、事業に充てる時間が1週間あたり35時間未満のパートタイム起業家について、同様の回答をしたのは全体の46.3%で、パートタイム起業家の約半数は起業費用をかけていないことになります。
このことから、実際に開業資金がゼロでも起業できる可能性はあります。
なお、開業資金(企業に必要な資金)の目安が知りたい人は、以下の記事もご参考になさってください。
起業に必要な資金の目安とは
開業資金を抑える方法
開業資金がない場合には、開業資金を抑える方法を選択することが重要です。
〈開業資金を抑える方法〉
✓自宅開業
✓バーチャルオフィスの活用 ✓設備を中古で購入 ✓設備をリース契約 ✓フランチャイズ ✓移動販売 |
例えば、飲食店を開業する場合、フランチャイズに加盟する方法があります。
開業資金ゼロは難しいですが、加盟先の本部が費用の一部を負担してくれることにより、開業資金を抑えられる可能性があります。
また、飲食店を開業する場合、実店舗を持たずに、移動販売として開業するやり方もあります。
キッチンカーなどを購入する必要はありますが、実店舗を持つよりは、運転資金と設備資金の負担が軽減され、結果として開業資金を抑えることができます
開業資金ゼロの人は資金計画を立ててみる
開業資金ゼロの状況から起業を考えている人は、まずは資金計画を立ててみることです。
資金計画を立てることにより、開業資金がゼロでも起業できるか否かを知る目安になります。
事業における資金計画とは、必要となる資金をどこから調達し、どのように運用していくのかを計画したものです。
小さな飲食店を想定した場合の資金計画の一例は以下の通りです。
<小さな飲食店を想定した資金計画の例>
必要となる資金 | 金額 | 調達方法 | 金額 | |
設備資金 | ・店舗保証金 ・内装・空調工事 ・厨房工事 |
150万円 200万円 100万円 |
自己資金 | 300万円 |
借入 | 150万円 | |||
運転資金
(2か月分) |
・材料費 ・人件費 ・宣伝費 ・家賃 |
100万円 80万円 20万円 50万円 |
自己資金 | 150万円 |
借入 | 100万円 |
このように、資金計画を立てる場合には、まず設備資金と運転資金の内訳を検討します。
内訳を検討した結果、仮に設備資金と運転資金が0円の場合には、開業資金がゼロでも起業できる可能性があります。
また、設備資金と運転資金が必要になる場合には、それぞれの金額を算出し、それから資金調達の方法を考えることになります。
資金調達の方法はいろいろありますが、創業にあたっては、自己資金と借入に分けて考えることが一般的です。
この資金計画は創業計画の一部となります。創業計画を立てる場合には、創業の基礎知識や創業準備の確認項目に加え、事業計画の立て方が説明されている日本政策金融公庫の「創業の手引」をご参考になさってください。
創業の手引、創業のポイント集|日本政策金融公庫 (jfc.go.jp)
開業資金ゼロの人は自己資金を貯めることも検討
開業資金ゼロの人が資金計画を立てる場合には、自己資金を貯めることも検討すべきです。
日本政策金融公庫の実態調査によると、開業時の注意点として「自己資金が不足していた」と回答している起業家が一定数いることが分かります。
また、日本政策金融公庫サイトに掲載されている「2022年度新規開業実態調査」によると、開業後の資金調達に3割程度の起業家が苦労していると回答しています。
これらのことから、開業資金がゼロの人も起業できる可能性はありますが、開業後に資金不足を感じることもあり得ることから、自己資金を少しでもいいから貯めることをお勧めします。
なお、自己資金ゼロでは創業融資を受けられないかどうかについては、以下の記事をご参照ください。
自己資金ゼロでは日本政策金融公庫の創業融資を受けられない?
また、創業融資については、以下の記事をご参照ください。
創業時に使える新創業融資制度とは?
まとめ
以上今回は、開業資金がゼロの人でも起業できるかどうかについて、「開業資金を抑える方法」や「資金計画」などにも触れつつ、分かりやすく解説させていただきました。
開業時の自己資金(開業資金)ゼロの人が起業できるかどうかは事業内容次第です。
開業資金ゼロで起業を考えている人は、まずは資金計画を立ててみることです。
資金計画を立てることにより、開業資金がゼロでも起業できるか否かを知る目安になります。
また、開業資金がない人は、自宅開業やバーチャルオフィスの活用等で、開業資金を抑える方法を選択することが重要です。
開業資金がゼロの人も起業できる可能性はありますが、開業後に資金不足を感じることもあり得ることから、自己資金を少しでもいいから貯めることをお勧めします。
なお、「江東区・中央区(日本橋)・千葉県(船橋)」を拠点とする保田会計グループでは、創業融資のご相談も積極的にお受けしております。
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