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創業時に活用できる共済制度とは?

安定した職場環境が整っていれば、従業員は安心して働くことができます。この安定した職場環境のためにお勧めの制度が「共済制度」になります。
この「共済制度」は福利厚生や保障を目的とした相互扶助の仕組みを言います。
創業・起業して間もない会社で福利厚生や保障を供えることは、自社の力だけでは難しいことから、この「共済制度」の活用については是非検討すべき事項になります。
そこで、今回は「共済制度」について、その仕組みやメリット、さらに創業・起業時に使える「共済制度」などを解説します。

なお、創業・起業・会社設立支援については、以下のサイトをご参照ください。
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共済制度の仕組み

まずは「共済制度」の仕組みなどについて確認します。
「共済」とは、特定の人だけが加入する団体の構成員に限定をして展開する事業を言います。
「特定の人」とは、例えば、同じ地域に住んでいる人、同じ職場に属している人などになります。
この「特定の人」(団体の構成員)が、お互いの福利厚生や保障を目的に相互に助け合うこと(相互扶助)を、「共済」と言い、その仕組みが法律等で確率されているものを「共済制度」と言います。

そのため、「共済」の支援を受けるためには、共済制度に加入して「組合員」であることが前提とされます。また、組合員は一定の掛金を支払うことになります。
この掛金は組合員共同の財産となり、組合員の誰かに万が一のことがあった場合には、そこから共済金が支給してもらえるという仕組みになっています。

 

共済制度のメリット

メリットは各共済制度によって異なりますが、主に次のメリットがあります。

掛金が割安

掛金が非課税

最低限の保障に備えることができる(内容がシンプル)

④性別・年齢にかかわらず掛金が一定

⑤国が認めた安心の制度

 

創業・起業時に使える「共済制度」とは

創業・起業時に使える「共済制度」を目的別に紹介します。

(1)従業員の退職金を約束するもの

従業員の退職金を約束する目的として、次の3つを紹介します。

①中小企業退職金共済制度(中退共)

中小企業が毎月掛金を支払って従業員の退職金を積み立てていき、従業員が退職した場合、退職金は中小企業退職金共済から受け取ることができます。
国から掛金の助成があることや、掛金全額が会社の経費となることが特徴で、管轄は厚生労働省になります。

 

②特定業種退職金共済制度(特退共)

建設業、清酒製造業または林業で働く従業員のための退職金制度です。
中退共制度のように1社を退職するときに支払われるのではなく、その業界で働くことをやめたときに退職金が支払われる「業界の退職金制度」です。
中退共制度と同様に、国から掛金の助成があることや、掛金全額が会社の経費となることが特徴で、管轄は厚生労働省になります。

 

③特定退職金共済制度

中退共制度と異なり資本金や従業員数に制限がないことや、掛金全額が会社の経費となることが特徴で、管轄は商工会議所・商工会などになります。

 

(2)事業主や会社役員の将来の生活を保障するもの

事業主や会社役員の将来の生活を保障する目的として、次の1つを紹介します。

・小規模企業共済制度

経営者が退職金代わりに加入することが多い制度で、経営者自身が掛金を支払い、退職や廃業の際に共済金を受け取ることができます。
事業資金の借入ができることや、掛金全額が所得控除の対象となり節税ができることが特徴で、管轄は中小企業基盤整備機構になります。

この所得控除(小規模企業共済等掛金控除)についての詳細は、以下の記事をご参照ください。
所得控除の全15種類を詳しく解説!!

 

(3)取引先対策となるもの

取引先対策を目的として、次の1つを紹介します。

・中小企業倒産防止共済制度(経営セーフティ共済)

取引先の倒産による連鎖倒産を防ぐための制度で、会社が掛金を支払うことで、不測の事態の際、速やかに資金を借りる事ができます
共済金の貸付は無利子・無担保であることや、掛金全額が会社の経費となることが特徴で、管轄は中小企業基盤整備機構になります。

 

共済制度を選ぶポイント

「共済制度」を選ぶために、主に次の事項がポイントになります。

①まずは目的にあった制度を選ぶことが重要です。

②できれば、税務上の取り扱いが有利なものを選ぶことが重要です。

③創業・起業しても間もない会社であれば、融資制度が整備されているものを選ぶことも検討すべきです。

④不測の事態が起きてからでは遅く、事業が上手くいっている時や、創業時こそ、制度活用を検討すべき時期と言えます。

 

まとめ

以上、今回は「共済制度」について、その仕組みやメリット、さらに創業・起業時に使える「共済制度」などを解説させていただきました。
保田会計グループでは、創業・起業した直後で、掛金支払いをなるべく控えたい会社様にも、経営者自身が掛金を支払う「小規模企業共済制度」への加入をお勧めします
この制度は、加入期間が20年未満(240か月)の場合には、受け取れる共済金が元本割れをすることから、なるべく早く加入することが重要です。
ただし、加入期間が20年以上であっても、途中で掛金を増額したり減額したりする場合には、掛金区分ごとの掛金納付月数で共済金を算定することには注意が必要です。

安定した職場環境を作るための「共済制度」ですが、上手く活用することで節税効果も享受することができ、是非活用を検討すべき公的制度と言えます。
「共済制度の活用」や「節税」に関して、少しでもお悩みがある場合には、「公的制度」と「節税」に強い「江東区・中央区(日本橋)・千葉県(船橋)」を拠点とする保田会計グループにご相談ください。

なお、創業・起業にあたっては、事前に資金調達方法を検討することも重要となります。創業時に使える資金調達方法については、以下の記事をご参照ください。
創業時に使える資金調達方法を網羅的に解説(融資・出資・補助金・助成金)