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家賃の領収書に印紙は必要?(家賃帳を使った節税も)

国税の1つである印紙税は、経済取引等に伴って、領収書や契約書などを作成した場合に、その作成した文書に課税される税金です。この印紙税の納付は、課税される文書に印紙を貼ることで行います。
では、家賃を受け取った際に発行する領収書にも印紙税を貼る必要があるのでしょうか。

今回は、「家賃の領収書」について、「印紙は必要か」「印紙を貼らなかった場合のペナルティ」、「印紙代の節税方法」などを解説します。

この他にも、実践的な節税対策についてご興味のある方は、以下のサイトも是非ご覧ください。
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家賃の領収書に印紙は必要か?

印紙税法によると、売上に対して領収書を発行する場合、受取金額が5万円以上で課税対象となります(印紙税法別表第一の第17号文書)。

ここでは、売上であれば家賃であるかどうかは関係ありません。そのため、家賃の領収書であっても5万円を超えれば印紙を貼る必要があります。

印紙の額は下表の通り、領収書の受取金額によって異なりますが、例えば、5万円以上から100万円以下であれば、印紙税は200円となります。

<売上代金に対する領収書にかかる印紙税>

領収書の受取金額 収入印紙の金額
5万円未満 非課税
5万円以上~100万円以下 200円分の収入印紙
100万円超~200万円以下 400円分の収入印紙
200万円超~300万円以下 600円分の収入印紙
300万円超~500万円以下 1,000円分の収入印紙
500万円超~1,000万円以下 2,000円分の収入印紙

 

家賃の領収書に印紙を貼らなかった場合のペナルティ

家賃の領収書に印紙を貼っていないことが税務調査で発覚すると、本来の額の2倍の額の過怠税が加算されて、通常の3倍もの税金を納付する必要があります。

一方で、税務署に自主的に申告すれば、本来の額の10%の過怠税となり、通常の1.1倍の税金を納付するだけで済みます

税務調査で印紙を貼っていないことを指摘された場合でも、悪質でないと判断されれば、「不納付事実申出書」を提出することで、自主的な申告として取り扱ってもらうこと可能です。その場合には、通常の1.1倍の税金を納付することになります。

 

個人の場合でも印紙は必要

家主が個人である場合など、家賃の領収書に印紙を貼らなくていい場合はあるのでしょうか。

答えは、5万円を超えれば印紙は必要で、原則、個人であっても免れません。

ただし、家賃の受取が「継続的な営利活動」ではない場合には、印紙は不要です。この「継続的な営利活動」ではない場合としては、例えば、転勤等で自宅を一時的に賃貸に出しているようなケースが該当します。

なお、青色申告の優遇を受けるための「事業的規模」が否かの目安として「5棟10室」基準がありますが、5棟10室未満なら印紙税も不要と誤って認識されていることが散見されますので、注意が必要です。

あくまで、印紙が必要かについては、「継続的な営利活動」かどうかで判断することから、大家さんが発行する家賃の領収書には、通常、印紙が必要となります。

なお、個人(特に会社員)における節税については、以下の記事もご参照ください。
会社員の節税対策6選!!

 

家賃の領収書に貼る印紙代の節税方法

大家さんが発行する家賃の領収書には、印紙が必要となることをご認識いただいたところで、ここでは、この印紙についての具体的な節税方法を確認します。

(1)領収書を発行せずに節税する方法

当然、領収書を発行しない場合には印紙税はかからないことから、できるだけ領収書の発行を控えることで印紙税の節税になります。

入居者に領収書の発行を要求されると、大家さんは原則として断ることはできませんが、振込明細での確認をお願いすることで、領収書の発行をせずとも納得してもらえるケースがあります。

また、例えば、何ヶ月分かを1枚にまとめて出す節約方法もあります。

印紙税は「文書1枚ごと」に課税されることから、何ヶ月分をまとめて領収書を発行した場合でも、その1枚に記載された金額が100万円以下であれば200円、100万円を超えて200万円以下なら400円の印紙で済みます。

 

(2)家賃帳を使って節税する方法

家賃帳に貼る印紙の額は、1冊400円(印紙税法別表第一の第19号文書)で済むことから、下記のような家賃帳を使うことで印紙税の節税になります。

また、家賃帳については、1年ごとに新しい文書を作ったとみなされるため、複数年分を1冊にまとめた場合でも、1年ごとに400円がかかります。

例えば、家賃が50万円の場合には、領収書の受取金額が5万円以上100万円以下のため、毎月200円の印紙が必要となり、年間では2,400円(200円×12か月)の印紙が必要となります。

これが家賃帳を使う場合には、年間400円の印紙で済むことから、節税につながります。

なお、家賃帳への付込み金額が1回で100万円(税込)を超えてしまう場合には、その時点で新たに通常の売上代金にかかる領収書(印紙税法別表第一の第17号文書)を発行したとみなされ、200円の印紙貼付が必要となりますので、注意が必要です。

 

(3)家賃の領収書を分けて節税する方法

1ヶ月分の領収書を複数通に分けて、1回の受取金額を5万円未満にすることで、印紙税の節税になります。

例えば、月の家賃が4万8千円、共益費が5千円の場合には、領収書1枚だと、受取金額が5万3千円のため200円の印紙が必要です。
このケースで、家賃と共益費を別々に分けて2枚の領収書を発行すれば、2枚とも受取金額が5万円未満なので印紙は不要となります。

ただし、例えば、家賃が6万円の場合において、3万円ずつ2枚の領収書を発行する場合には、実態に合わないと税務署に否認されるリスクが高くなることから注意が必要です。

 

(4)消費税の金額を明記して節税する方法

事業用(事務所や倉庫など)不動産の賃貸借の場合に、消費税の金額を明記することで、印紙税の節税になることがあります。

例えば、家賃が4万8千円で消費税が4,800円のケースで、合計5万2,800円の領収書を発行した場合には、200円の印紙が必要です。このケースにおいて、領収書に消費税の金額「4,800円」と明記することで、記載金額から消費税額を除くことができ、つまり、4万8千円の領収証とすることができ、印紙は不要となります。

「消費税額の金額を明記する」とは、例えば、次のような記載方法を言います。

✓領収金額 52,800円(税抜価格 48,000円 消費税額等 4,800円)
✓領収金額 52,800円(うち消費税額等 4,800円)
✓領収金額 48,000円 消費税額等 4,800円 合計 52,800円

 

まとめ

以上、今回は「家賃の領収書」について、「印紙は必要か」「印紙を貼らなかった場合のペナルティ」、「印紙代の節税方法」などを解説いたしました。

家賃の領収書は5万円を超えれば印紙を貼る必要があります。

家賃の領収書に印紙を貼っていないことを自主的に申告すると、本来の額の1.1倍の税金を納付する必要があります。また、税務調査で家賃の領収書に印紙を貼っていないことが発覚し、悪質と判断された場合には、本来の額の3倍もの税金を納付する必要があります。

家主が個人である場合などでも、家賃の受取が「継続的な営利活動」に該当する場合には、印紙は必要で、大家さんが受け取る家賃は、ほとんどのケースで「継続的な営利活動」に該当します。

家賃帳の印紙の額は、1冊400円で、毎回、領収書を発行するよりも印紙税の節税につながることから、家賃帳を使用することをお勧めします。

「江東区・中央区(日本橋)・千葉県(船橋)」を拠点とする保田会計グループでは、印紙税の節税提案も積極的に行っておりますので、ご興味等ございましたら、お気軽に以下のサイトからご連絡ください。
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