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個人事業主の減価償却の概要や留意点(強制償却など)

個人の確定申告においても、事業に使用する建物や車両等の減価償却資産を保有する場合には減価償却費の計上が必要となります。

そこで、今回は個人事業主の減価償却について、「その概要」や「選択できる減価償却制度」、「留意点」などを解説します。

なお、実践的な節税対策については、以下のサイトをご参照ください。
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減価償却の概要

事業に用いられる建物や建物附属設備、器具備品、車両運搬具、ソフトウェアなどの固定資産は、一般的に時の経過によってその価値が減っていきます。

そのため、これらの固定資産は、その取得価額を購入した年の経費として一括で計上するのではなく、その資産の使用可能期間で少しずつ必要経費に計上します。

この経費の計上方法を「減価償却」、その経費を「減価償却費」、対象の資産を「減価償却資産」と言います。
また、資産の使用可能期間は法定耐用年数として国税庁が定めています。

例えば、600万円の車両を購入して、使用可能期間が6年の場合、定額法によると、60万円(600万円÷6年)が1年間に計上すべき減価償却費となります。

 

個人事業主が選択できる減価償却制度とは

個人事業主は通常の減価償却だけでなく、特例制度なども選択することができます。

取得価額別に選択できる減価償却制度については、下表の通りです。

取得価額 少額の減価償却資産 一括償却資産 少額減価償却資産の特例 通常の減価償却
10万円未満 × × ×
10万円以上~20万円未満 ×
20万円以上~30万円未満 × ×
30万円以上 × × ×

 

(1)取得価額が10万円未満

個人事業主の場合、10万円未満の資産や使用可能期間が1年未満のものは、すべて必要経費となります(所得税法施行令138条)。当然に必要経費となることから、固定資産として計上する必要はなく、消耗品費等の科目で経費処理をします。

言い換えると、個人事業主にとっての減価償却資産とは10万円以上の資産のこととなります。この点、法人と取扱いが異なるため注意が必要です。

 

(2)取得価額が10万円以上20万円未満

一括償却資産の特例制度が認められています(所得税法施行令139条)。

この一括償却資産の特例制度とは、取得した減価償却資産の取得価額が10万円以上20万円未満の場合、その取得価額の合計額の1/3に相当する金額をその業務の用に供した年以後3年間の各年分において必要経費として計上できる制度です。

年の途中で取得した場合であっても、3年間で均等に償却をするため、月割は行わないよう注意が必要です。

また、一括償却資産は白色申告者でも青色申告者でも適用を受けることができます。

なお、通常の減価償却資産として処理することも可能です。

 

(3)取得価額が10万円以上30万円未満

少額減価償却資産の特例制度が認められています(租税特別措置法28条の2)。

この少額減価償却資産の特例制度とは、青色申告者が取得した減価償却資産の取得価額が10万円以上30万円未満の場合、一定の要件の下でその取得価額の合計額のうち300万円に達するまでの取得価額の合計額をその業務の用に供した年分の必要経費として即時償却できる制度です。

少額減価償却資産は一括償却資産と違い、青色申告者のみ適用を受けることができます

なお、通常の減価償却資産として処理することも可能です。

 

個人事業主の減価償却における留意点

減価償却費は法人と個人事業主の両方に認められている経費ですが、個人事業主特有の留意点をここでは確認します。

なお、少額減価償却資産や一括償却資産の減価償却については、以下の記事もご参照ください。
少額減価償却資産や一括償却資産等でお得な方法とは

(1)強制的に償却

法人の場合には、減価償却費として税務上の経費にできる金額に限度額があるものの、会計上の減価償却費に制限はなく、任意で償却することができます。そのため、赤字が見込まれる年度においては、減価償却自体を行わないということを選択することも可能です。

一方で、個人事業主の場合には、必ず減価償却費の計上をしなくてはならず、減価償却費の金額や計上の有無を法人のように自由に選択することができず、強制的に償却されます

そのため、減価償却費の計上が漏れていた場合に、将来において、その分を遡及して減価償却することができないため留意が必要です。
なお、5年間は更正の請求によって、確定申告を修正して、還付を受けることは可能です。

 

(2)減価償却方法は原則、定額法

法人において、「減価償却方法の届出」を提出しない場合の減価償却方法は次のように定められています。

✓建物、建物附属設備、構築物:定額法
✓車両運搬具、機械装置、工具、器具及び備品:定率法
✓無形固定資産:定額法

一方で、個人事業主においては、「減価償却方法の届出」を提出しない限り、全ての減価償却資産において定額法を採用することが定められています。

また、「減価償却方法の届出」提出により選択可能な償却方法についても、法人の場合には原則として制限はありませんが、個人事業主の場合には、「車両運搬具、機械装置、工具、器具及び備品についての定率法」のみに限定されています。

 

(3)家事按分が必要

家事按分とは、自宅兼事務所の賃料など「事業用の経費と生活費の両方に該当する支払い」をそれぞれに適切に按分し、事業用の経費のみを必要経費として計上することです。

法人の場合には、取得した減価償却資産については、原則として全て法人の事業のために使用されたと考えられるため、家事按分を行う必要はありません

一方で、個人事業主で取得した減価償却資産について、事業用と生活用の両方に用いる場合には、家事按分を行う必要があります

例えば事業用と生活用に50%ずつ使用している車両の減価償却費が100万円と算出される場合には、その全額を必要経費とするのではなく、家事按分により、100万円の50%に該当する50万円が必要経費となります。

家事按分については、以下の記事もご参照ください。
家事按分の対象範囲や合理的な基準について詳しく解説!

 

まとめ

以上、今回は個人事業主の減価償却について、「その概要」や「選択できる減価償却制度」、「留意点」などを解説いたしました。

個人事業主の場合、10万円未満の資産や使用可能期間が1年未満のものは、すべて必要経費になります。また、取得価額が10万円以上20万円未満のものは、一括償却資産の特例制度が認められています。さらに、取得価額が10万円以上30万円未満のものは、少額減価償却資産の特例制度が認められています。

個人事業主の減価償却は、法人と異なり、強制的に償却され、また家事按分が必要となるなど、特有の留意点があるため注意が必要です。

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なお、個人事業者の節税に興味がある方は、以下の「「白色+雑所得」と「青色+事業所得」はどちらが有利か?」の記事もご覧ください。
「白色+雑所得」と「青色+事業所得」はどちらが有利か?(シュミレーションも)